日本オラクル特集記事

2016年 顧客満足に執着する企業がとるべき10のヒント

オラクル・コーポレーション
レジー・ブラッドフォード

顧客志向型市場において成功する企業とは、自社の顧客層に対してパーソナルで、創造的かつインタラクティブな関係性の構築に徹底的にこだわる「Customer-Obsession(顧客満足への執着)」を持つ企業だ。幸いなことに、私たちには顧客志向型市場に切り込んでいくために大いに役立つモバイル、ソーシャル、クラウドというテクノロジーの3点セットがある。そして、この3つが基盤となり顧客満足への執着を持った企業文化が作り上げていく。

ここで提案する課題のいくつかは、セールスやマーケティングといった部門が個別に取り組むだけでなく、事業戦略全体に取り入れるべきテーマだ。重要なことは会社の規模ではなく、地理的条件だ。あらゆる事業戦略は「グローバル」「デジタル」「コミュニティ」を志向したものでなければならず、プライバシとセキュリティというデジタル・ビジネスを悩ます2つの問題については、一層慎重な考慮が求められる。

1. 「モバイル・ファースト」で考える

米国でスマートフォンを所有する人の約半数が、スマートフォンなしでは生活できないと感じているという統計がある。

今や人々は、生活のあらゆる場面でモバイル端末に依存している。企業が戦略を考える上で、まず考えるべきはモバイルであり、これは顧客との双方向の関係性を考える場合にはとりわけ重要だ。

2. 可能な限りパーソナライゼーションを追求する

パーソナライゼーションとは、顧客一人ひとりに対して適切な情報を提供し、それぞれの利益になる独自のエクスペリエンスを提供することだ。そのためにはリアルタイムでのデータ収集能力やデータ統合、データ配信など高度な能力が求められる。

一例として、私が使っているモバイル向け交通情報アプリWazeを考えてみる。Wazeは何百万もの加入者から交通情報データを収集し、自分の進行ルートに沿って、交通パターンや事故や警察の取締り等、登録ユーザーから報告された情報をもとに、目的地までの最も混雑の少ない最短ルートをリアルタイムで教えてくれる。ここではユーザーが情報を提供してサービス全体に貢献すると同時に、それぞれに必要なデータが配信されるというパーソナルなフィードバックのループが出来上がっている。

Wazeを利用するためにはある程度の個人情報を提供する必要があるが、おかげで移動時間を20分は短縮することができる。今後、消費者がこうしたトレードオフを行う場面はますます増えていくと考えられる。

3. クラウドを介して顧客サービスを向上する

クラウド・コンピューティングは、俊敏性、柔軟性、拡張性という現代のデジタル・ビジネスの要請に応えてくれる。企業はクラウド・サービスを活用することによって競争力を高め、イノベーションを加速し、顧客志向型の製品やサービスをこれまでには考えられないほど短期間で市場に送り出すことができる。さらに、現在から将来にかけての顧客の関心やニーズが変化した場合、そうした変化に合わせて会社の方向性を迅速に転換することを可能にする。

一般に懸念されることの多いクラウドのセキュリティの問題も、次第に解消されており、企業は自社で運用管理や導入が可能なセキュリティよりも、クラウド・プロバイダの方がより包括的なセキュリティを提供できることを認識し始めている。

4. 組織全体でソーシャル・メディアに取り込む

これまで別々のビジネス領域として、それぞれに明確なマーケティング戦略が定義されてきたB2BとB2Cという2つの領域が、B2P(ビジネス・ツー・ピープル)という1つの切り口の下で次第に融合され始めている。

これは、Facebookやメッセージング、文書共有など、私たちがプライベートで利用するテクノロジーがビジネスにも用いられるようになり、顧客やパートナー、サプライヤーと直接やりとりが行われるようになったことに起因している。

私はビジネス戦略全体としてこのB2Pの2つの側面に取り組むべきであると提言している。

まず、ソーシャルにおけるリレーションシップ管理の要素であるリスニング、エンゲージメント、アナリティクスを誰にでも利用しやすくするということ。社内のあらゆる部門でこれらを活用できるようにして、世界中で自社に対するイメージをきちんと管理できるようにしなければならない。

2つ目に、ソーシャル・メディア・テクノロジーは、社外向け(セールス部門、カスタマー・サポート等)と社内向け(人事、採用、コミュニケーション等)の両方で一体化して利用されるべきだということ。そうすることで、ソーシャル・メディアを自社のビジネス・ワークフローの1要素として取り入れ、顧客と「つながる」ために活用することができる。

5. インフルエンサーやユーザー制作コンテンツを活用する

市場には常に、市場を牽引する特定の人々が存在するものだ。言い方を変えれば、Twitterのユーザーが全て同じように生み出されるわけではない。また、消費者の90%が商品購入の際にオンライン・レビューを参考にすると答えていることも事実だ。

だからこそ、顧客とのコミュニケーションを図る上でこうした「インフルエンサー」の活用が有効なのである。インフルエンサーは顧客の意思決定の助けになるだけでなく、問題が生じた場合、これを解消するためにも威力を発揮してくれる。

また、ユーザー制作コンテンツ(UGC)に関連した戦略の策定も必要だ。プロではない一般のユーザーが作成したコンテンツは今やインターネット上に不可欠なコンテンツになっており、こうしたコンテンツの持つ素朴な魅力を自社ブランドに加えることで、口コミを通じた大きなチャンスが広がる可能性がある。ただ、そのためには個人情報をしっかりと保護しなければならない。

6. ソーシャル・メディアに押し寄せる大量の画像を追跡すること

ブランド・イメージの指標として、Snapchat、Pinterest、Facebookを始めとするソーシャル・メディアに掲載される膨大な量の画像を利用することは、ソーシャル・メディアにおけるカンバセーションのリスニング同様、あるいはそれ以上に重要である。画像でブランドがどのように連想されているのかを見ることで、リアルワールドからの重要なフィードバックを得ることができ、そうした画像が見つけることでUGCを貴重な情報源とすることができる。こうしたグローバルな波に乗り、ますます多くの企業が画像をマーケティング・キャンペーンの重要な構成要素として考えるようになっている。

7. メッセージ戦略としての動画に本格的に取り組むこと

Facebook上での動画視聴数が増加している。マーク・ザッカーバーグによれば、そのスピードは予想をはるかに超えており、それはデジタル・デバイス上で視聴される動画のほんの一部でしかない。これは「2019年までにコンシューマ・インターネット・トラフィックの80%がビデオ・トラフィックによって占められる」という予測を裏付けている。

特にモバイル・デバイスで、いわゆる「ショートフォーム動画」の人気が急速に高まっていることを含めて、マーケティング担当者にはこうしたトレンドを有効な武器として活用することが求められている。ほとんどの企業がYouTubeに自社のチャンネルを持つようになったとはいえ、ほんの初歩レベルでしか利用されていないのが現状だ。

8. 普及が進むIoTの新たな活用方法を考える

今や、IoTは現実のものになった。現在、世界中でネットワークに接続された「コネクテッド」デバイスは500万台を超えている。2020年にはこの数が200億台以上に増加すると予測されている。こうした「コネクテッド・デバイス」は自宅や車、農園、コーヒーショップ、ショッピングモール等、文字通り、顧客の生活のあらゆる場所に組み込まれている。Proteusという会社が開発を進める「スマート・ピル」などは、錠剤に服用可能な超小型センサーを埋め込み、患者の服用記録を収集することまでできる。

IoTは企業に巨大なチャンスをもたらし、顧客とより直接的かつ密接に相対する新たな手法を提供する。同時に、IoTは大量データの管理や統合といった困難な課題ももたらし、顧客満足への執着にこだわる企業はこの2つを繰り返し論議していかなければならない。

9. 顧客の統合データ・プロファイルを作成する

顧客満足への執着が強い企業は、顧客についてのデータを可能な限り多く収集するだけでなく、収集したデータを体系化し、顧客ごとにプロフィールとして利用できるよう管理しなければならない。

今後、検討すべき領域として、クラウドの中でも新たに台頭してきたデータ・アズ・ア・サービス(DaaS)と呼ばれるカテゴリーがある。例えば、「Oracle Data Cloud」の場合、Acxiom、Dun & Bradstreet、TransUnion等、無数にあるデータソースから数十億単位の顧客記録を取り込み、1つにまとめる。オラクルのDaaSによって、企業はコールセンター記録やCRMデータといった既存の顧客情報とこうした外部データソースとを統合し、社内のあらゆる部署が一元化されたデータソースにアクセスできるようになる。

10. デジタル・ワークフォースを強化する

今の時代、誰もがスマートフォン、ノートパソコン、タブレットを使うようになり、全ての会社はすでにデジタル化されていると考える人もいるだろう。しかし、ちょっと使ってみることと、デジタルの世界に深く入り込むこととは違っている。

真のデジタル化は、モバイルやソーシャル、クラウドといったデジタルの最新ツールをあらゆる場面で徹底的に使いこなせるようになってはじめて成し遂げられるものである。企業は社内で部門や部署の壁を取り払って効果的なコラボレーションが行えるようにして、組織としてインサイトを共有し、それを活用できるようにならなければならない。

「顧客満足への執着」については、「先ず隗より始めよ」でも、「まずは率先してドッグフード(自社製品)を使って見よ」でも構わない。要するに、デジタルを活用する顧客をターゲット市場にしようとするなら、自らデジタル・ファーストの意識を徹底させ、デジタル・ワークフォースが強化された企業だけがそうした顧客と最も効果的な対応ができるということを肝に銘じておかなければならないのである。

本記事はForbes.com OracleVoiceの以下の記事を抄訳しています:
http://www.forbes.com/sites/oracle/2015/12/23/top-10-priorities-for-customer-obsessed-companies-in-2016/