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グローバル・トレンドを捉えた、パートナー・エコシステムを強化する3つのポイント

日本オラクル株式会社 常務執行役員 アライアンス統括 佐野 守計2022年8月9日
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日本オラクルでは日々、数多くのパートナー様とともに、お客様のデジタル・トランスフォーメーションを成功に導くため協業の取り組みを行っています。

6月から新しい会計年度FY23がはじまり、7月14日に、オラクルのビジネスを推進いただいているパートナー様向けに 「FY23 OPN Japan Partner Kickoff」を開催しました。今年は、オンラインに加えて、3年ぶりにオラクル青山センターにパートナー様のエグゼクティブを招待し、ハイブリッド形式で開催しました。

その中で、「Oracle Japan Award 2022」 として、FY22にオラクルのビジネスに顕著に貢献いただいたパートナー様を表彰しました。「Best Partner of the Year」のNEC様をはじめ、9社のパートナー様が受賞されました。

さて、イベント当日、わたしから「パートナー様との協業の取り組み」について説明しました。パートナー・エコシステムの構築、クラウド・エンジニア育成などによるパートナー様のOracle Cloudビジネスの拡充・収益増に向けた向こう1年の戦略について、ご紹介します。

スキル向上にトレーニングの3つの柱

パートナー・エコシステムについてのお話をする上で、まず前提となってくるのがリセールからマネージド・サービスへとニーズ・関心が移り行く現状のグローバル・トレンドです。それに適したクラウド・ソリューション・プロバイダーとしてのパートナー様の育成・転換はグローバル全体としての動きにもなっており、日本にもその波を普及させていければと考えています。

私たちが提供するパートナー様向けのトレーニングは、セールスからエンジニアまで幅広い方を対象とした3つの柱に基づいて構成されています。

  • 1. Oracle Cloudソリューションとハンズオン
  • 2. Oracle Cloud提案に向けたプリセールスの強化
  • 3. 構築スキル・資格の取得に向けた有償・無償のトレーニング環境の提供

また社内向けにも展開しているOracle Cloudの最新のトレンドを学習できる「Fast Strat(ファースト・スタート)」というものや、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)・SaaS製品のエンジニア向けのものなど、オンラインを通じた多岐に渡るトレーニングやセッションを提供しています。

パートナー事業、3つのフォーカス・エリア

新年度において、日本オラクルのパートナー事業では3点のフォーカス・エリアを設定しました。

1つ目はインプリメンテーション/デリバリーのできるパートナー・エンジニアの育成です。この取り組みは継続的なものとなってきており、2021年9月からはOracle UniversityやOracle Consulting Serviceが主催する有償トレーニングをパートナー様向けに無償で実施するキャンペーンを行い、3桁を超える数の企業の方に受講いただきました。またOracle Cloud案件でお客様のシステム稼働に貢献いただいたエンジニアの皆様向けに「感謝状」をお送りする取り組みも去年から始まっています。これらを通じてスキルアップはもちろん、皆様の会社内にオラクルのファンを増やしていくことが私たちの目標です。

2つ目はパートナーの皆様に特化して支援するプリセールス・チーム「クラウド・エコシステム推進本部」の活動強化です。直近でプリセールス・エンジニアの部門に新設されたばかりのこの部署は、パートナー様の中でクラウドの案件を立ち上げる段階からサポートを行い、そのクロージングまで付き添うことをミッションに掲げています。パートナー様リードの案件を増やすことで、お客様のビジネスの拡大を支援することが最終的な目標となります。

3つ目はパートナーの皆様の収益の改善を主目的としたパートナー・プログラムの拡充です。私が入社後幾度となく頂戴した「OCIを売っても儲からない」という言葉を過去のものにするために、収益増を目的としたプログラムの増加を推進しています。 既に開始している2つのプログラムに加えて今回、「Resale Incentive」と「Referral & Influence」という新たな2つのプログラムをご紹介します。前者は新規案件を紹介いただいたにも関わらず最終的にオラクル側で直販をすることになってしまった場合、後者は同様に先方の要望で商流から外れることになってしまった場合に、一定額のインセンティブのお支払いを保証するものです。パートナー様の尽力に対してしっかりとした誠意を見せたい、そういった思いがこのプログラム拡充のもう一つの大きなテーマとなります。

グローバル水準への転換に向けて3つのポイント

ここまでご紹介した取り組みの根底の部分には、日本市場においてはまだ大部分がオンプレミスに残っていると考えられるミッション・クリティカルシ・ステムのクラウド・リフトという問題意識があります。これをいかにパートナー様と共有し、より多くのお客様のリフトに貢献できるかという部分が、今後のビジネス創出を大きく左右してくるのではないでしょうか。

SaaSの市場においても、往々にして米国のモメンタムが約3年後に伝来するといわれる日本で、エンタープライズ市場のSaaS化の流れはもう止めることができません。その波が来た時にすぐにビジネスにつなげることができる体制づくりを進めていきましょう。

そしてパートナー・プログラムについても、グローバルの数字と比較すると、日本における利用率は比較的低いものとなっているのが現状です。私たちの強い思いとして、こちらを活用いただきぜひ収益改善の一助にしていただきたいです。

パートナー様とは「スキル」「信頼」「収益性」の3つを重視し、技術面とビジネス面の両方からお客様をデジタル・トランスフォーメーションへ導くプログラムの拡充を進めてまいります。