自らの手で活路を拓かざるをえない逆境を、苦しいと思うか、そこにやりがいや喜びを感じるかで、得られるものは大きく違うはず。吉澤さんは厳しい状況の中でも、持ち前のチャレンジ精神を発揮し、数々の成果を勝ち取ってきた。特に、たとえ他の人が地道で大変だと思うような仕事であっても積極的に身を投じ自己研鑽に結びつける、旺盛なバイタリティの持ち主である。
より大きな活躍のフィールドを目指し
日本オラクルに転職

今後の目標は、製品軸ではなく、アカウントに対して責任を持つ立場で仕事をすること。
大学で法学を学んだ吉澤さんが、新卒で入社したのは大手流通企業。初めて配属されたのは生鮮食品売場だった。現職とは畑違いの分野のようで、実はそうとも言い切れない。「当時、流通業界ではPOSデータを活用して売上を伸ばす方法やEコマースに注力しようという時期で、ITを積極的に活用し流通業界の変革の一端を担いたいという思いから、情報管理部門を希望して入社したのです」と吉澤さんは説明する。「2~3年で希望するセクションへ」という前提で販売の現場に配属されたが、周りの先輩は何年も現場に定着しており、いつ情報管理部門へ行けるかわからなかったため、転職を決断しました」。
早めの方向転換を図り、IT商社系ソリューションプロバイダーに再就職した吉澤さん。そこではシステム商材専任のソリューション営業を担当した。営業成績に対し会社から表彰され、力量は認められたものの「常に時代の最先端の技術・情報に触れながら、自らの提案を通して顧客のビジネスが加速し、拡大していくのを見てみたいという気持ちが一層強くなり、より大きな活躍のフィールドを模索し、新たな領域へのチャレンジを決意しました」。そして、門戸を叩いたのが日本オラクルだった。
アカウントチームと連携し
大型案件を獲得
入社後、吉澤さんはBusiness Intelligence(以下、BI)製品の販売に携わることとなった。「オラクルはデータベース製品を扱っている会社。そこに蓄積されたデータを様々な形で活用すれば、幅広いお客様のニーズを満たすことができるのではないかと思いました」。そして、流通、サービス、メディア、製造などテリトリーを拡げていった。
「 より大きな活躍のフィールドを模索し、新たな領域へのチャレンジを決意しました」。そして、門戸を叩いたのが日本オラクルだった。
やがてBI製品の営業としてターニングポイントを迎える。それは、大手自動車メーカーの“経営の見える化”を実践するための案件だった。「そのお客様は北米でオラクル製品を活用していたことからお声を掛けいただいたのですが、実際に進めていくと北米と日本ではシステムの投資に対する考え方が違うし、お客様の要求レベルも非常に高く、合意がとれない日々が続きました」と吉澤さんは当時を振り返る。
競合他社の攻勢も激しく、さらにお客様はスクラッチ開発との比較に入ってしまい、オラクル前提で優位に進めていたはずのプロジェクトは暗礁に乗り上げた。
いよいよOracle BIの採用が危うくなってきた時、アカウントチームで企画していたULA(数量無制限使用プログラム)の提案にBIを包括して提案するという秘策を練り出す。「お客様の経営計画において様々なシステム投資を行う方針で、一つずつライセンスを購入すると莫大な金額になる状況でした。そこで、複数のシステム構築に必要なライセンスをまとめてご提供し、その中に“経営の見える化”に必要な製品も含めるご提案に合意いただくことができ、大型案件としての契約に至りました」と吉澤さんは説明する。
活動の記録をしっかりと
自分史に刻んでいける仕事
その案件の受注において、オラクルならではのチーム力が発揮されたと吉澤さんは話す。「オラクルのソリューションは、一つの製品では成り立たちません。データベースであったり、BIであったり、ミドルウェアであったり、総合的にご提供するのがオラクルの価値。だから、『チームで活動している』という意識が非常に大切です。常日頃から様々なセクションの人々とコミュニケーションを密にとり、いつでも連携できる関係を作っておけば、必要な時に大きな力を発揮できると改めて実感しました」。
実際、吉澤さんは日本オラクルの社内だけでなく、オラクル本社や北米の営業担当も巻き込み情報収集に努めたり、北米でオラクル製品の実装に実績のあるコンサルティング会社のCEOを日本に招きお客様向けの勉強会を企画したりと、グローバルの横のつながりを駆使した。それが、オラクルらしい提案につながり、成果に結びついたことは言うまでもない。
「 常日頃から様々なセクションの人々とコミュニケーションを密にとり、いつでも連携できる関係を作っておけば、必要な時に大きな力を発揮できると改めて実感しました」
そんな吉澤さんのポリシーは、「たとえ多くの人が敬遠するような地道な仕事・活動であっても進んで取り組むこと。そこにチャンスがあると考えるようにしており、乗り越えた時にかけがえのない経験が得られると思っているのです」。
現在も週3~4日、東京と名古屋を往復するハードスケジュールだが、「そのおかげでグローバル企業の経営指針に関わるプロジェクトに携わっているという実感があります。大きな仕事がしたくて外資系の会社に転職したので厳しいのは覚悟のうえで、その分、仕事の楽しさも格別です。活動してきた記録を自分史にしっかりと刻んでいけるし、それは自分の成長にもつながると考えています」と吉澤さんは語る。
自らチャンスをつかみにいく
バイタリティある人に最適な会社
日本オラクルに入社して5年。吉澤さんがオラクルに感じていることは、「自分のやりたいことを言い続けていれば、それがかなう方向へ状況は変わっていく、チャンスを与えてもらえるという手応えがあります。自らチャンスをつかみにいこうとする人には最適な会社だと感じています」と話す。それはまさしくオラクルの体質が、吉澤さん自身の生き方に合っているからにほかならない。
今後の目標を尋ねると、「一つは製品軸ではなく、アカウントに対して責任を持つ立場で仕事をすること。特にキーアカウント(重要顧客)を担当することは国内だけでなく全世界のお客様に対して責任を持つ仕事であり、オラクル営業の花形です。もう一つは、管理職として自分の活動・経験を活かし活動しつつ、社内のいろいろな人に伝え、業績に貢献する強い組織作りに関わる仕事もしたいと思っています」とのこと。
厳しい状況であっても果敢にチャレンジして積み重ねてきた経験は、吉澤さん自身の揺るぎない価値を築き上げ、唯一無二のアイデアやノウハウを幅広い場、たくさんの後輩たちに届けていくことだろう。