日本オラクル特集記事

ラリー・エリソン:クラウドの選択肢を
提供するオラクルの戦略

オラクル・コーポレーション
クリス・マーフィー

 

オラクルの経営執行役会長 兼 CTOであるラリー・エリソンは、10月25日からはじまったOracle OpenWorld冒頭の基調講演で、オラクルがクラウド分野の競合企業であるAmazon、Microsoft、Salesforce、およびWorkdayとは異なるアプローチで、いかにクラウドのサービスと戦略に取り組んでいるのかを明らかにした。

エリソンによると、例えばオラクルはクラウド・サービスをオープン・スタンダードに基づいて構築しているため、顧客は所定のワークロードを実行する場所として、オラクルのクラウド、自社のデータセンター、あるいは競合企業のクラウドから選択することができる。サンフランシスコのモスコーニ・センターで行われたその基調講演では、「顧客に選択権があるため、当社は顧客を引き留めるために懸命に努力する必要がある」と述べている。

エリソンはクラウドへの移行を、「パーソナル・コンピュタへのシフトに劣らないほど重要な、コンピュータの世代交代」と表現している。この歴史的なシフトにおいて顧客を獲得するために、オラクルがクラウド製品を差別化している6つの方法をエリソンは述べている。

• オラクルは、ソフトウェア、プラットフォーム、インフラストラクチャという3つのクラウド・レイヤーすべてを提供している。
これに匹敵する競合企業はMicrosoftだけである。

企業はまず、個別の機能を手に入れるためにクラウド・アプリケーションを購入するが、すぐに他のアプリケーションとの統合や、アプリケーションを拡張するための追加機能の構築が必要になってくる。こうした目的に対応できるよう、オラクルのクラウド・プラットフォームには、「Oracle Database Cloud Service」と、統合、アプリケーション開発、ビッグデータ管理などのツールが含まれている。

「SaaSビジネスに本格的に取り組みたいのであれば、SaaSアプリケーションを拡張して他のアプリケーションと統合できるプラットフォームが必要」とエリソンは語る。小規模なSaaS企業は、オラクルのように統合、開発、データベース・サービスのためのプラットフォームを提供することができない。Salesforceはプラットフォームだけでインフラストラクチャは提供しておらず、そのプラットフォームも業界標準に基づいていないため、顧客が別のプラットフォームにアプリケーションを移動するには、大幅な再コード化が必要になる。Amazonにはエンタープライズ・アプリケーションがなく、Workdayはプラットフォームもインフラストラクチャも提供していない。Microsoftは3つのレイヤーすべてを提供しているが、アプリケーション・ポートフォリオが大幅に異なる。

• オラクルは他社よりも多くのクラウド・アプリケーションを提供している。クラウド・アプリケーションは構築がきわめて難しい。

例えばオラクルのERP顧客は1,300社を超えていることから、「Oracle ERP」は、ERP分野の競合であるWorkdayを大きくリードしている。エリソンは、オラクルの比類のないクラウド・アプリケーション・ポートフォリオに対し、製造工程の管理に使用できるアプリケーションや、カスタマー・サービスとEコマース・サービスを1つにまとめたモジュールなどが新たに追加されたことも発表した。またエリソンは、オラクルがクラウド向けソフトウェア全体の再設計を10年前に開始し、現在はほぼ完了していることを、オーダー管理から物流、調達、製品データ管理に至る機能や、通信業界の課金や製薬業界の臨床試験管理などの業界別アプリケーションを引き合いに出しつつ語った。オラクルは、CRMおよびHCM(ヒューマン・キャピタル・マネジメント)クラウドに、それぞれ約5,000社の顧客を有している。

エリソンは次のように語っている。「多大な労力と、多くのソフトウェアが投じられている。既存のソフトウェアを改善してホスティングするのではなく、Fusion Middleware上ですべてのコードを100%書き直している」

• オラクルは、すでに最大であるクラウド製品ポートフォリオに対し、革新的な製品を追加し続けている。

エリソンは、製造やEコマース/カスタマー・サービス向けのクラウド・アプリケーションに加えて、クラウド・プラットフォーム・ツールである「Oracle Database 12c」の最新版も発表した。これにより技術者以外のスタッフも、ドラッグ・アンド・ドロップ機能を用いて、アプリケーション向けに新たな拡張機能を構築できるようになる。また、新しいクラウド・インフラストラクチャ製品や、ビッグデータの準備・検出・視覚化に向けたクラウド・サービスも発表された。

こうしたクラウド・サービスのユーザー・インタフェースはすべて、Facebook、Uber、またはAirbnbといった消費者サービスからヒントを得ており、PCに加えてスマートフォンやタブレットからもアクセス可能だ。エリソンは次のように述べている。「それこそが、私たちに期待されていることだ。きわめてシンプルで、視覚的で、直観的なユーザー・インタフェースが求められている。それを構築するために、当社は奮闘している」

• クラウド分野におけるオラクルの競合は新しい企業であり、IBMやSAPはほとんど存在感がない。

SAPは今でも世界最大のビジネス・アプリケーション企業だが、クラウド・アプリケーションに関しては、オラクルの競合となることはほぼ皆無であり、主にSalesforceやWorkdayとの競合になるとエリソンは語っている。インフラストラクチャ分野においては、IBMがオラクルの長年の競合企業だが、現在はAmazonがリードしていて、Googleも時折肩を並べるようになった。

エリソンは次のように語っている。「世界はこのように大きく変化している。当社がこの20年間絶えず注目していた二大競合企業はIBMとSAPだったが、もはやどちらにも注意を払うことはない」

• オラクルには、「Oracle Cloud」の方向性を決める6つの「設計目標」がある。

エリソンによると、オラクルでは6つの設計目標が、「Oracle Cloud」におけるソフトウェア、プラットフォーム、インフラストラクチャ製品の開発を特長づけている。「Oracle Cloud」の目的は、総運用コストを最小限に抑え、信頼性を提供し、パフォーマンスを最大限に高め、オープン・スタンダードに準拠し、クラウドとオンプレミス間で移動できるよう互換性を提供し、常時有効なセキュリティを組み込むことにある。

セキュリティはクラウド利用者にとって大きな悩みの種であるため、エリソンは初日から2日後に実施した2度目の基調講演で、データベースや半導体レベルに至るまで、クラウド・スタックの深部にセキュリティを組み込むというオラクル独自のアプローチを説明した。

エリソンは次のように述べている。「初期あるいは最近のクラウド企業ですら、セキュリティをアプリケーションに組み込んでいる。アプリケーションは、セキュリティにふさわしい場所ではない。セキュリティは常に、スタックの深部に配置するべきだ。アプリケーションよりもデータベースにセキュリティを組み込むほうが適切であり、はるかに優れた仕事ができるようになる」

• オラクルにより企業は、クラウドとオンプレミス・システムの共存を「華麗に」管理できる。

エリソンによると、次世代のクラウド・コンピューティングへのシフトが始まってから15年が経過しているが、オンプレミスのコンピューティングも、割合は減るものの今後10~20年間は重要性を保ち続けると考えられる。

企業は、さまざまな理由でクラウドとオンプレミスの双方のシステムを使用するであろう。たとえば、クラウドでアプリケーション開発やテストを行い、社内で展開したり、本番システムを社内で実行し、クラウドにバックアップを行ったりする。オラクルは、ITがこの歴史的な移行にどのように対処しても、適切なアプリケーションやプラットフォームを提供する計画だ。

エリソンは、次のように語っている。「私たちはこの移行に、華麗に対応する必要がある。データセンター内で実行されているシステムと、クラウド内で実行されているシステムの間に互換性があれば、それは可能だ」

免責事項
オラクルの将来の計画、期待、信念、意図に関する本記事内の記述は「将来に関する記述」であり、重大なリスクや不確実性が生じる可能性があります。こうした記述はオラクルの現在の期待と仮定に基づいており、その一部はオラクルの制御できる範囲を超えています。本記事内の情報はすべて、2015年10月26日時点で最新であり、オラクルは新しい情報や将来の出来事を踏まえて記述を更新する義務を負いません。

本記事はForbes.com OracleVoiceの以下の記事を抄訳しています:
http://www.forbes.com/sites/oracle/2015/10/26/larry-ellison-oracles-strategy-to-provide-cloud-choices/