ORACLE MASTER 人材育成活用事例
株式会社トヨタコミュニケーションシステム
ORACLE MASTERで証明された技術力が
グローバルに展開するトヨタのビジネスを支えています。
株式会社トヨタコミュニケーションシステム
エンジニアリングシステム本部 ES3部 ES5部 部長
伊藤 嘉隆 氏(写真右)
エンジニアリングシステム本部 ES5部 PDM2G GM
松本 浩 氏(写真左)
トヨタのIT 戦略に合わせ 技術教育を体系化
トヨタ自動車を中核としたトヨタグループは、文字通り日本を代表する巨大企業グループである。そのトヨタグループにあって、トヨタ自動車の情報システムを中心で支えているのが、株式会社トヨタコミュニケーションシステム(TCS)である。製品開発から生産、販売、金融まで、世界各地を結ぶトヨタのグローバル・ネットワーク上で稼働する多彩な業務システムの構築・運用にあたるシステム・インテグレータだ。そのTCSの技術力が、いま中部地方のI T 業界で注目の的だという。オラクル認定資格制度「ORACLEMASTER」において、ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 10g(以下、Platinum 10g)を中部地区で初めて取得したのも、TCS の技術者だった。しかも、取得にあたっては戦略的な会社の教育制度があったのだという。トヨタのグローバル展開を支えるTCS の人材戦略を探るため、愛知県豊田市の事業所を訪ねた。
「私たちの部署がオラクルを使い始めたのは、ここ5年ぐらいです。体系的な教育制度を整えたのは後のほうになってからでした」
と語るのは、Platinum 10g を取得した技術者が在籍するエンジニアリングシステム本部の伊藤嘉隆部長である。エンジニアリングシステム本部は、トヨタの製品開発業務を支援するR &D系の情報システムの構築・運用にあたっている。この分野ではCADなど設計支援のシステムが主で、以前はデータベースを利用するシステムはほとんどなかったという。その状況を変えたのは、メイン顧客であるトヨタ自動車だった。
「トヨタ自動車様が、エンジニアリング分野のデータ管理においてOracleの採用を決定されたのです」
エンジニアリングシステム本部には、データベース活用のノウハウはなかった。最初のうちは、使いこなすというよりも、外部が作ったものを使わせてもらっているというレベルだったという。当然運用にあたっては、外部の専門家に委ねざるを得なかった。
「これでは自分たちの技術力も向上しませんし、実際いろいろな問題も発生してきました。技術者教育制度の抜本的な改革が必要だと実感しました」
一番大きな問題はデータベースのパフォーマンスだった。Oracleを必要とするシステムの規模が大きくなるに従ってアクセスが集中し、データベースのパフォーマンス低下が発生するようになった。これに対応するため、外部の専門家とともにチューニングに追われるようになっていったという。
「お客様がデータベースを使うときに、一定の性能を維持していくためには、われわれ自身がデータベース技術を熟知し、使いこなせなければいけないと考えました。ビジネスをリードしていく『人財』を育成していくためにも、日本オラクル社と共同で教育制度を検討したのです」
日本オラクル社からの提案は、資格取得を技術習得の指標として組み込み、技術教育を体系化していくというものだった。
さまざまな効果をもたらした新しい教育制度
まずは資格取得をルール化し、教育制度に反映した。
「指標を設けて、経験者に対してはその経験に見合った資格取得を要求することにしました。資格を取得することで、経験だけではなく、体系的かつ網羅的な知識を備えるためです。さらに、入社年次と役割によって取得すべき資格を決めて、細かく指導することにしました」
現在、新入社員に対しては、ORACLEMASTER Bronze を取得できるほどの充実した新人教育を受けさせている。初年度にBronze を取得した社員は、その後も役割に応じて、Silver、Gold とステップアップしていくことが求められている。実際、業務においてデータベースに深く関わる技術者は2~3 年の間にGold まで取得するようになったという。
さらに、スキルアップを目指す技術者に向けて全社的な支援体制が整えられた。まず、研修費用は全額会社が負担し、資格取得者には報奨金も支給される。さらに、社内のメンバーや協力会社のスタッフが、日常の作業負担を調整し、スキルアップを支援するという。
「他社と比べると、少し手厚すぎるかもしれません。しかし、ビジネスを推進していく『人財』を大切に育成していくことの重要性は、全社の共通認識だったので、この体制を徹底することができたのです」
その成果はさまざまな面で現れた。まず、社内のデータベース関連の技術力が確実に向上した。運用時のサポートレベルの向上だけでなく、資格取得者によるデータベース専門チームがアプリケーション内のSQLを最適化することで、データベースのパフォーマンス低下を予防することができるようになったという。
さらに技術者のモーチベーション向上にも大きく貢献しているとのこと。エンジニアリングシステム本部ES5 部PDM2グループの松本浩GM にお話を伺った。
「とくに効果があったのが、ORACLE MASTER Platinum です。身近にPlatinum をもっている人間がいることが、周囲の技術者の励みになっているのです」
オラクル認定資格制度の最上クラスの Platinum 取得者は、やはりお客様からも違う目で見られる。何かトラブルがあったとき、お客様がPlatinum 取得者を頼りにする姿を見る中で、自分もスキルアップして、そのような「求められるエンジニア」になりたいという思いが、部内に広がっているという。
「われわれの部署は、少なくともPlatinum を持っているような人材がいないと、仕事をうまく回していけないと思っています。せっかく教育に力を入れているのですから、それぐらいの人材が次々出てきて欲しいですね」と松本GM。
エンジニアリングシステム本部の技術者たちもその思いに応えている。Platinum 10gを中部地区で最初に取得し、ORACLEMASTER Gold Oracle Database 11gの取得も狙うPDM2グループの矢野聖典氏をはじめ、多くのエンジニアが、先を争ってORACLE MASTER Platinum の称号と実力を手に入れようと頑張っている。
資格取得を軸に 新たな市場獲得へ
2007年のOracle Database 11g の発表にあたって、トヨタ自動車は11g を生産物流現場の基幹業務に適用するための検討をしていることを明らかにした。トヨタ自動車は、基本SQLの性能改善、アプリケーション開発効率向上、アプリケーションサーバーとの親和性向上などさまざまな要求の提示によって、戦略的なI T 投資を可能にするこの新世代のデータベースの開発にも深く関わっている。TC S でも11g への対応を急いでいると伊藤部長は語る。
「お客様と同レベル以上のスキルを身につけなければいけないと思っています。11g の新機能の性能や利用法を見極めるために、早め早めに技術情報を習得していきます。今後、新人教育についても11g をベースに進めていきます」
ORACLE MASTER の資格取得を軸としたTCS の技術教育制度は、データベース技術の社内への蓄積と顧客へのサービスレベル向上に貢献するとともに、社内の技術者のモチベーションアップにもつながった。そして、いまTCS は、個々の技術者が取得した資格をさらに活用しようとしている。
「たとえば、ORACLE MASTER Platinum によって証明されたその技術力を元に、新たな市場にチャレンジしたいと思っているのです」
その技術力はトヨタ自動車をはじめとする既存の顧客だけでなく、新しい市場の顧客にもアピールできると伊藤部長は語る。 資格取得を教育体制に上手に組み入れることで、TCS は短い期間で非常に大きな成果を挙げた。世界のトヨタとともに歩むTCS は、その先進のIT 戦略を人財育成で支えている。
株式会社トヨタコミュニケーションシステム
エンジニアリングシステム本部
ES5部 PDM2G
矢野 聖典 氏
ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 10g (中部地区一番乗り認定)
データベースチームのリーダーとしてPlatinum 取得を実務にフィードバックしていきます。
お客様からは業務における成果を評価していただいていると思っています。私たちのチームがSQLチューニングしたシステムが問題なく動いていることへの評価ですね。ただ、そういう高品質なシステムを構築するための技術を身につけるために、ORACLE MASTER の勉強は、非常に役に立ったと思います。資格試験も実際の業務に役に立つような問題が多く、資格を取ることがそのままスキルアップに直結しますから。IT技術者として時代の最先端を行くために、次は11gのORACLE MASTER Gold、そしてPlatinum をめざしていきます。
株式会社トヨタコミュニケーションシステム
エンジニアリングシステム本部
ES5部 PDM2G
塚腰 真 氏
ORACLE MASTER Gold Oracle Database 10g
「信頼される技術者」になるためにリーダーと同じPlatinum 取得をめざしていきます。
以前つとめていた会社ではORACLE MASTER Silver を取得しており、それで十分だと思っていたのですが、当社に入社してスキルアップが必要と実感し、すぐにGoldを取得しました。チームリーダーの矢野がすでにPlatinumを取得しており、DBに何か障害が発生したようなときにはお客様からも仲間からもつねに相談を受けていたので、私もそのような誰からも信頼される技術者になりたいと思ったからです。身近にそういった目標となる人がいたことと会社の手厚い支援体制が、技術者としての私の転機につながったと思っています。