Data Transferは、オフライン・データ移行サービスで、ペタバイト規模のデータセットをデータセンターからOracle Cloud InfrastructureのObject StorageまたはArchive Storageに安全に移動できます。パブリック・インターネットを使用してデータをクラウドに移動することは、高いネットワーク・コスト、信頼性の低いネットワーク接続、長い転送時間、およびセキュリティ上の懸念のため、必ずしも最適な方法ではありません。Data Transferサービスでは、これらの課題を克服し、データをクラウドに移行するのにかかる時間を大幅に削減できます。
パブリック・インターネット接続を使用してデータをアップロードできない場合は、Data Transferを使用することをお勧めします。このような場合、アップロードできない原因として、アップロードするデータセットが大きすぎる、インターネット接続が遅すぎる、またはデータのアップロードのために長時間にわたって必要なインターネット帯域幅を確保できないことが考えられます。また、ネットワーク・インフラストラクチャでOracle FastConnectがサポートされていないため、Oracle FastConnectを使用できない場合や、頻繁にデータを転送する予定がないため、FastConnectに投資する価値がない場合にも、Data Transferは優れた代替手段になります。
Data Transferを使用すると、数百TBのデータをクラウドに簡単にアップロードできます。パブリック・インターネット経由でのデータのアップロードに1〜2週間以上かかる場合は、Data Transferの使用を検討することをお勧めします。次の表に示すように、データ転送専用の100 Mbpsのインターネット接続の場合、その接続を介して100 TBのデータ転送を完了するには100日以上かかります。Data Transferを使用すると、配送を含め、約1週間で同じ転送を完了できます。
おおよそのデータ・アップロード時間* | |||||
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データセット・サイズ | 10 Mbps | 100 Mbps | 1 Gbps | 10 Gbps | Data Transferサービス |
10 TB | 92日間 | 9日間 | 22時間 | 2時間 | 1週間 |
100 TB | 1,018日間 | 101日間 | 10日間 | 24時間 | 1週間 |
500 TB | 5,092日間 | 509日間 | 50日間 | 5日間 | 1週間 |
1 PB | 10,185日間 | 1,018日間 | 101日間 | 10日間 | 2週間 |
*表に記載されているデータのアップロード時間は概算であり、Data TransferサービスのSLAと解釈することはできません。データのアップロードにかかる実際の時間は、異なる場合があります。
Oracle FastConnectは、オンプレミスのデータセンターまたはネットワークをOracle Cloud Infrastructureに接続するために、パブリック・インターネットの代わりに使用するネットワーク接続です。通常、パブリック・インターネットベースの接続と比較して、信頼でき安定した専用のネットワーク・エクスペリエンスが必要な場合は、Oracle FastConnectを使用します。
FastConnectは、Data Transferの優れた代替手段になります。可能であれば常にFastConnectを使用してデータを転送することをお勧めします。これは、大量のデータをオラクルの環境に継続的に転送する必要がある場合に特に当てはまります。ただし、FastConnectへの投資が適切できない場合や、データセンターからデータを頻繁にアップロードする予定がない場合は、Data Transferがクラウドにデータを移行するための優れた代替手段となります。
2つのソリューション:Data Transfer ApplianceとData Transfer Disk
Data Transfer Applianceサービスは、オラクルから短期間(30日間)貸与される大容量ストレージ・アプライアンスを使用して、クラウドへのデータ移行を促進します。転送アプライアンスは、アプライアンスごとに最大150 TBの大量のデータを移行する必要がある場合に特に役立ちます。現在、Data Transfer Applianceサービスは、米国およびヨーロッパのお客様にご利用いただけます。
Data Transfer Diskサービスでは、データをクラウドに移行するために独自のハード・ドライブを購入する必要があります。これらのハード・ドライブは、データがObject StorageまたはArchive Storageテナンシに正常に転送された後にお客様に返送されます。ディスク・オプションは、比較的小規模なデータのみを転送する場合、または転送のためにデータをコピーするのに30日以上の時間が必要な場合に適しています。
このよくある質問のページでは、Data Transfer Diskについて説明しています。Data Transfer Applianceの詳細については、Data Transfer Applianceに関するよくある質問のWebページを参照してください。
転送ジョブ: 転送ジョブは、Oracle Cloud Infrastructureにアップロードされるデータセットの論理表現です。転送ジョブを作成すると、データをOracle Cloud Infrastructure Object Storageに移動するインテントが送信されます。転送ジョブに関連付けられているすべてのデータは、選択した指定のObject Storageバケットにのみ移動できます。転送ジョブには、少なくとも1つの転送パッケージと1つの転送ディスクがアタッチされています。
転送ディスク: 転送ディスクは、お客様が所有するハード・ディスク・ドライブであり、Data Transfer Utilityを使用して特別に準備されます。移行するデータは、Oracle Cloud Infrastructure Object Storageにアップロードする前に、転送ディスクにコピーする必要があります。
転送パッケージ: 転送パッケージは、お客様がオラクルに送付するパッケージの論理表現です。各転送パッケージにはディスクを1つ含めることができます。
まず、転送ジョブを作成します。転送ジョブは、Object Storageにインポートするデータセットを表します。次に、転送ディスクを準備する必要があります。転送ディスクは、ターゲットObject Storageバケットにコピーされるデータの転送に使用するハード・ドライブ・ディスク(HDD)を表します。最後に、転送パッケージを作成し、転送ディスクをその転送パッケージにアタッチします。転送パッケージは、オラクルに送付する単一のパッケージを表し、一意の配送業者追跡IDを使用して追跡できます。
オラクルがオラクルのデータ転送サイトで転送パッケージを受け取ると、オラクルのデータセンター・オペレータが、転送ディスクから指定されたObject Storageバケットにデータをコピーします。お客様は、Data Transfer UtilityまたはOracle Cloud Infrastructureコンソールを使用して、各転送パッケージと転送ディスクのステータスを追跡できます。データ転送が完了すると、データがアップロードされたバケットに転送ログ・ファイルがコピーされます。データが期待どおりにアップロードされたことを確認したら、転送ジョブをクローズしてください。その後で、オラクルがデータをディスクから安全に削除し、お客様が指定した返却先住所に転送ディスクを返却します。
コンソールまたはData Transfer Utilityを使用して、Oracle Cloud Infrastructure Data Transfer Diskを開始できます。ただし、次のいずれかの方法で、最初にOracle Cloud Infrastructureにサイン・アップする必要があります。
Data Transfer Diskを使用して、Oracle Cloud Infrastructureストレージ・サービスにデータを移動できます。データ転送プロセスが終わると、インポートされたデータがOracle Object Storageで使用できる状態になります。そこから、Oracle Cloud Infrastructureツールを使用して、必要に応じて他のサービスにデータをコピーできます。RMANバックアップの場合、Object Storageからデータベース・インスタンスにデータを移動するのに役立つ深い統合が存在します。
Data Transfer Diskを使用すると、単一の転送パッケージでドライブ1台分のデータをインポートできます。ドライブ1台分を超えるデータをインポートする必要がある場合は、データを複数の転送パッケージに分割する必要があります。Data Transfer Diskに関するデフォルトのサービス制限を確認して、テナンシで作成できる転送ジョブ、転送パッケージ、および転送デバイスの数を判断してください。制限の引き上げをリクエストする場合は、Oracle Supportにご連絡ください。
次のタイプのディスクを使用してデータを転送できます。
お客様には、必要な数のハード・ドライブを購入し、指定された手順に従ってデータをHDDにコピーして、ディスクをオラクルのデータ転送サイトに発送する責任があります。データがOracle Cloud Infrastructure Object Storageに正常に転送されると、ハード・ドライブは受信時と同じ暗号化された状態でお客様に返送されます。
Oracleでは、ディスク・インポート・ジョブに使用されるディスクの動作保証またはテストは行いません。ディスク容量の要件とディスクI/Oを計算して、データ転送のニーズに最適なUSB 2.0/3.0ディスクを決定してください。
PINコードを持つディスクはサポートされていません。
いいえ。現在、オラクルでは、セキュリティとコンプライアンスに関連するさまざまな問題のため、HDDの貸与をサポートしていません。ただし、オラクルは、貸し出しが可能なData Transfer Applianceを提供しています。詳細については、Data Transfer Applianceに関するよくある質問を参照してください。
いいえ。無制限の数のData Transferサービス・リソースを作成することはできません。Data Transferに関するデフォルトのサービス制限を確認してください。
テナンシのデフォルトの制限を引き上げたい場合は、Oracle Support.にお問い合わせください
Data Transferサービスは、現在us-phoenix-1、us-ashburn-1、eu-frankfurt-1、uk-london-1、ap-tokyo-1、ap-osaka-1、sa-saopaulo-1、us-luke-1、us- gov- ashburn-1のOracle Cloud Infrastructureリージョンでサポートされています。EU内のデータは、フランクフルトにのみ送信できます。
オラクルが物理的にデータを受け取ってから、お客様のアカウントにデータをロードするのにかかる時間は、使用するハード・ドライブの種類、平均ファイル・サイズ、インポートするデータの総量など、複数の要因の影響を受けます。転送デバイスは、先着順に処理されます。平均ファイル・サイズが小さくデータの量が多い場合は、インポートに時間がかかります。現在、オラクルは、データのアップロード時間に関連するSLAの保証を行っていません。
Data Transfer Utilityを使用すると、オラクルに送付する前に転送デバイスの構成を検証できます。これにより、よくある間違いを発見し、時間を節約できます。詳細については、製品ドキュメントを参照してください。
Data Transfer Utilityまたはコンソールを使用して、各転送パッケージおよび各転送ディスクのステータスを確認できます。転送ディスクが処理された後、転送ログが、指定されたObject Storageバケットに保存されます。正常にインポートされたファイルには、フラット化されたオブジェクト名と計算されたMD5チェックサムが含まれます。データの元のコピーを削除する前に、転送ログを確認する必要があります。
はい。Data Transfer DiskがサポートされているOracle Cloud Infrastructureリージョンに、国をまたいで転送デバイスを発送できます。国際通関手数料が必要な場合は、お客様のご負担となります。
各転送デバイスのデータがターゲットバケットにコピーされた後、ハードドライブ上のデータは安全に削除されます。その後、転送パッケージの作成時に指定された返却先住所に単一のパッケージとして返送されます。
最大10 TBのファイルをアップロードできます。インポート・プロセスでは、10 TBを超えるファイルはスキップされます。
お客様は、FedEx、UPS、またはDHLのいずれかの配送業者を使用してパッケージを送付できます。
特定の転送ジョブにアタッチされたデータセットは、指定された1つのバケットにのみ移動できます。データを複数のObject Storageバケットにアップロードする必要がある場合は、複数の転送ジョブを作成する必要があります。
はい。データがターゲット・バケットに正常にコピーされたことを確認するまで、データのバックアップを保持する必要があります。
HDDを使用してデータをインポートするには、ファイル・システムをEXT4ファイル・システムとしてフォーマットする必要があります。
ファイルはオブジェクトとしてターゲット・バケットにアップロードされます。オブジェクトの名前は、ファイルのフラット化されたパスです。
ファイルがバケットにインポートされるとき、バケットに同じ名前のオブジェクトがすでにある場合、ファイルはアップロードに失敗し、既存のオブジェクトはそのまま残ります。ファイルのアップロード失敗に関するステータスは、アップロード・サマリー・レポートに記録されます。
いいえ。ファイル・システムのメタデータは、ターゲット・バケットにインポートされるときに保持されません。オブジェクト名は、ファイルのフラット化されたパスになります。タイムスタンプは、オブジェクトが作成された時刻です。
はい。オラクルは、転送ジョブ、転送パッケージ、および転送ディスクの各レベルで状態の変化を厳格に管理しています。ステータスは、コンソールまたはData Transfer Utilityを使用して確認できます。
転送元のシンボリック・リンクを維持する必要がある場合は、転送元ディレクトリをtarし、データを単一のオブジェクトとしてコピーしてください。
はい。コンソールまたはData Transfer Utilityを使用して、転送ジョブを削除したり、転送パッケージまたは転送ディスクをキャンセルしたりすることができます。転送ジョブのステータスがActiveに変化した後は、転送ジョブを削除できません。転送パッケージと転送ディスクは、ステータスがProcessingに変化する前であれば、キャンセルできます。
転送パッケージまたは転送デバイスがキャンセルされた場合、Object Storageにデータをアップロードせずに、お客様に返送されます。
はい。転送ジョブには複数の転送パッケージをアタッチできます。ただし、各転送パッケージは、一意の配送業者追跡IDで追跡する必要があります。Data Transferに関するデフォルトのサービス制限については、こちらで確認できます。
はい。複数の住所を使用して、転送パッケージの発送と受け取りを行うことができます。単一の転送ジョブを使用して、複数の場所から転送パッケージを発送することもできます。
はい。必要なIdentity and Access Management(IAM)資格情報を提供して、そのバケットへのアクセスを確立できる限り、サードパーティのバケットにデータをアップロードできます。関連するすべてのObject Storageコストは、バケットを所有するサードパーティが負担します。
データを転送ディスクにコピーすると、マニフェスト・ファイルに、すべてのファイルのMD5チェックサムが反映されます。データがバケットにアップロードされると、マニフェストのMD5チェックサムとアップロードされたデータのMD5チェックサムが照合され、アップロード・プロセス中にデータの整合性が損なわれていないか確認されます。
コンソールまたはData Transfer utilityを使用して、リージョン固有の送付先住所を照会できます。
転送パッケージが行方不明になったと考えられる場合は、配送業者に連絡してパッケージのステータスを確認してください。
オラクルが転送パッケージまたは転送ディスクが破損していると判断した場合、その特定のパッケージまたはディスクのアップロードプロセスをスキップし、HDDを通常どおり返送します。転送ディスクを処理できなかった場合、「エラー」状態に設定されます。指定したバケットにファイルをアップロードできなかった場合は、アップロード・サマリーに記録されます。
オラクルは、データ転送媒体の安全性に関して、一切の表明を行わず、一切の責任を負いません。お客様は、データがObject Storageバケットに期待どおりにアップロードされたことを確認するまで、データのバックアップを保持する必要があります。
データは、オラクルへの輸送中にAES-256暗号を使用して暗号化されます。暗号化キーはディスクとともに送付せず、インターネット経由でオラクルに提供されます。オラクルがディスクを受け取ると、データを復号化してからターゲット・バケットにインポートします。アップロード中、データはSSL/TLSを使用して暗号化されます。
はい。オラクルは、データをディスクから削除してから、転送ディスクを返却します。
オラクルがパッケージを受け取った後、ディスクは、オラクルの従業員と請負業者のみが取り扱います。
Oracle Data Transfer Diskサービスは無償で提供されています。データがObject Storageバケットに正常に転送されると、Object Storageの使用に対してのみ課金されます。
HDDの購入費用、オラクルの転送サイトとの間でのデータ転送費用、国際通関手数料が必要な場合は、お客様の負担となります。
お客様は、発送時と返却時の両方の配送料を支払う責任があります。オラクルへの発送について、お客様は配送料と国際通関手数料(必要な場合)を支払う責任があります。お客様へのHDDの返却について、オラクルでは、有効な返送ラベルの提供と国際通関手数料の支払い(必要な場合)をお客様に求めます。