リコー、MFPを中核とした「オフィスの生産性向上」と「ワークスタイル変革」の提供を目指し、プリントエンジンを制御するコントローラにJava SE を搭載
 
 

リコー、MFPを中核とした「オフィスの生産性向上」と「ワークスタイル変革」の提供を目指し、プリントエンジンを制御するコントローラにJava SE を搭載

株式会社リコー(以下、リコー)では、デジタル複合機(以下、MFP)やプリンターなどの企業向け画像機器や商用印刷向けプロダクションプリンターを中心とした「画像&ソリューション」、サーマルメディア、光学機器、半導体、電装ユニットなどの産業向け製品を製造・販売する「産業」、デジタルカメラの製造・販売、関連会社によるリース、物流などをおこなう「その他」の3つの分野で事業を展開している。
中核となる画像&ソリューション事業では、MFPのプリントエンジンを制御するためのコントローラに、Java Platform, Standard Edition(以下、Java SE)を搭載することになった。2003年以降の同社製品のコントローラには、Java Platform, Micro Edition(以下、Java ME)が搭載されていたが、顧客が企画する自社業務ソリューションの規模は年々大きくなり、同時に多様性も増してきている。その結果、これまで以上に求められる機能が増え、同時に対応すべきアプリケーションの数も増加することが想定される。そこで、これまでの限られた機能にとどまらず、基本性能の向上、デバッグ機能の強化、開発のしやすさ、PCライクなメモリ管理、セキュリティ対応なども期待できるとして、今回Java SEの導入となった。リコーは、これまでも、競合企業にさきがけて、柔軟なプリンティング・プラットホームを活用したソリューション提供をMFP戦略の基軸としてきた。これを実現するには、リコーのみならず、それぞれの顧客の業務を熟知し、技術的にも高い能力をもつサードパーティ企業のポテンシャルを最大限引き出す必要がある。その意味で、組み込み向けに機能が限定されたJava MEから、より幅広い機能を利用できるJava SEに移行したリコーの今回の選択は、顧客に対する、より現実的なワークスタイル変革の提供に大いに貢献するだろう。

 
採用から10年を経てJava MEでは機能が不十分に

A word from Ricoh Company, Ltd.(株式会社リコー)

  • “従来搭載していたJava MEで開発した機能やアプリケーションにほとんど手を加えることなく再利用することができます。PCの開発ノウハウや経験をそのまま生かせるので、開発期間を大幅に短縮できるほか、IT資産の有効活用が可能になります。とくに互換性の維持は、Java SEを利用した大きなメリットの1つといえます” MFP事業本部 GW開発センター 第五開発室 開発二グループ シニアスペシャリスト 江畑 潤氏

リコーの中核的な事業である画像&ソリューションでは、MFPやプリンター、プロジェクター、インタラクティブホワイトボードなど、企業向けの画像機器を中心とした幅広い製品を提供している。また画像機器に関連するソフトウェアや消耗品、ITシステムの構築から運用支援、保守サービス、ユーザーサポートに至るまでのソリューションをトータルに提供している。

 たとえば、2003年以降に提供されているMFPでは、プリントエンジンを制御するためのコントローラやアプリケーションを開発するためのプラットフォームとして、Java Platform, Micro Edition(Java ME)が搭載されてきた。Java MEを採用したのは、顧客の業務が多様化、スピード化したことにより、顧客ごとに必要な機能を柔軟かつ迅速に提供することが必要だったということが大きな理由である。

 MFP事業本部 GW開発センター 第五開発室 開発二グループの大橋英樹氏は、「MFPの利用者が機能を選択するための液晶パネルを独自に制御したいとか、認証技術を組み込んで“誰がいつどれだけ使ったか”を管理したいとか、セキュリティを強化して重要なドキュメントを保護したいなどの要望がありました。こうした要望に柔軟かつ迅速に応えるためには、当時もっとも先進的だったJava MEが最適な選択でした」と振り返る。

 2003年当時のMFPは、メモリ容量が限られていたこともJava MEが採用された理由の1つだった。しかし、Java MEを搭載したMFPの提供を開始して10年以上が経過した現在では、必要な機能を提供するためのプラットフォームとして必要十分なパフォーマンスを発揮できなくなってきた。大橋氏は、「Java MEは組み込み向けのJavaプラットフォームであることから、使用できる機能も組み込み機器向けに限定されていました」と話す。

 「これまでは数個のアプリケーションが動作すれば十分でしたが、今後は十数個のアプリケーションを動作させることを想定しておく必要がありました。そのためJava MEでは、性能面、機能面での限界が見えてきました。またサードパーティに、よりいっそうの開発のしやすさを提供することも必要でした」(大橋氏)

 こうした課題を解決するためにリコーでは、MFPのエンジンを制御するコントローラを実装するためのプラットフォームを、組み込み向けに機能が限定されたJava MEから、より幅広い機能を利用できるJava SEに移行することを決定した。

 
Java SEをリコー独自のアーキテクチャ向けにカスタマイズ

 
互換性の維持で開発期間を短縮し生産性を向上

 
 

 
 

Challenges

  • Java MEにかわる必要十分な性能をもつプリントエンジン制御コントローラを導入し、より迅速に顧客のニーズに応えられるMFPを開発する
  • 新しい制御コントローラの導入により、これまで以上に使いやすい開発環境をサードパーティに提供して、迅速かつ便利なソリューション提供を実現する
  • 顧客が実現できる機能やソリューションの範囲を大幅に拡大する

Solutions

  • 一度コードを書けばすべてのプラットフォームで利用できるため、機種やプラットフォームが変更になっても互換性が維持できた
  • デジタル複合機用アプリケーションの開発生産性や実行速度が向上した
  • オフィスの生産性向上やワークスタイルの変革に向けた、より現実的で個々のユーザーのニーズに合ったソリューション提供が期待できた

Why Oracle

  • リコー独自のアーキテクチャにあわせたJava SEのカスタマイズが可能だったこと
  • 組み込み向けに限定されることなく、Javaの基本機能を大幅に拡張できることが評価された。
「Java MEは組み込み向けのJavaプラットフォームであることから、使用できる機能も組み込み機器向けに限定されていました。これまでは数個のアプリケーションが動作すれば十分でしたが、今後は十数個のアプリケーションを動作させることを想定しておく必要がありました。そのためJava MEでは、性能面、機能面での限界が見えてきました。またサードパーティに、よりいっそうの開発のしやすさを提供することも必要でした」(大橋氏)
 
Java言語の特性(一度コードを書けば、どこでも実行できる)から、搭載される機種やプラットフォームが変更になっても互換性を維持できる点が評価された。
「Java SEに移行したあとも互換性を維持できるので、サードパーティ各社やMFPをお使いのお客様は、Java MEで開発した機能やアプリケーションにほとんど手を加えることなく再利用することができます。PCの開発ノウハウや経験をそのまま生かせるので、開発期間を大幅に短縮できるほか、IT資産の有効活用が可能になります」(江畑氏)
  • Java SEではデバッグ用のモジュールが標準提供されている点が評価された

Implementation Process

2009年末、Java MEをJava SEに移行するための検討を開始。2010年1月より、Java SEを搭載したデジタル複合機の開発を開始。2011年秋、Java SEを搭載したデジタル複合機の提供を開始。

「MFPのプリントエンジンを制御するコントローラは、リコー独自のアーキテクチャにより開発されています。そのため、Java SEをリコー独自のアーキテクチャに合わせた組み込み用のJava SEにカスタマイズする必要がありました。カスタマイズされたJava SEをうまくポーティングできるかどうかが課題でしたが、オラクルの的確なサポートにより、無事にポーティングすることができました」(江畑氏)