日本オラクル特集記事

IT先進国のエストニアも
2013年に電力自由化を導入

日本オラクル株式会社
公益グローバル・ビジネス・ユニット
シニアセールスマネジャー
本多 貴博

 

エストニアの電力供給を支える電力会社EESTI Energiaが求めたのは、お客様中心でかつ膨大な情報を処理、管理できる基盤だった

エストニアといえば、スカイプが誕生した国であり、またインターネット選挙などを早期から導入するなど、行政や生活のなかでのIT活用を積極的に推進するIT先進国として有名だ。同国でも2013年に電力の全面自由化を導入している。エストニアは2004年にEUに加盟しており、EU加盟国はEU電力指令により、送配電部門を法的分離すること、小売りを自由化することが義務付けられたのである。

同国の電力供給を支える電力会社EESTI Energiaは、1939年にエストニア共和国の100%出資の国営企業として設立し、47万の個人と2万6,000の企業のお客様に電力を供給している。エストニアの人口は約30万人、そのうちEESTI Energiaで働く従業員は8,000名で国内最大規模、エストニア、ラトビア、リトアニア、そしてフィンランドに事業展開している。

2013年にエストニアの電力市場で完全な自由化を迎え、その後2015年にかけてラトビアやリトアニアでの自由化が徐々に進むことが予定されていた。日本では、東京電力が約2,700万、関西電力が約1,200万の家庭向け需要家数を保有するといわれている。その規模と比較すると、EESTI Energiaは50分の1程度の規模であるが、自由化市場おいて競争力のあるサービスを迅速にお客様に提供可能とするためには旧来のシステムでは対応できず、それに備えるための大規模なシステム改革に踏み切った。

電力自由化によって求められた変革は、まずお客様を個として認識し、その個々のお客様のニーズに対応できる体制と仕組みづくりだった。そのためにはお客様の情報がより詳細に管理でき、かつお客様との関係性を強化できるようなお客様中心のシステムを構築する必要があった。

従来は毎月まとめて一定の料率でお客様に請求すればよかったが、自由化によってお客様により料率をはじめとする契約内容が異なってくる。この個々のお客様の要望に柔軟に対応するメニューの作成や請求ができる仕組みが求められた。お客様とのやりとりや情報管理の頻度は、月次中心から日次中心の業務へと変更になり、それによってデータ処理は複雑化し、データ量は膨大になることが想定された。また、エストニアではスマートメーターの導入も進んでおり、49万6,000の個人と企業のお客様のメーター情報をひとつのシステムに統合し、正確かつ安定的に集める必要があった。

このような中、EESTI Energiaが行ったシステム改革の対象は2つ。メーターデータ管理システム(MDMS)と顧客情報管理システム(CIS)である。「Oracle Utilities Meter Data Management」によるメーターデータ管理システムは公益企業にとってのいわば生命線である。メーターデータの情報を正確に収集できなければお客様の利用状況を把握することもできず、そうなるとお客様に料金の請求もできないので収益を得ることができない。エストニアでのスマートメーターの導入の加速により、今までの何百倍ものデータを収集、管理することが求められ、それを安定的かつ高性能に実現できるシステムを導入した。さらにお客様との関係強化という点で「Oracle Utilities Customer Care & Billing」を新顧客情報管理システムとして導入した。49万6,000のお客様情報を統合し、情報の管理や関係強化に必要なあらゆる機能を網羅的に活用した。

そしてそのお客様に対して自由化市場における新しい電力サービスメニューを作って、インターネットを通じて販売することも行っている。現在、お客様から電話での問い合わせが毎月約5,000件ある。「Oracle Utilities Customer Care & Billing」のシステムによって、このようなお客様からお問い合わせに対して情報、契約内容、請求書、利用量などがすぐに分かるようになっており、お客様への速やかな回答が可能になった。さらに約半数の個人のお客様がインターネットのセルフサービス機能を使っている。インターネットでのセルフサービス機能の利用は以前より70,000件増えて毎月270,000件になった。これによってカスタマー・エクスペリエンスの向上とお客様対応業務の生産性向上の両方を実現している。

本多 貴博は、公益業界の中でも電力ビジネスに新規参入される企業を中心に担当しています。