ビジネス課題
1976年にサンパウロで設立されたHcorは、ブラジルのあらゆる社会階層の人々が医療機関を利用できるようにすることを目指す慈善病院です。同院の小児循環器科では、先天性心疾患と後天的な心臓の問題を持つ子供の治療を無償で行っています。この総合病院には、心臓科、神経科、腫瘍科、整形外科、診断医学科などの専門科があります。
Hcorは数年にわたり、継続的なデジタル変革戦略の一環として、ITテクノロジーへの多額の投資を行ってきました。それによって古いシステムが置き換えられ、ITの管理とガバナンスのための新しいモデルが導入されています。これらの変化はHcorのパフォーマンスと計算能力の向上、さらにコストの削減を目的としていました。
しかしHcorは、デジタル変革の取り組みを進めるうえで、いくつかの重要な課題に直面しました。この組織のテクノロジー・インフラストラクチャは、会社所有のデータセンターに格納された古いサーバーと物理的な設備に依存していました。古いテクノロジーを利用したオンプレミスのインフラストラクチャは、Hcorによる新しいITプロジェクトの推進を困難にしていました。
HcorがOracleを選んだ理由
Hcorは、複数のパブリッククラウドとプライベートクラウドのベンダーの評価を行いました。その結果、Cloud@Customer上のOracle Exadata Database Serviceを使用して、必要とされるレイテンシの短縮と計算能力の向上だけでなく、低コストの投資を実現することを決定しました。OracleのCloud@Customerは、最速のExadataマシンを組み込んだエンジニアドシステムであり、Hcorはすでにこれをオンプレミスで使用していました。
Hcorは、ソリューションを病院内でホストすることで、サービスを内部で管理しているという安心感を得ながら、以前のようなデータセンターの更新や運用コストを排除しています。
結果
この病院のITチームは、ワークロードと開発プラットフォームを、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)に接続されたOracle Exadata Cloud@Customerのサブスクリプション・サービスに移行しました。これまでHcorは、データセンターの導入、ライセンス、サポート、メンテナンス、運用経費に関するコストを負担してきましたが、今後5年間で100万米ドルの節約を達成できると見込んでいます。Hcorは、全体的なITパフォーマンスを20%向上
Oracle Exadata Cloud@Customerアプライアンスは、オンプレミスのサブスクリプション・サービスとして実行され、データはOCIにバックアップされます。このアプライアンスは、スタッフとテクノロジーへの投資を年間390万米ドルから780万米ドルに倍増させることに貢献しています。
Hcorのデータセンターで使用されるOracle Exadataアプライアンスは、各プロジェクトのメモリー、中央演算処理装置(CPU)、ストレージの要件を計算し、クラウド・ネイティブ・アプリケーションの開発者が複数の患者治療イニシアチブで同時に作業することを可能にします。
このアプライアンスでは、計算容量とストレージ容量のスケールアップとスケールダウンを迅速かつ簡単に行うことができるため、Hcorの開発者は以前の5倍の速度で医療プロジェクトを開始できるようになり、十分にテストされたアプリケーションを提供するまでの期間が5か月から1か月に短縮されています。
さらに、Exadataクラウドサービスによって、1か月に完了するプロジェクトが8件から14件に増加し、2021年のバックログの市場投入までの期間は18か月から10か月に短縮されました。
Hcorでは、患者治療のコンピューティング要件の浮き沈みに対応するために、Oracle Cloudのリソース配分によって、本番環境と障害時リカバリ環境を利用して需要を満たしています。
Hcorのセキュリティチームによると、計算能力と可用性の向上はセキュリティの強化にもつながっています。Hcorは、24時間365日稼働するブラジルの医療機関の1つであり、ITシステムに全面的に依存しています。新しいインフラストラクチャは、Hcorの情報セキュリティの評価値を47%から92%に引き上げています。
同院は今後、Cuidar Hcorプログラムをブラジル全域に拡大する予定です。その過程では、OCIをバックボーンとして、新しいソリューションのテストと実装にマルチクラウド戦略が使用され、医療ネットワーク全体との統合が進められます。