日本オラクル特集記事

日本オラクル社員が語る、副業は「働き方改革」だけではない、「生活の仕方改革」

日本オラクル
広報室 谷地田 紀仁

いま、なぜ副業が議論されているのか。政府による「働き方改革」の議論が本格的にはじまり、そのテーマの一つが副業・兼業容認への後押しだ。副業・兼業を原則禁止としている企業が多く存在するなか、政府がガイドラインを策定し容認する方向へと舵を切ろうとしている。

日本オラクルでは所定の手続きを経て許可を得た場合、副業・兼業が認められている。2008年から2017年2月末の時点で累計126件の副業・兼業申請が許可されている。

親族におきた辛い出来事が起業のきっかけ

東京都在住で妻と子と暮らす井上憲(36)は10年前に日本オラクルに新卒社員として入社、副業・兼業を申請し承認された社員の一人だ。現在、製造業のお客様向けにクラウドサービスを提案する営業職のかたわら、2016年3月に自ら代表者となってジョージ・アンド・ショーン合同会社(以下、G&S)を設立した。「少しだけ優しい世界を創ろう。」を理念に、事業の第一弾として同年10月、鍵やお財布などに装着可能な小型デバイスとスマートフォンのアプリを連動させたIoT型の見守りサービス事業を開始した。「biblle(ビブル)」と名付けられたこのサービスは、小型デバイス「biblle tag」を大切なヒトに持ってもらったり、大切なモノにつけることで、「biblle app」と呼ばれるアプリから見守りができるようになる。およそ30から50メートル離れるとアプリ側でそれを感知し、離れていってしまっていることをアラームで知らせてくれる。


日本オラクルに入社してから10年が経つ井上憲、「少しだけ優しい世界を創ろう。」を理念にした事業を2016年に立ち上げた

見守りネットワークでポイントになるのは、この小型デバイスが反応するのがペアリングしたスマートフォンに限らず、どの「biblle app」とも反応することができるところだ。仮に遠くに離れていってしまった場合でも、誰かの「biblle app」を介して、現在の位置情報を知らせることができるようになっている。

井上は「普段から忘れ物が多い僕ですが」と前置きしながら、「祖母が認知症で、2年前に迷子になりました。どこにいるのか、元気でいるのか・・・祈る思いで探し回りました。」と自身におきた辛い出来事が起業のきっかけと説明する。

昨年11月には見守りネットワーク構築の実証プログラムを東京都三鷹市で実施、株式会社ジェーシービー、西日本電信電話株式会社の協力のもと、「biblle」で構築された「地域の見守りネットワーク」の体験プログラムとして認知症の方の徘徊捜索を模擬的に行い、100名強の一般市民の方が参加した。

2017年1月から、G&Sの起業理念に共感したnano・universeで「biblle tag」の販売を開始し数百個を売り切った。資金調達に活用したクラウド・ファンディングの返礼分と合わせると初回出荷は1,000個近くとなる。2月からはnono・universeの店舗およびWebサイトでも販売を開始している。

G&Sは7名の”仲間”で運営され、「全員が副業で、大学・大学院時代の友人が関わってくれている。全員30代でほぼ同年代」と説明する。7名の仲間が持つスキルは、アプル開発、システム開発、デバイス設計、マーケティング、サプライチェーンなどさまざまだ。


「biblle」は、「biblle tag」を大切なヒトに持ってもらったり大切なモノにつけることで、「biblle app」と呼ばれるアプリから見守りができるようになる

IoTサービスはオラクルで習得したシステム設計のノウハウがあるからできる

日本オラクルに入社して10年が経つ井上は、オラクルの製品・テクノロジーから得た知識やスキルは大いに役立っていると言う。「IoTのサービスを構築するのに、システム側となるサーバーサイドの知識は重要になってくる。情報の流通量を測って正しくシステムを設計しないと膨大なコストが発生する。オラクルのテクノロジーには予め、システムをスマートに設計する要素技術が組み込まれている。」

副業から得た知識は本業にも役立っている。「オラクルに対する期待値が変わってきている。お客様から、SoE(System of Engagement)と呼ばれる事業創出を支えるシステム構築について相談されることが多くなっている。『biblle』で実証しているシステム構築のコスト感覚、オラクルと他社の技術の融合を助言したりできる」とお客様との付き合いの範囲が広がると語る。

副業となると気になるのは収入だが、「いまは無給で儲けはすべて投資に回しています」と先ずは事業の立ち上げにすべてを集中させている。「副業はスタートアップ成功率が高いと言われています。その理由は本業からの収入で生活が安定させられること、少ない利益に固執することなく本来目指すべき起業の目的にまい進することができます」と、本業があるからこそ副業で達成できることがあると語る。

副業・兼業は「生活の仕方改革」

政府は「働き方改革」として正社員の副業や兼業を後押ししていく方針だ。「副業や兼業を『働き方改革』の一環として捉えるより、『生活の仕方改革』と位置づけたほうが違った世界が見えてくる」と必ずしも本業の延長ではないことを強調する。「残業をせずにその時間を飲み会などにあてるのもいいですが、新しい生産活動に充てるのも選択肢。考えていたほどリスクはないし、本業との相乗効果も高い。世代問わずに新しいライフスタイルになるかもしれません。」

井上は、手厳しいクレームや資金繰りなど楽しいことばかりではないと語る一方、「何とか頑張れる」と語る先には「少しだけ優しい世界」のための社会インフラの構築を本気で考えているからこそである。

柔軟な勤務制度が根付いているからこそ、副業に関心が向けられる

日本オラクルで人事制度や運用を担当する二見 直樹は、同社が副業・兼業を認めるのは「ダイバーシティーの一環でもある」と説明する。「当社では裁量労働制をはじめとした柔軟な勤務制度が規定されているからこそ、社員は副業・兼業に関心が向けられる」と語る。

副業・兼業の認可を申請する社内の傾向について部門や職種に偏りはないという。「導入当初は社外の研究委員会や団体等への参画、大学での非常勤講師など本業の延長線上の活動や家業の支援などの申請が多かったが、最近では個人の趣味や特技を活かしたスキーやダンススクールのインストラクターなどの兼業申請も増えている」とプライベートを充実させるような内容も増えている。

日本オラクルでは副業・兼業申請にあたって確立されたプロセスが存在し、申請者の本業への職務専念との利益相反の有無を厳格に確認している。また、副業・兼業を容認しつつも強く推奨しない理由としては、人事・労務的に本来、心身の休養に充てるべき休日にも副業に従事することで本業に影響が出てしまう点への配慮もあるからだ。

日本オラクルは裁量労働制や在宅勤務制度などを先進的に導入し、社員が場所や時間に依存しせず、より効率的に生産性の高い業務を遂行できる柔軟な勤務制度を構築してきた歴史があり、副業・兼業も「社員の自律を尊重し、多様性を受容する会社の方針の延長線上にある取り組みである」(二見)としている。