データサイエンス・分析担当VP、Karthik Venkatasubramanian | 2021年6月30日
たとえば、家族のイベントやキャンプ旅行を計画する時や、週末に何をしようか考える時のことを想像してみてください。ほとんどの人にとって、天気予報を確認することは計画を立てる前の重要なステップです。
深く考えずにやっていることですが、次の2つの簡単な質問に答えられる人はどれだけいるでしょうか?
驚くことに、これらの質問に正しく答えられる人はあまりいません。予測の精度は、どのくらい先の予測が行われるかによって異なります。1日後の予測は、10日後の予測よりもはるかに正確です。気象機関によっては、他よりもさらに複雑なモデルを採用しているところもあります。予測が難しい理由は簡単にわかります。複数のデータソースがあり、そのほとんどが動的だからです。
履歴データは、学習に使用するデータを提供する上で最も安全な手段です。モデリングと予測により、その日の天気や7日後の天気がどうなるかを判断します。
結局のところ、ほとんどの人が、情報が全くないよりも、天気予報に基づいて決定することを選ぶと言えます。天気予報は正しいとは限りませんが、そのような予測がなければ、意思決定や計画のための根拠がなくなります。
プロジェクト・チームは積極的にデータをモニターし、意思決定に使用します。たとえば、次位ユーザー・レポート、未処理および期限超過の承認の追跡、最新情報に基づくスケジュールや予算の更新などがあります。「記述分析」と呼ばれることが多いこの種のレポートとダッシュボードは最近、不可欠な要素と見なされるようになっています。
しかし、これらの指標のほとんどは「遅行指標」であり、今後起こり得ることではなく、すでに起こったことに重点が置かれます。このような指標をもとに、意思決定者は軌道修正し、事後的に対応することができますが、選択肢が限られてしまうことがよくあります。
意思決定者は、期限超過のRFIの追跡や、遅延したデザイン・レビューのフォローアップを行い、できる限り早い対応が必要な事項を現場ミーティングに取り入れることができます。しかし、他にもできることがあったら、どうでしょうか?
建設関連の企業は、天気予報と同様に、今後起こり得ることを見越して、それに基づいて意思決定を下せるようにするための先行指標を必要としています。機械学習(ML)を使用して、プロジェクトの遅延を予測するだけでなく、遅延する可能性のあるアクティビティを特定できると想像してみてください。
どのような理由でその予測が立てられているのか、そして今どのような対応をとれば予測される遅延を軽減できるのかを把握できたら、どうなるでしょうか?オラクルは、新たに発売されたAI搭載ソリューションであるOracle Construction Intelligence Cloud Advisorを使用して、そのような疑問に答えようと努めています。
このOracleソリューションは、最初のスケジュールが作成された時点から、過去および現在の状況に基づいて積極的に問題を探り、遅延の確率を予測します。このOracleツールは、現在のプロジェクト・データからパターンを検索し、特定したパターンを過去に起こったことと関連付けようとします。
予測ツールは、プロジェクトで作成されたデータを継続的にモニターし、プロジェクトの進行に応じてそれらの予測を改善します。
天気予報と同様、これらの予測の正確性は履歴データの可用性と入手可能な情報の質によって決まります。一般的には、スケジューリングのエラーが早い段階で特定されるように、大半のスケジューリング・プラットフォームでDCMAチェックリストを使用するなど、データ品質の改善に継続的に重点が置かれています。
MLは今後、論理エラーや順序付けエラーの特定に使用されるだけでなく、特定と分析を容易にするためのベストプラクティスに沿ったアクティビティへのラベリングに推奨を設定することにも段階的に使用されるようになります。
これは何を意味するのでしょうか。プロジェクトが順調に進まない理由は、無数と言えるほどたくさんあります。
遅延の理由が何であっても、機械学習と優れたモデルにより、遅延の可能性を積極的にモニターし、管理しています。予想外の問題の影響を軽減または最小限に抑えるための事前対策を講じることで、スケジュールに沿ってプロジェクトを遂行する際の予期せぬ事態を全般的に減らすことができます。
スケジュール予測は、最近の標準化の流れからも恩恵を受けます。プロセスとアクティビティを標準化するほど、予測は向上します。多くの組織が異なるシステムを統合しています。このため、サイロ化された複数のシステムから統合されたデータセットが用意され、それにより、予測するための包括的なコンテキストが提供されます。
新しい予測テクノロジーが常に正確であるとは限りませんが、AIとMLは時間の経過とともに学習し、改善していくため、このテクノロジーの活用は代替の手段よりも優れています。データ品質と予測精度はともに、時間の経過に伴って向上します。
映画や音楽、自動運転車、モバイルでの予測テキスト、画像認識、ショッピングの推奨事項は、時間の経過とともに改善されてきました。5日間の天気予報も現在は90%の確率で当たります。
今は、デジタル・アシスタントの理解力も高まっています。このようなテクノロジーの応用は業界にとって新しい革新的なことですが、これらのソリューションはすでに長年存在し、複数の業界および消費者向け製品に順調に導入されてきました。
業界のデジタル化とデータ化が進むと同時に、クラウド・コンピューティング機能がこれまでになく向上したことで、AIやMLの活用が一段と進み、人々の想像力が及ばないほど大きな可能性が広がっています。このようなツールの潜在能力を最大限に活用しなければ、チャンスを逃すことになりかねません。
「建設業における予測AIの活用例」という事業概要で、増え続けるデータを最大限に活用して、期日内、予算内のプロジェクト遂行を実現する方法をご確認ください。
建設管理ソフトウェアおよびプロジェクト・ポートフォリオ管理ソリューションのグローバル・リーダーであるOracle Construction and Engineeringは、プロジェクトと資産のライフサイクル全体でチーム、プロセス、データを結び付けるのに役立ちます。プロジェクト管理、建設スケジューリング、ポートフォリオ管理、BIM/CDE、建設支払管理などに対応する実績あるソリューションにより、プロジェクト遂行の効率性と制御を推進します。