ビジネス課題
FedExは、テクノロジーを駆使したイノベーションにより、荷物の配送だけでなく、その荷物に関する顧客情報を常に改善していることで知られています。フェデックスは、このイノベーションの精神を従業員向けのバックオフィス業務、具体的には財務・サプライチェーン部門にも適用したいと考えていました。この取り組みのリーダーたちは、一度で完結するようなプロジェクトではなく、業務モデルにイノベーションが組み込まれる形を望んでいました。
その結果、リーダーシップチームは、デジタル・イノベーション・センター・オブ・エクセレンス(DICE)と呼ばれる恒久的な組織を設立しました。FedExの本社にハブを置き、アジアとヨーロッパの地域にイノベーション・センターを設置しました。DICEのチームは、バックオフィス業務の効率を飛躍的に向上させるために、最も革新的な技術と戦術を導入するという、大胆なステップを考えていました。この変革には、クラウド・アプリケーションへの大規模な移行が求められました。
FedExがオラクルを採用した理由
FedExは、自社のオーガニック・グロースと買収による成長の両方をサポートする統一プラットフォームを構築するために、 Oracle Cloud ERP、EPM、SCM、 Analyticsを採用しました。ヨーロッパにおけるロジスティクス業界のリーダーであるTNTの買収を契機に、Oracle Cloudへの移行というビジネス・ケースが確立しました。この移行はヨーロッパから始まり、アジア、北米へと展開されていきました。
また、FedExはこれらのクラウド・アプリケーションのパフォーマンスを最適化するために、Oracle Gen 2 Cloud InfrastructureとAutonomous Databaseを採用しました。FedexにとってOracle Cloudのアプリケーション群を利用するメリットは、同社のすべてのクラウド・アプリケーションをシームレスに統合できることと、すべてのOracleアプリケーションで共通のデータ形式を利用できることにあります。Oracle Cloudによって、Fedexは高度な分析と人工知能を導入することができるようになります。高度なダッシュボード機能を備えたOracle Cloudの分析ツールにより、FedExはコストに関する複雑な分析を行い、財務業務をより適切に管理できるようになりました。
Oracle Cloudは、ビジネスの変化に対するレジリエンス、柔軟性、対応力を高めるため、AIの有効活用を検討できるプラットフォームを提供します。この分析ツールによって、FedExはほぼリアルタイムで業務を掘り下げ、世界中で何が起こっているかを知ることができます。フェデックスは常にネットワークを調整し、その時々の需要に応じてキャパシティを再配分します。
成果
FedExは40を超えるオラクル・クラウド・アプリケーションを使用して、220以上の業務を標準化しました。 FedExでは、これらのプロセスの多くをさらに自動化する取り組みの一環として、Oracle Digital AssistantとOCI Integration Servicesも使用しており、25以上のデジタル・アシスタントがこれらのプロセスおいてタッチレスのハンドオフを実現しています。
また、現在3,000人以上の従業員がOracle Analytics Cloudを利用して、データ・ドリブンな意思決定を行うとともに、AI、機械学習、サービスの自動化にもアクセスしています。
デジタル・オペレーションにおいて、FedExは、同社のデジタル・トランスフォーメーションとオラクル・クラウド・アプリケーション、インフラ、プラットフォーム機能の活用により、手作業を大幅に削減し、コードのデプロイのスピードを向上させ、今では市場投入までのスピードが2倍になっています。
FedExは、ソフトウェアの導入と新しいシステムに関するトレーニングのモデルを完全に仮想化したことで、COVID-19の危機の際にも、スケジュール影響を与えることなく、Oracle Cloud ERPの9つのローカルインスタンスを新たに立ち上げることができました。これまでは、大規模な新システムを導入する際には、各国にチームを派遣し、チームメンバーはそこに数週間滞在してシステムをセットアップし、従業員をトレーニングしていました。しかし、今回の危機によってこれらの国への出張ができなくなり、結果的にバーチャルな形での展開を成功させるきっかけとなりました。