Oracle Cloud 顧客事例

変化の激しい業界を戦う
創業200年に向けた
老舗化粧品メーカーの取り組み

 

「ヒロインメイク」などのブランドが有名な伊勢半は、江戸時代に紅屋として創業された200年近い歴史を持つ総合化粧品メーカーだ。変化の激しい業界だけに、ブランドや商品ごとの動きからは一瞬たりとも目を離せない。そのための重要な手段が管理会計である。2016年にクラウドを導入し、業務負荷の軽減とともに見える化のレベルを大きく高めた。

グループ全体で約40のブランドをいかに管理するか

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ドラッグストアなどで伊勢半が展開する化粧品の例
ヒロインメイク(左)(中)ヘビーローテーション(右)

 小売業界は激しい環境変化にさらされているが、化粧品業界もまた例外ではない。近年、化粧品の国内市場は微増という状況だが、中長期的には人口減の影響は避けられない。また、百貨店やスーパー、コンビニ、ドラッグストアといった販売チャネルの勢力図は常に変化しており、昨今ではネット販売もシェアを大きく拡大している。

 このように大きな変化に直面している化粧品業界の中で、近年順調な業績を上げているのが伊勢半である。ここ数年、同社は5%成長という目標値を超える成果を残している。

 伊勢半は長い歴史を持つ総合化粧品メーカーである。1825(文政8)年に創業され、紅屋としてスタートした同社グループは、現在でも伝統的な製法で生産される「小町紅」を提供する。その一方で、「ヒロインメイク」や「ヘビーローテーション」、「キスミーフェルム」といったブランドが人気だ。イメージモデルに有名タレントを起用したり、若者層のファンづくりを目指してSNSを活用したりするなど、新しい取り組みにも積極的にチャレンジしている。

 伊勢半の商品は国内だけでなく、海外10カ国以上でも販売されている。特に代理店ルートで販売している韓国、台湾、香港と自社販売網を持つ中国は重要市場だ。国内市場の成熟という大きな課題に向き合いつつ、伊勢半は長期的な視点で施策を積み重ねてきた。

 伊勢半が扱うブランド数は約20、グループ全体では約40に達する。各ブランドが口紅、アイライナー、マスカラといったカテゴリーの商品ラインアップを持ち、色のバリエーションなどを含めると膨大な数のアイテムを抱える。全ブランドを合わせると1000近くのアイテムがあり、かなりの頻度で新陳代謝もある。

 消費者の嗜好の変化が激しいだけに、ちょっとした売れ行きの変化も見逃せない。各ブランドの売り上げや経費を含めた管理を精緻化する必要がある。そこで、同社はこれまでブランド管理の仕組みを進化させてきた。

収益性確保のために正確かつ迅速に業績数値を把握

 伊勢半におけるブランド管理の大きな柱が、年度単位の予算編成と月次の予算・実績(予実)管理である。年度予算の編成は毎年11月中旬に始まり、2月まで続く。同社は2月期決算で、2月のうちに3月に始まる新年度の予算が決定される。もう1つの予実管理については、毎月の売り上げや経費の実績値が出そろった段階で、予算との比較検討が行われる。これらの報告を基に、経営層は様々な意思決定を行う。

 「収益性確保のために、全社の活動をいかにコントロールするか。そのためには、事実を正確かつ迅速に把握して経営陣に報告する必要があります。それが、私たちの重要なミッションです」と語るのは、伊勢半事業管理部 部長の河本利幸氏である。河本氏の事業管理部は、グループ全体の予算編成や業績管理などを担っている。各部門からのデータや情報を集約し、ブランドや海外展開国ごとに数字を分析して経営の意思決定を支えている。

 月次の予実管理について、事業管理部 副主事の谷許裕子氏がこう説明する。

 「月々の実績値が出た段階で、予算との差異を見ます。差異が大きいものについては、その原因を究明します。実績や予算の明細情報をたどることで原因がつかめることもあります。はっきり分からない場合には、ある程度アタリをつけて該当部門に問い合わせます」

 ただ、こうした管理業務には従来大きな課題があった。

 「グループ内には、支店や研究、開発、製造などの部門が約50あります。予算編成や予実管理のサイクルを回すために、これらの部門との間ではExcelベースでデータのやりとりをしていました。部門ごとに必要な項目、不要な項目があるので、送付するExcelの内容は変わります。そこで、こちらでデータをExcelに切り貼りして各部門に送付していました」(谷許氏)

 毎月の実績データを基に、事業管理部が予実管理のExcel資料を作成する。実績データは会計システムや基幹システム、予算はExcelベースで管理していたため、同じシステム内で比較検討することができない。そこで、システムのデータをいったんExcelに落として加工し、合体させる必要があった。

 こうして作成したExcel資料を約50の部門に送付し、現場で必要事項を入力してもらった上で回収するのだが、このやりとりが1度で終わるとは限らない。

 「報告数値の精度を高めるため、年度の予算編成を行う11月中旬から2月にかけては、短期間の間に約50の部門との間で何度もExcelが行き来することになります。また、予実管理では毎月、これらの部門に対してExcel資料を作成し送付します。この毎月の業務に1人がほぼ丸1日をかけていました」(谷許氏)。

見える化の精度向上により、意思決定の質とスピード向上に期待

 従来の人手に頼った方法は業務負荷が大きい。管理の精緻化を進めようとすると、その工数はさらに増大する。そこで、伊勢半では管理会計の仕組みの抜本的な見直しに着手した。システムとして導入されたのが、オラクルの予算管理クラウド「Oracle Planning and Budgeting Cloud Service(Oracle PBCS)」である。

 2016年10月に導入されたOracle PBCSにより、各部門との情報共有環境は大幅に改善。従来は個別に送付していたExcel添付メールは、今では「情報を更新しました」とのメールを一斉送信するだけ。Oracle PBCSにより各部門に対してデータの公開範囲が自動で制御されており、ほぼ1日がかりだった約50の部門に対するExcel資料の作成および送付業務が、短時間ですむようになった。また、秋から冬にかけての予算編成業務の負荷も大幅に削減された。

 「予算と実績を1つのシステムの中で見られるようになりました。予実の一元管理により、差異の分析が効率化しました。従来は手間のかかっていた、予算編成時の各部門から集めた数字の集計作業も、かなりラクになりました」(谷許氏)。

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Oracle PBCSのサンプル画面:予算策定におけるタスクリスト

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Oracle PBCSのサンプル画面:ダッシュボード

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Oracle PBCSのサンプル画面:予実管理

 こうした業務の効率化は、管理会計の精度向上につながっている。河本氏は「より深い分析ができるようになり、経営に対する報告の質も高まっています」と語る。

Oracle PBCSの導入により予実の差異の分析が効率化した

 現状では、Oracle PBCSは、経費の分析を中心に活用されている。今後はさらに広範な情報を取り込んで、管理会計のさらなる高度化にチャレンジしたいと河本氏は考えている。

 「基幹システムで持っている明細データをOracle PBCSに取り込むことで、より高度な管理会計が実現できるのではないかと考えています。また、現状では手作業で行っているブランド別の損益管理にOracle PBCSを活用すれば、大きな効率化につながるとも考えています」(河本氏)

 Oracle PBCSによって、伊勢半はビジネスの全体像をより早く、効率的に把握できるようになった。以前から見える化が進んでいたが、現場も管理側も、すぐに情報にアクセスできるようになった。ビジネスを見える化する基盤が整ったことで、意思決定の質やスピードのさらなる向上が期待されている。

【関連情報】
クラウド型予算管理・管理会計システム:Oracle PBCS
Oracle PBCS導入事例

※本記事は、nikkei BPnet特番サイト「Digital Transformation」に掲載された記事です。

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