日本オラクル特集記事

ラリー・エリソン:2017年度のオラクルの重点目標は2つ

オラクル・コーポレーション
クリス・マーフィー

オラクルの経営執行役会長 兼 CTOのラリー・エリソンは、2016年6月からの2017会計年度の開始にあたって、2つの重点目標を掲げた。1つは、オラクルのクラウド・アプリケーションとクラウド・プラットフォームの事業を最も業績の近い競争相手の2倍のペースで成長させること。そしてもう1つは、オラクルの高性能データセンターの「第2世代」を活用して、クラウド・インフラストラクチャ分野で今以上に強力なプレイヤーとなることである。

6月16日に行われたオラクルの2016年度第4四半期決算発表の席でエリソンは、「オラクルはSaaS(Software as a Service)市場、PaaS(Platform as a Service)市場で急速な成長を続けている。次は、IaaS(Infrastructure as a Service)市場で急成長を遂げる番だ」と述べた。

オラクルのSaaS事業とPaaS事業は高い成長率で推移しており、第4四半期の売上高は合わせて6億9,000万ドルと、前年同期比66%(管理会計上の為替レートで68%)の伸びを記録した。これに対して、IaaSの売上高は5%増(管理会計上の為替レートで8%増)の1億6,900万ドルとなっている。

SaaSとPaaSに関して、オラクルはクラウド分野の主要な競合他社を凌駕する多様な製品を提供し、クラウド以前にはターゲットとしていなかった中堅企業層に働きかけることで、成長促進を図っていく計画である。またIaaSに関しては、新しいデータセンターを活用することで、パフォーマンス面で優位に立つ構えだ。

エリソンは「我々は投資を実施し、第2世代データセンターを活用した適切なテクノロジーを手にしている。インストールベースで見た場合、オラクルのデータベースをご利用いただいているお客様は膨大な数に上る。これらのお客様にPaaSとIaaSを組み合わせて提供し、クラウドへの移行を支援できると思うと、非常に楽しみだ」と述べている。

エリソンは、クラウド・コンピューティングの3つの柱であるSaaS、PaaS、IaaSのそれぞれについてオラクルがどういった競争上の強みを持つのか、さらにはこれら3つがどのように補完し合っているのかについて語った。

SaaS:製品の幅広さ

現在、2,500社以上がオラクルのクラウドERP(会計、サプライチェーン、製造のアプリケーションを含むEnterprise Resource Planning)とEPM(Enterprise Performance Management)サービスを利用しており、その数は昨年より2倍以上増えている。またクラウドHCM(Human Capital Management)を利用する企業は、この1年間で900社以上増加している。

競合他社のSalesforce.comは、エンタープライズ・アプリケーションの最大分野であるERPの製品を取り扱っていない、とエリソンは指摘する。またオラクルは営業支援、製造、サプライチェーンに関する多様なクラウド・サービスを提供しているが、Workdayはこのいずれの分野でも競争に参加していない。さらに、マーケティングとカスタマー・サービスのクラウド・アプリケーションでもオラクルは他社をリードしている。

現在1万2,000社近くの企業が、オラクルの多様なSaaS製品を利用している。

エリソンは、「これによって、幅広いフットプリントという大きな強みが我々にもたらされている。中堅企業のなかには、オラクル製品のみで環境を構築し、オラクルのクラウドで会社全体を動かしているというケースも見られる。これはSalesforce.comにはできないことだ」と述べている。

PaaS:データベース駆動型

市場をリードするオラクルのデータベースの最新版である「Oracle Database 12c」を導入する企業が増えるなか、そのうちの多くが自社のデータセンターではなく「Oracle Database Cloud Service」を利用して、テスト、アプリケーション移行、アップグレードといったタスクを処理することになるであろうとエリソンは見ている。「コストの削減になるだけでなく、より速くアクセスすることができる」とエリソンは言う。

オラクルは、ユーザー企業のデータセンター内に置かれたハードウェアからも「Oracle Database Cloud Service」を提供している。これは新たなサービス・ファミリーである「Oracle Cloud at Customer」の一部として提供されるものであり、オラクルが管理を行い、一般的なパブリック・クラウド・サービスと同じようにサブスクリプションベースの課金体系となっている。さらに、自社のファイアウォールの内側で利用できることから、銀行をはじめ、厳格な規制下(プライバシー保護法など)に置かれた企業にアピールするサービスになる。

IaaS:高い需要の見込まれる新しいテクノロジー

オラクルは第2世代のデータセンターからのクラウド・サービスの提供を開始しており、データセンターの管理をオラクルが行うことで、コスト、パフォーマンス、セキュリティ、信頼性を提供するうえで優位に立つことができると述べている。「我々はこの事業について多くを学習した」とエリソンは言う。

エリソンによると、オラクルのIaaSに対しては、現在SaaSを利用しているユーザーからの膨大な需要が存在するが、オラクルのデータベースを利用しているユーザーからの需要はこれをさらに上回るということだ。エリソンはこう話す。「オラクルのデータベースを利用中のユーザーは、アプリケーションをオラクルのクラウドに移行し、データベースをPaaSで、カスタム・アプリケーションをIaaSで利用したいと考えている」

2016年度第4四半期には、273社がオラクルのSaaSとPaaSのサービスを同時に購入しており、このような傾向は今後も続くと見込まれる。どのクラウド・プロバイダーを選んだとしても、クラウド・データセンターでのデータの出し入れには高額なコストがかかると考えられる。アプリケーションとデータベースを設置している同じ場所で、クラウド・インフラストラクチャを運営したいと考える企業は多いはずで、その分野に既存客を多く抱えるオラクルにAmazon Web ServicesなどのIaaS市場リーダーと競争する際に優位性をもたらすとエリソンは見ている。

本記事はForbes.com OracleVoiceの以下の記事を抄訳しています:
http://www.forbes.com/sites/oracle/2016/06/23/larry-ellison-oracle-has-2-focus-points-for-fiscal-year-ahead/
 
 

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