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Oracle Customer: Kyoto Prefecture/ 京都府
Location: Kyoto, Japan
Industry: Public Sector
Employees: 29,105
Annual Revenue: Over $5 Billion
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京都府は、総務省が2009年度から推進している「自治体クラウド」の開発実証事業に参画し、遠隔地データセンターでのリアルタイム・バックアップや、災害等発生時の迅速な業務復旧の実証実験をおこなった。
「自治体クラウド」とは、地方公共団体の情報システムをデータセンターに集約し、税や福祉、文書管理などのシステムを共同利用することで構築や運用の効率化を目指すもので、電子自治体の情報基盤として、クラウド・コンピューティングを活用する政策だ。
その自治体クラウドの開発実証事業では、全国の自治体を結ぶ「総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network、以下LGWAN)」をインフラとして、(1)データセンターの機能実証、(2)データセンター間接続実証、(3)アプリケーション接続実証をおこなった。このうち京都府で実施されたバックオフィス系業務システムの実証実験のうち、文書事務支援システム(文書管理・電子決裁)のバックアップ・復旧に、Oracle GoldenGate、Oracle Real Application Clusters、Oracle VMが利用され、成功に貢献した。
“京都府では統合データ基盤を構築するなど、情報システムの利用促進によって組織のスリム化と業務効率の向上を進めています。今回の自治体クラウドの開発実証実験では、OSやデータベースの異なるシステム環境を遠隔地でリアルタイム・バックアップでき、なおかつ仮想化によって拡張に柔軟性をもたせることが可能だと実証されました。これによって広域災害発生時でも、業務の迅速復旧の実現性が高まり、府民サービスなども向上していくと思われます” - 京都府 政策企画部 情報政策課 課長 廣瀬 正人氏
「京都府では2004年度に電子府庁推進室という組織を作り、3年計画で14ものシステムや、それに伴うツールの開発をおこないました。プロジェクトを推進するにあたっては、業務のBPR(Business Process Reengineering)の意識をもって取り組みました」と京都府 政策企画部 情報政策課 課長の廣瀬正人氏は話す。
2007年度末から、ほぼすべてのシステムが稼動し始め、ツールも活用へとフェーズが進んだことで業務の改革は着実に成果を上げていった。「今まで見えなかった業務の実態が把握できるようになりました。とくに人事、総務事務、給与など内部管理系の業務ではアウトソーシングを導入するための標準化が実現し、新たな業務処理スタイルの構築が実現できつつあります」(廣瀬氏)。
2008年度からはデータの体系的管理の実現を目指してきた。統一された共通基盤でデータを体系的に管理するアーキテクチャを中心に据え、適正なアクセス権限管理やデータの正当性の担保とともに各システムを機能させる。業務にデータがひもづいているという従来の構造を逆転させ、データに業務やサービスがひもづくというアプローチへと転換した。
「これによって整理されたきれいな業務の流れが見えます。統一的なIT基盤とデータ構造のうえに、業務が乗って稼動するという構造になります」と廣瀬氏は説明する。
地方自治体で進む情報システムの統合と並行して、総務省も各自治体の地域をまたぐ情報インフラ構築を目指し、クラウド・コンピューティングを基盤とする「自治体クラウド」計画を進めている。
地方公共団体の情報システムをデータセンターに集約して効率化を目指す自治体クラウドの開発実証実験が始まったのは2009年度。京都府も北海道や佐賀県とともに実証実験事業に参画した。このプロジェクトで実施された実証実験のうち、京都府では遠隔地データセンターへのバックアップや、非常時の迅速なシステム復旧や柔軟なシステム拡張、などがおこなわれた。
プロジェクトを担当していた京都府 政策企画部 情報政策課 市町村共同化担当 主任の川口浩平氏は次のように実証実験の概要を説明する。「京都府ではデータセンター間接続実証という形で北海道のデータセンターをお借りし、データのリアルタイム・バックアップをおこないました。大規模災害などを想定し、緊急事態発生直後の速やかな業務復旧・行政機能の継続を目的にバックアップサイトが機能してきちんと業務復旧をおこなうことができるかを確認しました」
対象となったのは京都府の文書事務支援システム。実証実験には、緊急時の備えとしてだけでなく、平常時においてもデータをリアルタイムに同期できることで、負荷分散として活用できるのではないかという狙いもあった。京都府と北海道をネットワークで接続する準備作業と環境構築を経て、2010年10月に実証実験はおこなわれた。
本実証においては、行政システムのバックアップを遠隔地に設置したバックアップ拠点に対し行えるか、という視点を中心に、クラウド技術を活用した効率的かつ実用に耐え得る行政機能バックアップシステムの実現性検証が行われた。通常運用時においては、常時バックアップサイトへデータを転送することにより、業務本番運用に必要なデータが安全なバックアップサイトに常時保存されていること。とくに、異種システム環境(異なるOS, 異なるバージョン)で確認をしている。
遠隔地の異種システム環境のレプリケーションを実現する具体的な手段として、京都府のデータセンターからLGWANのVPNを通じて500Km以上離れた北海道のデータセンターへ接続し、Oracle GoldenGateを利用したバックアップ実証が実施された。
「異種システム環境におけるリアルタイムなバックアップが技術的に実証できました。平常時のバックアップサイト運用は、コストを抑えながらリスクに対応できる形が必要です。また、災害時にはすぐに使えるシステムであることも大切です」と川口氏は振り返る。
続いておこなわれたのはデータベースサーバの拡張の検証だ。バックアップサイト側で、適時必要な容量・性能の仮想マシンを用意し、クラウド内でデータベースサーバの拡張を自由におこなえるかを検証した。「実験では1台のデータベースサーバを速やかに3台へ拡張できることが実証されましたので、平常時は最小コストで運用し、必要に応じて拡張できることが確認できました。」と川口氏は話す。具体的には、Oracle RACによるグリッド技術とOracle VMによる仮想化技術を使用してシステム拡張できることを実証しています
アプリケーションの再起動も問題なく確認でき、遠隔地での業務復旧が可能なことも確かめられた。「OSの起動と仮想化環境上のアプリケーションの起動まで10分で可能です。アプリケーションのセットアップについてはサーバーのスペックにもよりますが、2時間から4時間で実現します。大規模災害が発生したとしても数時間以内にシステムは復旧が可能であることが確認できました。」(川口氏)
また、仮想化技術を活用し、別環境にシステム一式を移行することも可能となった。大規模災害が発生した場合でも、速やかに本番環境を安全な地域にある別環境で再稼動して、府民へのサービス提供を迅速に回復できるのだ。またバックアップは同じ地点でも常におこなっているが、災害がバックアップ環境にも及ぶことを想定している。今回、遠隔地にリアルタイム・バックアップできることが実証できたことで、事業継続性の実装方式の選択肢が広がった。
これまで自治体の多くでは、部門ごとにシステムを投入してきた結果として、部分最適が進み過ぎたといえる。しかし近年、全体最適の考え方が普及したことで、行政システムのスリム化とスピード化の手法の道筋が明確になった。住民サービス向上へ、いかに情報システムを有効活用できるかが自治体の情報システム担当者に求められているのだと考えられる。
最後に、こうした課題に取り組む情報システム担当者が大切することとして、任務遂行への意識が挙げられる。京都府の取材を通して、能力や知識もさることながら、担当者にはブレイブハート、折れない心。与えられたミッションを遂行しようとする気概がチームや部下を教育するときの力となること。そして、情報システム担当者は見返りをもとめるのではなく、使命感をもって取り組む姿勢の大切さが伝わってきた。
(本事例の内容は2011年6月のものです)