日本オラクル特集記事

ポスト・ワークライフバランス時代に雇用主が理解するべきこと
”ワークライフ・インテグレーション”へと進化する仕事と私生活の調和

オラクル・コーポレーション
ロブ・プレストン

ワークライフ・バランスは長年にわたって追求されてきたテーマではあるが、絶えず変化する現代の熾烈なビジネス環境において、新たな重要性を帯びてきているようだ。ワークライフ・バランスを必要とする人には2つのタイプがある、ストレスの緩和を必要とする「タイプA」と仕事と私生活の調和を必要とする「タイプB」である。企業は、従業員のワークライフ・バランス改善によって、生産性向上や優秀な人材の確保/定着といったメリットが生じることを実感しており、学者やコンサルタントは、そのための方策を示すことでキャリアを築いている。

それでも、多くの人々がなかなかワークライフ・バランスを達成できないのはなぜだろうか。一つには、人はまだ自分自身について知るべきことが沢山あり、また一つには、必要な支援を雇用主から常に得られるわけではないからである。

ワークライフ・バランスとは

ワークライフ・バランスの定義や施策は種々あるが、大方の専門家の意見としては「万能の解決策は存在しない」という点で一致している。このテーマの第一人者であるウォートン・スクール経営学教授のスチュワート・フリードマン氏は、著書「Total Leadership(トータル・リーダーシップ)」および近著「Leading The Life You Want(望み通りの人生を送る)」のなかで、ワークライフ・バランスとは2つの異なる優先事項をバランスさせることではなく、継続的かつ流動的なものであり、2つではなく4つの主要な人生の「領域」、すなわち「仕事」、「家庭/家族」、「コミュニティ/社会」、「自分自身」が引き起こすと主張している。

こうした領域は、個々人のライフステージやその他の事情(たとえば育児や、出張ばかりの配偶者の穴埋め、高齢な親の介護など)に基づいてそれぞれの重要性がさまざまに上下したり重なり合ったりする。

オラクルのヒューマン・キャピタル・マネジメント(HCM)戦略担当バイスプレジデントであるグレッチェン・アラーコンは、「『バランスを取る』必要があるという本質自体も変わりつつあり、ワークライフ・バランスは”ワークライフ・インテグレーション”に姿を変えている」と述べている。

アラーコンによると従業員はかつて、仕事が私生活を侵食しないよう、週60~70時間にも上る勤務時間を削減しようと試みていたが、現在はテクノロジーによってほとんどの人が1日の大半を仕事につながった状態で過ごせてしまうため、こうした境界は曖昧になっている。現在の課題はむしろ、人生やキャリアにおける現在位置に基づいて、「オフ」の時間にも常に仕事につながったままという状態、あるいはその度合を徐々に減らすことにある。

「ワークライフ・バランスは、ある程度までは人々が到達できる至福の境地だという認識が世の中にはあるが、私にはその確信はない」とアラーコンは述べている。

ゼロサム・ゲームにあらず

フリードマン氏の主張のポイントは、ワークライフ・バランスをゼロサム・ゲームにする必要はない、という点だ。ある領域に費やす時間を増やすことが、必ずしも他の領域の時間を奪うことにはならない。

たとえば、余暇にボランティア活動に参加するという個人の決断が、プロフェッショナルとしてのネットワークを広げ、リーダーシップやメンタリングといったスキルを培い、実質的に本業を補強する可能性もある。また、個人が健康、幸福あるいは自分自身の課題への関心を高めることで、より活動的かつ積極的な従業員またはコミュニティの一員になれるかもしれない。

多くの業界において停滞または下降気味な従業員の生産性を向上させ、在職期間が短くなる傾向にある中においても、最も有能で熱意ある人材を確保/維持したいと望む雇用主は、この大きな変化に気付きつつあるとアラーコンは述べる。

このような洞察力に優れた雇用主は、スキルギャップを見極めるための人材開発計画を策定するのみならず、優秀な人材の興味を引き、その育成に役立つような方針の策定、文化の醸成、ビジョンや価値観の伝達を行っている。

雇用主がなすべきこと

雇用主はまず、従業員が自らの業務と個人の両方のさまざまな目標を理解し、整理し、妥当な場合は双方を連動させることができるよう支援するべきである。オラクルではこのためのツールとして、従業員に焦点を絞ったHCMクラウド「Oracle Work Life Solutions Cloud」を提供している。たとえば「My Reputation」というツールは、フィードバック調査や他のインタラクションに基づき、従業員が同僚からの評価を把握できるよう支援する。従業員はこうした洞察を上司やメンターと共有し、自らの存在感や「ブランド力」の向上方法についてアドバイスを受けることができる。もっと同僚を手助けする、あるいは企業協賛のボランティア活動に参加するといったアドバイスが得られる。またこのツールは、他のグループとの連携が得意な人材を、見極めるためにも役立つ。

主要なウェアラブル端末と連携可能な「My Wellness」ツールは、コンテストやスコアボード、報奨などを通じて、従業員が運動、食事、および睡眠の習慣を改善できるよう支援する仕組みである。

補完的な機能である「My Competitions」と組み合わせて活用することで、従業員が互いに切磋琢磨する機会を、企業が従業員のモチベーション向上のための施策として実施することができる。たとえば、製品や製品機能について最高のアイディアを考案する、ソフトウェア・バグを最も多く修正する、あるいは単に、一定期間内に最大の歩数を歩くといった事柄である。

新たに追加されたワークライフ・ソリューション・ツール「My Volunteering」は、従業員が容易にボランティア活動を行い、その実施時間を追跡できるようにするものだ。

4つの主要メリット

オラクルのHCM製品戦略担当ディレクターであるマーク・ベネットは、こうしたツールには主に4つのメリットがあると述べている。

1つ目は、従業員が個人的な習慣と仕事の習慣を相対的に理解できるようになるため、エネルギーを使い果たすことがなくなる。

2つ目は、雇用主が従業員に対し、仕事以外の従業員の興味、熱意、スキルにまで関心を持っているという強力なメッセージを送ることができる。ベネットによると、従業員や採用候補者は、「自分のすべて」を尊重する文化に共感するものである。

3つ目は、こうしたツールにより従業員は、同僚と有益な関係を構築できる。そして、4つ目はこうしたツールが従業員のストレス・レベルの低下や身体の健康促進につながれば、その分、医療費や従業員の欠勤率の引き下げに役立てることができる、ということだ。

ベネットは、企業側が穏やかなアプローチで取り組むが重要だと述べている。従業員目線に絞り、なおかつ従業員によってコントロールできるツールであるべきであり。その目的は従業員に欠けているものを探すようなものであってはいけない。「従業員のエンゲージメントが向上したら、すべての従業員エンゲージメント調査を中止すること」という声明を出している政府機関もあるように、意欲の喪失につながる可能性があるからだ。

企業が従業員に対し、データ収集の目的は従業員を監視するためではなく、従業員が自らの個人的/業務上の目標への理解を深められるよう支援するためであると、明確に伝えることが重要である。「つまり従業員が自ら健康に関する目標を入力したり、ボランティア活動に関する能力を伝えたり、自身でブランド力の向上に取り組むことを選択すれば、積極的にその情報を提供するようになる。それは、業務の一環として企業から情報を要求される場合とは異なる」とアラーコンは述べている。

本記事はForbes.com OracleVoiceの以下の記事を抄訳しています:
https://www.forbes.com/sites/oracle/2017/03/09/work-life-balance-how-employers-can-step-up/