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損害保険事業において日本国内における保険料シェアでナンバーワンの地位を獲得、さらに生命保険の領域でも存在感を高めているのがMS&ADグループだ。主なグループ会社には、三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険、三井住友海上あいおい生命保険などがあり、国内損害保険事業や国内生命保険事業、海外事業など5つの事業ドメインでビジネスを展開している。
このMS&ADグループのシステム中核会社として、ビジネスを支えるIT戦略を担っているのがMS&ADシステムズである。グループ内で使われる各種システムの開発と運用に携わるのはもちろん、MS&ADグループが重点戦略の1つとしているデジタライゼーションの推進に貢献するべく、開発力の強化や高度専門人財の育成、そして働きがいの向上と風土改革にも取り組む。
MS&ADシステムズでは、社員のスキル向上のための施策も積極的に推進している。この人材育成において、中核的な役割を担っているのが60数名の社員が所属するアプリケーション開発部だ。アプリケーション開発部長を務める同社の冨田昌幸氏は、この組織を次のように説明する。
「MS&ADシステムズでは、グループで使われるシステムの開発をパートナー各社の協力を得ながら進めており、我々は上流工程を担うことが大きな役割となっています。ただ将来のシステム開発を考えたとき、我々自身でもアプリケーション開発のスキルを持つ必要があるとの判断で、今から8年前にアプリケーション開発部を立ち上げました。また、最新のシステム開発のトレンドに追従できる人員の育成にも着手しました」。
Oracle Cloudを活用して最新の開発手法を習得
このアプリケーション開発部では、若手社員のスキル育成を目的としてWebシステムの受託開発が行われているが、そこで使われているのがオラクルが提供するクラウドサービスだ。今後のシステム開発ではクラウド環境を利用するスキルが必要不可欠との判断から、Oracle Cloudを利用した開発を積極的に進めることになった。さらに日本オラクルのコンサルタントがテクニカルアドバイザーとなり、アプリケーション開発部のメンバーのスキル習熟をサポートしている。
「アプリケーション開発部の取り組みで日本オラクルとタッグを組むようになったきっかけは、アジャイル開発を進めるためのレクチャーを依頼したことでした。その後もテクニカルアドバイザーとして、さまざまな側面で協力していただいています」。(冨田氏)
実際、オラクルのクラウドサービスを活用してアプリケーション開発部の若手メンバーが開発したのが、会議室の空き状況を即座に把握できるシステムだ。具体的には、Raspberry Piと組み合わせたスイッチを会議室に設置し、それを押すとクラウド上にデータが送信され、会議室利用状況のステータスを更新するというものである。このシステムにWebブラウザでアクセスすると、その時点の会議室空き状況がリアルタイムで分かるという内容だ。
Oracle Cloudを使った新たなシステムとして、いままさに検討されているのが社員の育成状況を上司と共有するためのシステムだ。従来はExcelを使って情報共有が行われていたが、これをWebアプリケーション化して利便性を高めることが目的である。
このように実際にシステム開発を行って経験を積むこと以外にも、Oracle Cloudの統合開発環境に含まれるデベロッパー向けツールを活用したコーディングスキルの向上、あるいはデータ分析の機能をクラウド上で提供する「Oracle Analytics Cloud」のハンズオンセミナーへの参加など、アプリケーション開発部ではメンバー育成のためのさまざまな取り組みが進められている。
こうした人材育成について、アプリケーション開発部でアプリケーション開発グループ長を務める針ヶ谷伸一氏は「若手メンバーがスキルアップし、その後アプリケーション開発などを担う部門に異動して開発できるよう、過去の前例にとらわれることなくスキル習得のための育成を進めています。たとえば分散システムの開発フレームワークなど、将来必要となるであろうスキルを見極め、それを我々のビジネスに適合させる形で学ぶ」といった方針を説明する。このようなプログラムがしっかり整備されている点は、人材育成の観点におけるMS&ADシステムズの特色と言えるだろう。
ビジネスサイドの要望に応えるためアジャイル開発にもチャレンジ
クラウドの活用、そしてアジャイル開発手法の導入の背景にあるのは、スピーディなシステム開発の実現である。オンプレミスでのシステム構築では、サーバーの構築だけで数カ月の期間を費やすことも珍しくないが、これではビジネスサイドの要求に応えることは難しい。このように時間がかかっていては、いくらアジャイル開発の手法を採り入れて開発工程を短縮しても、全体の開発期間を大幅に短縮することは難しい。そこでクラウドの活用という視点が重要になるわけだ。
クラウドを利用すれば、システム構築のために必要なサーバー環境をわずか数日で整えられる。また開発メンバーが自らクラウドの設定作業を行うことで、インフラがどのような構成になっているのかを学ぶよい機会になっているという。
アジャイル開発を採り入れるための取り組みも積極的に進められている。アプリケーション開発グループ マネージャーの今野美智子氏は「現場のニーズをいち早く採り入れるため、アジャイル開発を社内に広めたいという要望があり、2017年から取り組みを始めました。実際にアジャイルで開発を進めると、開発したものを早くビジネスサイドに見てもらうことができる上、そのフィードバックも迅速で大きな効果を感じました。今後、社内に積極的に広めていきたいと強く考えています」と説明する。
このようにMS&ADシステムズでは、日本オラクルとのパートナーシップのもと、積極的に新たなテクノロジーや最新の開発手法を採り入れるなど、デジタライゼーションの時代に対応するための取り組みを加速させている。今後、グループ内におけるMS&ADシステムズの存在感がますます大きくなっていくのは間違いなさそうだ。
MS&ADシステムズ株式会社
アプリケーション開発部
アプリケーション開発グループ
西村拓哉氏