Oracle Cloud 顧客事例

顧客の“声なき声”を拾うことに成功した
ヤマハミュージックジャパン

~従業員の働き方も変革するFAQ

 

モノ消費からコト消費へ消費者の購買行動が大きくシフトしたといわれる中、時代の変化に対応し、顧客から選ばれる企業になるためには何が必要なのだろうか。特に重要な鍵を握っているのは、顧客との継続的なコミュニケーションの拡大である。ヤマハミュージックジャパンにおけるその変革の原点となったのは、カスタマーサポート部門の問い合わせ対応業務を支援するFAQ(よくある質問と回答)サイト刷新の取り組みだった。

顧客の“声なき声”をどうやって汲み取るか

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ヤマハミュージックジャパンは鍵盤・管・弦・打楽器、オーディオ機器など幅広いヤマハ製品を扱う販社だ

 消費が多様化している今、顧客とのコミュニケーションが重要視されている。リアル店舗からWebサイト、モバイルまで、あらゆるタッチポイントを通じて高品質のエクスペリエンス(体験)を提供して顧客の“共感”を喚起できれば、商品やサービスを購入する際に優先的に自社のことを検討してくれる信頼関係を構築できるからだ。

 その意味でも顧客からの電話やメールによる問い合わせに最前線で対応する、カスタマーサポートが担っている役割は非常に大きい。

 ただ、“問い合わせ”という顧客側からのアクションがなければ、カスタマーサポートは動きようがない。問い合わせを行ってくる顧客の水面下に何倍もいるサイレントマジョリティにどうやってリーチし、その“声なき声”を汲み取ることができるかが、顧客とのエンゲージメント(絆)を深めていく上での大きな課題となっている。

 このハードルを、FAQ(よくある質問と回答)サイトの刷新によって乗り越えたのが、ヤマハミュージックジャパンである。

 ヤマハ100%出資による販売会社として設立され、楽器、ホームシアター/オーディオ製品、音楽制作機器、プロオーディオ機器、防音室などのモノから、英語教室や音楽イベント支援、地域活性化プロジェクトなどのコトにいたるまで、幅広い商品・サービスの販売を手がける同社。2013年に導入した「Oracle Service Cloud」をベースに、ヤマハのグローバル共通基盤である問い合わせ支援システムを補完するFAQの仕組みを立ち上げた。

 ヤマハミュージックジャパン カスタマーサポート部 お客様コミュニケーションセンターのセンター長を務める平井大生氏は、この新たなFAQを実装したヘルプサイトが、「顧客とのコミュニケーションに、当初は予想もしていなかった変革をもたらし始めた」という。

刷新したFAQサイトへのアクセスが急増

 一般にFAQの導入メリットは、コールセンター業務の効率化に焦点が当てられる。FAQによって顧客が問題を自己解決できるようになれば、そのぶんコールセンターへの問い合わせ件数が減り、オペレーターの負荷低減やコスト削減が可能となるからだ。ヤマハミュージックジャパンも、当初は同様の効果を狙いとしていた。

・カスタマイズを最小限に抑えたかたちで運用が可能なクラウドサービスであること
・PCやスマートフォンなど、マルチデバイスに対応していること
・データベースに蓄積されたFAQのコンテンツに素早くアクセスできること、容易にメンテナンスできること(データベースの検索性およびメンテナンスの容易性)
・顧客が求めているFAQのコンテンツをシステム側で自動提案するなど、顧客の自己解決率を向上するための機能を備えていること

 これらの要件を重点ポイントとしていくつかのサービスを比較検討したという。

 ヤマハミュージックジャパン 事業企画部 IT課のアシスタントマネジャーである藤田茂樹氏は、次のように振り返る。

 「比較検討の結果、最もユーザーフレンドリーな操作を提供し、最短距離で目的の回答にたどり着けるFAQの仕組みを構築できるのが、Oracle Service Cloudでした」

 同社がヘルプサイトを一般公開したのは2013年7月末のことだが、もともと減少傾向が続いていた電話やメールによる問い合わせと反比例するように、ヘルプサイトへのアクセスは右肩上がりで増加。特に2015年度から2016年度にかけて、アクセス件数は96万3762件から133万8821件へと約1.4倍の急増となった。

 気になるのは、「ヘルプサイトにアクセスしているのは誰なのか」という点だ。同社は対応をしたあらゆるチャネルの顧客に対してアンケートを実施し、それぞれの属性を分析した。その結果から、ある事実が判明したのである。

 「電話やメールのお問い合わせは年齢層の高いお客様が圧倒的ですが、ヘルプサイトは今までコンタクトがなかった若い世代のお客様がかなりの割合を占めていました。もともと電話やメールを使っていたお客様がヘルプサイトに移動したのではなく、これまでほとんどコンタクトできていなかった階層・区分の多くのお客様が、FAQに集まってきたことになります」と平井氏は語る。「今やヘルプサイト自体が電話やメールを凌駕するメインのお客様チャネルに発展しています」。

コールセンターは顧客への情報の発信源に

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ヤマハミュージックジャパンのWebサイトのトップページとFAQページ

 このように顧客との新たなつながりが拡大していく中で、コールセンターのオペレーターの間にも大きな意識の変化があらわれ始めた。「お客様から聞かれたことにただ答えるだけの存在ではなく、自分たちがお客様に対する情報の発信源になろうと自発的に動き始めました」と平井氏は説明する。

 例えば毎年入学シーズンを迎えるとともに、「ピアニカ(鍵盤ハーモニカ)」や「エレクトーン(電子オルガン)」などの商品に関する問い合わせが一気に増える。そうした中で多くの顧客から寄せられる「新モデルと旧モデルの違いは?」といった内容を、オペレーター自身があらかじめFAQに登録し、上位に表示されるようにしたのである。

 すると、実際に当該コンテンツの参照数がぐんと伸びていたいう。「多くのお客様とあたかも双方向でやりとりしているかのような感覚の定量的な反応を得ることができ、組織全体のモチベーションが高まっています」とヤマハミュージックジャパン カスタマーサポート部 お客様コミュニケーションセンターのアシスタントマネジャーである池上健一氏は強調する。こうした、これまでのオペレーターの経験と新たなソリューションの機能を融合させた日々の改善が、FAQサイト全体のアクセス数アップにつながっている。

 同社は、この“潮流”をさらに大きく育てていくため、Oracle Service Cloudをより高度に活用していく考えだ。「これまで接点がなかったお客様にリーチできるようになったとはいえ、一人ひとりのニーズを読み解くレベルにはまだ達していません。ヘルプサイトにたどりつくまでのカスタマージャーニーを行動分析に組み合わせるなど、お客様の理解をより深めていこうとしています」と平井氏は語る。

 この取り組みをITのアプローチから支援する藤田氏も、「ヘルプサイトだけの閉じた世界で課題解決を目指すのではなく、社内外の様々なWebサイトやシステム、サービスと連携しつつ、お客様それぞれに最適化されたコンテンツを提供できる環境を構築することで、カスタマーサポートチームを後押ししていきたいと考えています」と、今後を見据えている。

 FAQ活用に端を発するカスタマーサポートチームの小さな取り組みが、全社的なイノベーションを呼び起こそうとしているのである。

【関連情報】
>> Oracle Service Cloud
>> 顧客ロイヤルティ調査は今もまだ意味があるか
>> モダン・カスタマーサービスに関する調査
>> カスタマーサービスとSNS

※本記事は、nikkei BPnet特番サイト「Digital Transformation」に掲載された記事です。

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