日本オラクル特集記事

「働き方改革」は長時間労働の是正だけにあらず。
日本オラクルのMission 85の挑戦

日本オラクル
広報室 谷地田 紀仁

政財界のリーダーが発信した2017年の年頭所感には「働き方改革」に言及するメッセージが多く見られた。IT業界のリーダーの年頭メッセージでも、「働き方改革」が、昨今注目されるAIやIoTと同じくらい頻出するキーワードになっていた。その背景には業界が抱える課題の上位にIT人材の不足が一層深刻化することにある。

経済産業省が実施した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(2016年6月10日公開)によると、「我が国の人口減少に伴って、2019年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回り、産業人口は減少に向かう」と予想している。また、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しており、ITニーズの拡大によってIT市場は今後も拡大を続けることが見込まれるため、2030年には約59万人程度まで人材の不足規模が拡大するとしている。

日本オラクル 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの杉原 博茂は年頭所感で、民間企業の投資や消費動向など一部で力強さを欠いている要因に、少子高齢化による人口減少、人手不足への不安が払拭しきれないことにあるとしている。「日本が世界と競争するに十分な力をつけるためには、この優れた人材を最大限に活用して高い生産性を実現する仕組みづくりが必要」と語った。

杉原が社長就任時に示した「VISION 2020」における 「クラウド No.1」と「The Most Admired Company(最も賞賛される会社)in the Industry」を受け、日本オラクルでは2014年12月に「2020年に社員の働きがいを85%まで高める」活動「Mission 85 (M85)」が発足した。最も賞賛される会社になるためには、事業の継続的な成長や、社会貢献、お客様からの高い評価などはもちろん、社員が働きがいを感じて活き活きと能力を発揮することが重要だからだ。

M85プロジェクトは、多様性の推進、働き方の改善、スキルとキャリアの開発、中途入社者の受け入れ体制強化など多岐にわたる。その中で、安倍首相を議長とする有識者会議「働き方改革実現会議」のテーマでもある、「生産性の向上」、「人材育成」、「テレワーク」、「女性・若者が活躍しやすい職場環境」を中心に、日本オラクルの制度・取り組みについて、M85プロジェクトをリードする執行役員 オペレーションズ統括 社員エンゲージメント室長 赤津 恵美子に話を聞いた。

日本オラクルの執行役員 オペレーションズ統括 社員エンゲージメント室長 赤津 恵美子。「働き方改革の最重要課題は生産性の向上」と語る

画一的な労働時間短縮よりも生産性向上を重視

インタビューの冒頭、政府の働き方改革の最優先課題である「長時間労働の是正」について質問したところ意外な回答がかえってきた。「長時間労働について、会社で画一的に対応することの効果は薄い」と赤津はいう。日本オラクルでは社員の勤務実績を記録し、過重労働の社員に対しては、毎月ごとと四半期ごとに産業保健スタッフが健康調査を行うなどのケアを実施している。しかし、社員一人ひとりの働き方は担当業務、職種によって異なり、長時間労働となる背景もお客様とのプロジェクト進捗具合や決算期など、その実情は大きく異なる。それを考慮せず、全社一律で労働時間の削減目標を提示する取り組みを推し進めるだけでは実効性が低い。

日本オラクルの働き方改革の最重要課題は生産性の向上だ。生産性を向上させ、お客様とそのベネフィットを共有することだ。優秀な営業マン、優秀な技術者、優秀なコンサルタント、優秀なサポートエンジニアの仕事のしかたやナレッジを共有し、全社員が高品質のサービスでお客様の満足度を高めることを目指している。具体例として、営業部門では「セールス・ハンドブック」を作成し、展開を始めた。

また、マネージャーについても同様だ。一人ひとりが可能性をフルに発揮してチームとして生産性高く働くために、部下がマネージャーの行動について匿名でフィードバックする「マネージャー180調査」を開始した。成功しているマネージャーは目標の示し方、コーチングのしかた、能力開発、チームでの協働促進などの分野で秀でた行動をしている。すべてのマネージャーもそうした行動が取れるように研修やコーチングなどを行い支援していく取り組みだ。そして、6カ月ごとに「マネージャー180調査」を行い、会社としてマネージャーの能力開発に継続的に投資をしていく。

のべ約62,000人が利用するカフェテリア

「2020年に85%の社員がこの会社は働きがいがあると答える」。この高い目標を達成するため、あらゆる方法で取り組んでいる。トップダウン、ボトムアップ、グローバルのベストプラクティス導入、コミュニティ活動などだ。そして、今年の注力エリアは、入社者の受入強化、能力開発とキャリア、協働促進、多様性と働き方改革の4分野だ。

これらの取り組みの1つが、日本オラクル本社内にオープンした社員食堂「Digital Cafeteria Waterfall」だ。朝8時から夜8時まで営業しており、朝はベーグルとコーヒーのモーニングセットが200円、ランチは日替わりメニューが500円とリーズナブルに提供されている。22階にあるカフェテリアからは六本木、渋谷、新宿の高層ビル群が一望でき、晴天時には富士山も眺めることができる。昨年10月のオープンから のべ約62,000人、1日約1,000人が利用している。社長や役員も利用しており昼食時に気軽なネットワーキングができるほか、会議がクリエイティブになった、ひとりで集中したいときに窓際に座って企画を考えている、朝英語学習で利用している、などのポジティブな声が多く寄せられており、協働の促進や生産的な働き方に大きく役立っている。(参考記事:数字で伝える 日本オラクル カフェテリア 10の特徴

座席数340席ある「Digital Cafeteria Waterfall」 晴天時は富士山も一望できる

「プレミアムフライデー」も試験的に導入へ

働き方改革では、部門や職種にあった効率的な働き方を進めていく。在宅勤務の利用促進や有給休暇の取得促進、来月から月1回、金曜日の夕方3時に退社を促しパーソナルライフの充実を支援する「プレミアムフライデー」のトライアルも行う予定だ。

テレワークは、2002年から制度を導入している先駆的企業であり、また、社員の8割がテレワークを体験し、生産性やワークライフバランスの向上、大規模災害などの有事の事業継続において高い効果をあげていることが評価され、2016年は、第2回 厚生労働大臣賞(輝くテレワーク)特別奨励賞や、総務省の「テレワーク先駆者百選」、 日本テレワーク協会の第16回テレワーク推進賞を受賞した。テレワーク推進賞は、2003年奨励賞、2005年優秀賞に続き、今回が3度目の受賞になる。(参考記事:女性活躍や新しいワークスタイルの推進で脚光を浴びるテレワーク

また、広い意味での働き方改革として、法改正に伴う育児・介護の休業取得の柔軟性拡充に加え、自転車通勤の運用開始、ドレスコードの見直しによるTPOに応じた服装(自席業務が中心の場合はジーンズも可)など社内規定を改定した。また、LGBTフレンドリーの推進として、同性パートナー含めた「ドメスティック・パートナー」へ社内制度の適用を拡大、同性パートナー、内縁関係など、婚姻の意思を持って生計をひとつにして同居している社員への社内制度の適用拡大を明文化した。

入社者の育成は皆の仕事

日本オラクルがクラウドカンパニーへと変革するなか、クラウド営業の大量採用により2016年度は336名が入社した。また、昨年10月にはデジタル技術を駆使した新営業組織「Oracle Digital(オラクルデジタル)」が発足し、さらに100名のクラウド営業を採用すると発表した。入社者がオラクルのカルチャーや職場になじみ、仕事を覚えて実力を発揮できるようにすることが重要課題となっている。そこで、グローバルの先行地域の成功事例を取り入れ、昨年11月から入社者導入研修を拡充した。カリキュラムとテキスト、そして上司、ナビゲーター(現場の先輩)などの役割を明確にし5週間の集中研修を行っている。

「入社者にとって入社当初の経験は非常に重要で、その印象が長く続くもの」と、赤津は手厚い受け入れ体制の背景を語る。この導入研修は、5日間の集合研修からはじまり、上司やナビゲーターによるOJTやe-Learningを併用しながら営業として必要な知識やツール操作を学ぶ。「ミレニアル世代と呼ばれるデジタルを駆使できる世代を意識し、スマホでいつでもどこでも自主学習できる短編動画を増やしている」(赤津)と、若い世代への対応も抜かりない。知識の習得のみならず、ひととつながることや会社の社風を体験できる機会を多く盛り込んでいる。例えば、地域のボランティア活動への参加もこの研修の必須プログラムのひとつだ。

働き方改革の目指すところは、時間や場所に囚われない職場環境を作るだけではなく、「The Most Admired Company実現のため」と語る赤津。「M85の活動は社内で浸透してきた。『働きがいのある会社』へと改革を進めていく会社の本気度も社員に伝わってきている。」

M85の発足から丸2年。2020年までの3年で、社員の働きがいを85パーセントに高めるには、全社員が率先して職場に活気を作り出し、会社の成長に貢献することが不可欠だ。トップダウン、ボトムアップ、グローバル、コミュニティという軸に加えて、全社員が日常的に学び、つながり、楽しく効果的に働くことが変革の鍵になるに違いない。

取材協力:日本オラクル 遠藤 有紀子、二見 直樹

 
 

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