日本オラクル特集記事

3Dプリンタ業界を席巻するCarbon社が起こすビジネスプロセス革命

日本オラクルが2017年7月26日に開催した「Oracle Modern Business Experience 2017」のキーノートセッションでは、GEやBMWが出資する3Dプリンタのスタートアップ企業として大きな注目を集めるCarbon社をはじめ、デジタルへの取り組みを加速させる先進的な企業のエグゼクティブが登壇した。Carbon Inc. バイス・プレジデントのルーク・ケリー氏のほか、株式会社リコー 執行役員 デジタル推進本部 本部長の石野普之氏、日本電気株式会社 CRM本部 シニアマネージャー 兼)コーポレートマーケティング本部の東海林直子氏が自社のクラウド導入事例を紹介した。


Carbon社のルーク・ケリー氏。革新的な技術で業界に旋風を巻き起こし、”クラウドファースト”の理念でビジネスプロセスの改革にも挑んでいる

革新的な技術で3Dプリンタ業界に旋風を巻き起こしたCarbon社

 キーノートセッションに加え、「3Dプリンタが製造/流通/サービスに異次元のビジネスプロセス革命を起す!イノベーションを支えるクラウドERP 」と題したセッションで講演を行ったのがCarbon社のルーク・ケリー氏である。

 革新的な技術で3Dプリンタの世界を大きく変えたCarbon社の製品は、すでにアディダスやBMW、オラクルなどで採用されている。3Dプリンタ自体はすでに珍しい技術ではないが、Carbon社のプロダクトは他社の製品とさまざまな点で異なっている。まずルーク・ケリー氏は、次のように既存の3Dプリンタの課題を説明した。

「製造業界で3Dプリンティングが採用される上では、3つの大きな制約がありました。まずは3D造形に要する時間で、通常は10時間から15時間もかかってしまいます。造形した部品が弱いことも問題で、一般的に採用されている射出成形の方が堅牢だと言われています。また素材の選択肢も広くありません」

 Carbon社が注目を集める背景には、こうした問題を解決したことが挙げられる。造形に要する時間は今までの3Dプリンタと比べて10倍以上高速で、場合によっては100倍ものスピードで造形できるケースもあるという。さらに層を積み上げるように造形する3Dプリンタとは異なり、Carbon社はCLIP製法と呼ばれる特殊な技術を用いることで、継ぎ目のない造形を可能にする。これによって高い強度と、滑らかな表面を実現しているのが大きな特長である。素材についても「20種類以上の素材を使えるようになっているほか、プラットフォームによっては何百もの素材を使えることもできます」と、ルーク・ケリー氏はCarbon 社のアドバンテージを説明する。


Carbon社とアディダスは、3Dプリントシューズ量産で提携している

オラクルのクラウドサービスを高く評価

 このCarbon社では、ERPからSCM、そしてHCMなどといった領域においてオラクルのクラウドサービスを活用している。オラクルを選定した理由として、ルーク・ケリー氏は「事業のビジョン、そして将来に向けたロードマップ、という重要な点において、Carbon社とオラクルは非常に整合性が取れていた」と語り、次のように続けた。

「我々とオラクルはクラウドファーストの理念を信じていて、そして将来に向けた“旅(Journey)”を共に歩んでいこうと考えています。この2つの企業が協業することにより、これからの成功が約束されると信じています」

 こうしてオラクルをパートナーに選定したCarbon社だが、それ以前のシステムはさまざまな問題を抱えていた。従来は業務毎に20種以上の別々なシステムが稼働していた。「このままだと、システムによって企業のコントロールが効かなくなってしまう」という危機感を持ったことがオラクルのクラウドアプリケーションの導入につながった。その実装に要した期間はわずか4カ月であり、さらに予算も想定内で収められたとルーク・ケリー氏は説明した。

 プロジェクトが成功したポイントとして、ルーク・ケリー氏が指摘したのはカスタマイズとデータ、そしてプロジェクトの中で生じる問題への対応の3点である。

「我々にとって重要だったことは、カスタマイズを少なくするために、ビジネスプロセスをビジネスアプリケーション側に適合させたことです。データも大切な要素であるため、マスタデータマネジメントを考慮して設計する必要がありました。データの完全性と、そのデータのコントロールが非常に重要だったのです。その点については非常に時間をかけました。しかし、どれだけ準備しても必ず問題は発生します。それに対してできるだけフレキシブルかつ俊敏に対応できるように、さまざまな課題に対応できるスキルを持つ人たちを確保することも意識した点です」

 今後の展開については、製品ライフサイクル管理を行うPLMの統合を考えており、1年以内のロールアウトを目指して製品の評価中とのこと。さらにDWHやBI、アナリティクスがオラクルと他社との大きな差別化要因になると話し、その点でもオラクルとのコラボレーションの余地は大きいとした。

 最後にルーク・ケリー氏は「オラクルとのパートナーシップには大変満足しています。私たちにとって、1社に依存するということは大きな選択でした。しかしオラクルのクラウドサービスを使うことで、サービスレベルを上げることができ、高度なサプライチェーンを構築することもできました。オラクルのSaaSアプリケーションには、企業の課題を解決するソリューションとしての高いポテンシャルがあります」と、オラクルを高く評価して講演を終えた。

ERPでもクラウドを導入するリコー、デジタルマーケで案件創出を6倍にしたNEC

 リコーの石野普之氏は、同社が推進する2Tier ERPの考え方について説明した。基盤事業はオンプレミスの「Oracle E-Business Suite」で構築し、新規事業や成長領域においてはパブリッククラウドの「Oracle ERP Cloud」を利用する。


リコーの石野普之氏。新規事業や成長領域において「Oracle ERP Cloud」を利用する

 経営判断の迅速化が求められている現状において、従来の管理部門が月次で情報を集計しレポートを作成、経営陣はそのレポートを見ながら判断を下すというプロセスでは、大きなリードタイムが発生してしまい“打ち手”が遅れてしまう。そこを改革し、デイリーで集められた情報を参照して迅速かつ適切に“変化に対応”していく。このような環境を整えるために2Tier ERPを推進することになったと石野氏は説明し、同社の新規・成長事業領域に「Oracle ERP Cloud」を展開することの意義を語った。

 カスタマーエクスペリエンスに関する先進事例を集めたカンファレンスとして、オラクルが主催する「Modern Customer Experience」。このイベントで、優れた取り組みを行うマーケターを表彰する「Markie Awards」があり、そのABM(Account Based Marketing)部門において、日本企業として唯一ファイナリストに選出されたのが日本電気(以降、NEC)である。


NECの東海林直子氏。「Oracle Marketing Cloud」を導入し、ナーチャリングによるホットリードの創出件数を6倍、インサイドセールスによる商談化率も5倍に飛躍させた

 NECの東海林直子氏は、顧客自身が自ら積極的に情報を収集し、さらに新しいことにチャレンジする意欲が増していることで、NECの営業と顧客との接点(タッチポイント)が現状よりも遅いタイミングになりかねないと述べる。この問題を解決するためにNECとして取り組んでいるのがデジタル情報を駆使した営業スタイル改革であり、SFA(Sales Force Automation)やMA(Marketing Automation)、そしてグローバルのマーケティング基盤として「Oracle Marketing Cloud」を活用しているという。この変革により、ナーチャリングによるホットリードの創出件数は6倍、インサイドセールスによる商談化率も5倍という成果が生み出せたと説明し、デジタルを活用したマーケティング施策の有用性を示した。


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