US開発部門でRACの性能向上を支える日本のエンジニア(前編) 
ユーザーの厳しい要求が改善の糧

データベースへの可用性や拡張性の要求が高まる昨今、それを実現する「Oracle Real Application Clusters(RAC)」の重要性は増すばかり。そのRACの開発が行われるオラクルの米国本社では、日本オラクルから転籍した2人の日本人エンジニ ア、小野孝太郎氏(Oracle Corporation, Consulting Member of Technical Staff)と守村篤氏(Oracle Corporation, Principal Member of Technical Staff)が、RACのパフォーマンス改善にあたっている。世界中のユーザーから寄せられる厳しい改善要求に応え、常に最高の性能を追い求める彼らに、 日本のユーザーへの想いを聞いた(編集部)。
《US開発部門でRACの性能向上を支える日本のエンジニア》シリーズをお見逃しなく!
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Oracle Corporation
Consulting Member of Technical Staff
小野孝太郎氏







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Oracle Corporation
Principal Member of Technical Staff
守村篤氏






■オラクル本社でRACの性能改善に取り組む

――お二人はともに、オラクルの米国本社でRACのパフォーマンス改善チームに所属されているんですね。

守村:
 はい。私たちが所属するチームは、シリコンバレーにあるオラクル本社のデータベース開発部門の中にあります。組織規模をお話しすると、データ ベース開発部門には数千名のエンジニアが所属し、そのうちRACの開発にかかわっている者は2割弱です。さらにその中で、私たちのチームはRACのパ フォーマンス改善を専門に担当しています。ちなみに、データベース開発部門全体では、日本オラクルから転籍した日本人エンジニアが10名ほど働いていま す。

――すばり「RACのパフォーマンスを、よりよくすること」が、お二人の担当業務なわけですが、具体的にどういうことをされているのでしょうか?

守村:
 私たちの担当業務は、主に2つに分けられます。

 1つは、現在リリースしているRACで、どうしたらよりよい性能が出るのかを考えることです。お客様が抱えるパフォーマンス上の問題について、どうチューニングしたらより速くなるのか、稼働環境をどう調整したらより速くなるのかを考えます。

 もう1つは、今後リリースするRACにおいて、どうしたらよりよい性能を確保できるのかを考えることです。考えた方策は、RACのコーディングを行っているチームに提案し、次期バージョンに反映してもらいます。

■ユーザーの厳しい要求がRACの性能改善を加速する

――お二人の下には、世界中のユーザーから改善要望が寄せられるわけですが、それらの要望には、国による特色の違いがあったりするのでしょうか?

守村:
 こちらに来る前は、日本のお客様だけが特に厳しい要求を出されたり、要求内容が子細にわたっていたりするのかと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。米国や欧州のお客様の中には、日本のお客様以上に厳しい要求をいただくところもあるんですよ。

小野:
 また、日本のお客様は比較的、保守的だというイメージをお持ちの方が多いと思うのですが、それが違っていたことにも驚きましたね。例えば、日 本の大手通信キャリア様の場合、RACの前身である「Oracle Parallel Server」の時代から、それを使って非常に大規模なシステムを組まれていました。これは当時、Parallel Serverを使ったものとしては、世界でも最大規模のシステムの1つでしたね。世界的に見て飛び抜けたことをされるのも、日本のお客様だったりするんで すよ。

――そんな日本のユーザーの要求に四苦八苦されているんですね?(笑)

守村:
 ええ、そんなときもあります(笑) ただ、厳しいご要望をいただくことで、今の製品に何が足りないのかが見えてきたりするので、これはとてもありがたいことですね。

――日本のユーザーの要望が製品の改善につながるケースもあるのですか?

小野:
 もちろんです。私が知る範囲でもいくつかありますよ。例えば、2000年初頭にあるお客様が、メインフレーム上で稼働させていたシステムを Parallel Server上に移行されました。これは、ユーザー・プロセスが数千個もあるような巨大なシステムだったのですが、当時のParallel Serverには、そこまでのシステムを想定せずに作っていた部分がありました。数十個のプロセスなら問題なく動くけど、数千個も動かしたら性能が出なく なるような部分があったんです。私たちは総力を挙げ、そうした問題個所の原因を究明し、現行バージョンで直せるものはパッチで直して、難しいものは次期 バージョンで直すといったかたちで対応しました。

■ユーザーの諦めない想いは、やがて開発チームに届く

――お二人が直接、日本のユーザーと接することもありますか?

小野:
 はい。私たちは日本人ですから、日本のお客様とのコミュニケーションに長けていることが強みです。そのことを生かし、できるだけ日本に行ってお客様とお話しするよう努めています。

――日本のユーザーと接する中で、何か感じたことはありますか?

小野:
 私は1つ、日本のお客様にお願いしたいことがあります。それは、「オラクル製品について、『どうしても、こうしてほしい』というご要望がおありのときは、そのことを根気強くオラクルにお伝えいただきたい」ということです。

 お客様がオラクル製品をお使いになる中で何か問題を感じ、サポート窓口にお問い合わせいただいた際、「これは仕様です」とお答えすることがあ ると思います。確かに、その時点ではそれが意図した設計であり、正しい動作です。しかし、お客様がどうしても、その仕様に満足できないというときは、その ことをぜひ根気強くオラクルにお伝えください。そうしていただければ、いずれその声が私たちのところにも伝わり、製品に反映させられるかもしれません。

 実際に、日本でお会いしたお客様から「何とかならないか?」とご相談いただき、すぐに解決できたケースもあります。また、すぐに解決するのは難しい場合でも、「この問題でお困りのお客様がいらっしゃるんだ」ということを常に頭に置き、いつか解決できるよう努力します。

「Oracle Real Application Clusters」

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