Oracle WebLogic Server 11gでWebLogic Serverはどのように変わったのか?
~「統合」と「進化」から見る次世代IT基盤を支えるアプリケーション・サーバー~ 「統合編」
日本オラクル株式会社 Fusion Middleware事業統括本部
中林 真太郎 (なかばやし しんたろう)
目次
統合編|進化編
はじめに
最新のWebLogic ServerであるOracle WebLogic Server 11gの特徴は、「統合と進化」と言い表すことができます。
- 統合:「さまざまなオラクル製品との機能的な統合」が実現しました。BEA買収後、オラクルは機能レベルの統合を実現する最初のリリースをバージョン11gと考え、開発を続けました。Oracle WebLogic Server 11gは、Oracle Fusion Middlewareの中核に組み込まれ、新たな一歩を踏み出した画期的なバージョンといえます。
- 進化:Oracle WebLogic Server 11gでは、アプリケーション・サーバーとしての単体機能もかなり強化されました。前述したさまざまなオラクル製品との機能的な統合とも密接に関連しますが、単体でもさらなる機能拡張と過去最高のパフォーマンスをたたき出しています。
このコラムでは「統合編」「進化編」の2回にわけて、それぞれの面でOracle WebLogic Server 11gの特徴を解説します。
まず基本から:ライセンス・パッキングに関して
ライセンス体系は、3つのエディションでの提供となりました。
基本的には、Standard Editionで利用できる機能はEnterprise Editionでも利用でき、Enterprise Editionで利用できる機能はSuiteでも利用可能、といったように、エディションが上がると利用できる機能が増加します。
詳細な機能については、こちらに記載されています。
機能マトリックス
| 1. |
WebLogic Server Standard Edition |
(¥1,087,000/Processor) |
| 2. |
WebLogic Server Enterprise Edition |
(¥2,717,400/Processor) |
| 3. |
WebLogic Suite |
(¥4,891,300/Processor) |
また、バージョン11gから「Management Pack for WebLogic Server」(¥1,032,700/Processor)という、Enterprise EditionとSuiteでのみ利用可能な運用管理関連のオプション製品が登場し、さらなる統合管理が実現することとなりました。
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Oracle WebLogic Server 11gで実現した統合とは?
Standard EditionとSuiteライセンスについて確認すると、統合の新機能を理解することができます。
WebLogic Server Standard Editionを見てみましょう
Standard EditionはWebLogic Server本体、Development Tools群(TopLink、JDeveloper/ADF、WebLogic Workshop)が利用可能です。残念ながらこのエディションでは優れたWebLogic Serverのクラスタリング機能を利用することはできません。
それ以外では、ハイパフォーマンスなJVMであるOracle JRockit、バージョン11gからついにWebLogic Server対応となったOracle HTTP Server、そして優れた管理機能であるOracle Fusion Middleware Controlを利用できます。
Oracle HTTP Server : 障害対応の自動化
Apache 2.2.10をベースにオラクル製のモジュールが多数追加された、Oracle HTTP Server(以下OHS)がWebLogic Server対応となりました。これはOracle iASの頃から提供されていた優れた製品で多くの利用実績があります。
新たな機能としては、OHSの重要なプロセスがダウンしたときに管理機構(OPMN)により自動的にプロセス再起動を行うなど、障害対応面での自動化を実現しています。また、OHSにはmod_wl_ohsというモジュールが追加されており、従来のWebLogic Webサーバプラグインとほぼ同等の機能を提供しています。OHSを利用することで、構成を簡略化したり、問題発生時にはオラクルサポートにまとめて問い合わせができたり、と統合によるメリットを得ることができます。また以下に述べるOracle Fusion Middleware Controlからも、Fusion Middlewareの1コンポーネントとして統合管理が可能となります。

図1
Oracle Fusion Middleware Control 障害復旧時間の短縮
Fusion Middleware 製品に特化した管理コンソールが登場しました。この管理コンソールはWebLogic Server Standard EditionからSuiteまでの全てのエディションで利用できる管理機能です。
上記のOHSやWebLogic Server上で動作する多くのFusion Middleware製品の統合的な管理を実現します。障害の原因追究と対応にかかる多くの時間と労力を削減するため、アプリケーション全体の可視化と、様々な実行情報やエラー情報の一元化、障害復旧時間の短縮を実現しました。まずWebLogic Server Standard Editionを購入し、段階的にFusion Middleware製品を導入したいお客様にもお使いいただきたいため、全てのエディションで別途料金のお支払いなしにご利用できるよう提供されます。

図2
つまり、Standard Editionはエンタープライズ・アプリケーション及びサービスの構築と実行のための世界最高クラスのアプリケーション・サーバーです。最新の Java EE標準を実装し、各種開発フレームワークやツール類が提供され、従来からのオラクル製品であったOHSとの統合や、Oracle Fusion Middleware Controlを利用して優れたアプリケーションレベルでの管理を実現します。これらの最新WebLogic Serverの機能を利用して、さまざまな高性能システムを構築できます。

Enterprise EditionではStandard Editionでの統合機能に加えて、クラスタリングが可能、JRockit JVMのProfilerであるJRockit Mission Controlや、アプリケーション・サーバーとデータベースのクロスティアでの問題解析に役立つApplication Diagnostics for Javaが利用でき、さらにOracle Enterprise Managerによって、複数台のWebLogic Serverをブラウザ一つで監視できるようになります。
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WebLogic Suiteを見てみましょう
SuiteではWebLogic Server Enterprise Editionの機能に加えて、さらに多くの機能を利用できます。最も大きな点としては、バージョン11gからOracle Application Server 10g(Oracle AS)で提供していたWeb Cache, Forms, Reports, Discovererの利用が可能になりました。
Oracle Web Cache : Webコンテンツの高速レスポンスを実現
Web Cacheについて触れてみましょう。これまでにOracle ASを利用されたことのあるお客様にはお馴染みの製品ですが、WebLogic Serverユーザーの方には新しい製品のように見えるかもしれません。
Web Cacheは一言で表現するならばWebページのキャッシュ・サーバ製品です。写真等、Webコンテンツが細切れで多い場合、Webページのパフォーマンスの改善に効果を発揮します。
(参考:http://otndnld.oracle.co.jp/products/ias/web_cache/pdf/webcache1012_twp_2.pdf)
リクエスト・フィルタリング機能、レスポンスヘッダによるキャッシュ無効化などの新機能がバージョン11gで追加されています。
Web Cacheは以下のようにOHSのフロントに配置することが一般的です。このWeb CacheもOPMN管理下におかれます。
複数配置されたうちの一台のOHSがダウンした時は、Web CacheはOPMNからの通知によって障害を検知し別のOHSに新規リクエストを割り振る等、自律的なバランシング機能を持つ優れたキャッシュサーバー製品です。また、Oracle Fusion Middleware ControlからもWeb Cacheを管理することができます。

図3
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Management Pack for WebLogic Serverを見てみましょう
Enterprise EditionとWebLogic Suiteでのみ利用可能な運用管理関連のオプション製品として、バージョン11gから登場するのがManagement Pack for WebLogic Serverです。
Enterprise EditionとSuiteには優れた問題解析のツールがこれまでに紹介したように付属していますし、複数台のWebLogic Serverの運用管理に必要なさまざまな情報を可視化するOracle Enterprise Managerの機能も利用できます。ではManagement Pack for WebLogic Serverはさらに何ができるのでしょうか?
このPackには以下の3つの機能が含まれています。Enterprise EditionとSuite環境のそれぞれの、運用レベルをさらに効果的に上げるために役立ちます。管理に手間がかかる複数台のWebLogic Serverをご利用されている向けに特にお勧めの機能です。
- Composite Application Performance Management Pack
分散環境・疎結合環境でのApplicationの利用状況の可視化を実現
- Configuration Management Pack for Oracle Middleware
複数台にまたがる全WebLogic Serverシステムに対するサーバーやソフトウェア構成情報の自動収集、検索と比較、構成監視、ポリシー管理とコンプライアンス・サポート、ダッシュボード機能、統合レポートなどの機能があります。具体的には、各サーバーの情報の詳細な比較、WebLogic Server・OS・パッチ等の情報などバージョン差異の検出や、初期化パラメータの比較、違反されたポリシーとその違反数などを検知することができます。これによってWebLogic Serverの管理への投資と工数を削減することが可能になります。
- Provisioning and Patch Automation Pack for Oracle Middleware
自動パッチ適用等
Configuration Management Pack for Oracle MiddlewareもこれまでにOracle ASを利用されたことのあるお客様にはお馴染みの製品ですが、これをWebLogic Server環境でも利用できるようになりました。
Composite Application Performance Management : 分散Application環境のApplication利用状況の可視化を実現
ある意味でユニークな製品かも知れません。しかし、考えてみてください。数十台~数百台のWebLogic Serverとその上で動くさまざまなアプリケーション群、スクラッチ開発されたコンポジットアプリケーション環境、多くのFusion Middleware、これらの相互関係、依存関係を常に最新の状態で管理し可視化することを。いままでこれを実現するには、仕様書を追って確認したり、フレームワークの機能を利用したりして可視化をなんとか実現していました。
分散されたコンポジットアプリケーションのアプリケーション・モジュールや製品間の依存関係を自動マッピングし、それぞれの利用状況の可視化とボトルネックの特定を実施することができます。分散環境のボトルネックは、さまざまなモジュールとの因果関係によって原因が異なりますので、それぞれをマクロな視点で可視化しミクロな視点まで落とし込むということが、分散モジュールレベルで可能になっています。なお、依存関係を自動マッピングする機能がポイントとなっており、全ての情報を人間がインプットするのではなく、実環境の状況が本製品の機能によって収集、描画されます。

図4
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まとめ
これまでご説明したとおり、バージョン11gではWebLogic Serverを中核に、従来からのさまざまなオラクルの優れた製品や機能が統合されました。その機能は、利用効率の悪いサーバーや不要なアプリケーションをスリムにした集約型環境であるプライベート・クラウド環境での利用に最適です。従来製品を利用してプライベート・クラウド環境を構築した場合、運用管理は非常に複雑になりがちでした。しかし今後は、Oracle WebLogic Server 11gを中核に集約型環境を構築していただくことで、ハイレベルな運用管理を実現することができます。
さて、次回はさらなる「WebLogic Serverの進化」に関してお伝えします。上記の機能に加え「WebLogic Serverの進化」を感じていただき、既にある技術と製品でプライベート・クラウド/集約型環境を構築することのメリットをご理解いただければ幸いです。
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統合編|進化編
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中林 真太郎(なかばやし しんたろう)
WebLogic ServerをはじめとするApplication Infrastructure Productの日本における市場開発を担当
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