Oracle Application Express

Oracle Database 12cに含まれるApplication Express

Oracle Application Express Release 4.2.6.00.03は、Oracle Database 12c Release 1(12.1)でデフォルトでインストールされます。 Oracle Database 12cで導入されたおもな新機能の1つに、マルチテナント・アーキテクチャがあります (この新しいアーキテクチャについて、詳しくはOTNのMultitenant Architectureを参照してください)。

Oracle Database 12cマルチテナント・アーキテクチャをインストールすると、デフォルトでOracle Application Expressがマルチテナント・コンテナ・データベースにインストールされます。 単一のマルチテナント・コンテナ・データベースに最大252個のプラガブル・データベース(PDB)を作成できます。 コンテナ・データベース・ルート(CDB$ROOT)には、Application Expressのエンジン・パッケージ、プロセス、関数、ビューなどの、Application Expressに必要となるべての共通オブジェクトを保持するAPEX_040200スキーマが含まれます。 そのため、データベースのインストール全体でこれらの共通オブジェクトのインスタンスは1つだけです。 マルチテナント・コンテナ・データベースに格納されるApplication Express共通オブジェクトには、メタデータ・リンクを使用して各PDBからアクセスされます。 また、各PDBには、その特定のPDBのApplication Expressメタデータ・テーブルを保持するAPEX_040200スキーマが含まれます。 これらのローカル・テーブルにより、Application Expressアプリケーション定義が各PDBに個別に保持されます。 各PDBはWebリスナーが定義されている必要があり、標準のOracle Application Expressインスタンス管理を使用して個別に管理されます。

標準構成では、マルチテナント・コンテナ・データベースおよびすべてのプラガブル・データベースに対して、インストールされているApplication Expressのバージョンを1つのスクリプトで更新できます。 すべてのプラガブル・データベースをApplication Expressと同じバージョンで実行する"必要"があります。 ただし、Application ExpressはOracleデータベース・オプションの中で固有であり、マルチテナント・コンテナ・データベースから削除して単一のプラガブル・データベースにローカルに再インストールできます。 このように柔軟性が高いため、単一のOracle Database 12cマルチテナント・アーキテクチャを利用してPDBごとに異なるバージョンのOracle Application Expressを実行できます。 マルチテナント・コンテナ・データベースからアンインストールしたら、オプションを使用してコンテナ・データベースにApplication Expressを再インストールすることもできます。 このオプションを使用して、Application Expressのランタイムのみの構成をマルチテナント・コンテナ・データベースに再インストールできます。
注:新しい開発を始める前に、最新バージョンのOracle Application Expressをダウンロードしてインストールすることを推奨します。

補足資料

以下に、Oracle Database 12cに含まれるOracle Application Express 4.2以降に固有の資料を示します。

  • ホワイト・ペーパー:Oracle Database 12cを使用したOracle Application Expressのデプロイと開発(PDF)
    このホワイト・ペーパーでは、Oracle Application ExpressをOracle Database 12cマルチテナントにインストールするさまざまな方法について説明しています。また、Oracle Database 12cのおもな新機能についても説明しており、Application Express開発者はこれらの新機能を把握し、これらの新機能がOracle Application Expressでどのように処理されるかを理解しておく必要があります。

     

  • プレゼンテーション:Oracle Database 12cの マルチテナント・アーキテクチャとApplication Express(PDF)
    このプレゼンテーションは、独自のプレゼンテーションを作成したりPDFを利用して、新しいアーキテクチャや他のOracle Database 12c新機能の概要を簡単に確認したりできるように提供されています。
  • Oracle Database 12c用のApplication Express Release 4.2ドキュメント
    Application Express 4.2はOracle Database 10.2.0.4以降のすべてのバージョンにインストールできますが、Oracle Database 12c専用のドキュメント・ライブラリが提供されています。 Oracle Database 12c固有のドキュメントのほとんどは、『Oracle Application Expressインストレーション・ガイド』に含まれています。 このガイドに、Oracle Database 12c固有の章「マルチテナント・アーキテクチャの使用」が追加されています。 この章では、Application Expressをソースとターゲットの両方のマルチテナント・コンテナ・データベースにインストールする方法に基づいて、PDBのプラグインに関連するさまざまなインストール・オプションおよびシナリオを説明しています。
  • Jason Straubのブログ
    Oracle Database 12c機能に関連するコンテナ・データベースおよび組込み機能用のOracle Application Express 4.2スクリプトの作成を担当している、Application Express開発チームの主要な開発者であるJason Straubのブログには、新しいマルチテナント・アーキテクチャでのOracle Application Expressの使用に関連する投稿が掲載されています。

Application Express開発者向けのOracle Database 12c新機能

新しいOracle Database 12cマルチテナント・アーキテクチャで動作させるためにOracle Application Express 4.2に対して行われた変更に加えて、他のOracle Database 12c新機能に対応するようにさらに変更が行われています。 これらの新機能は、Oracle Database 12cを使用するOracle Application Express開発者にとって重要です。以下のような新機能があります。

  • VARCHAR2 32K(拡張データ型)
    MAX_STRING_SIZEデータベース・パラメータをEXTENDEDに変更すると、VARCHAR2列のバイト数/文字数の上限を4,000から32,767に拡張できます。
    拡張データ型に変更しても、Application Expressアプリケーションに影響はありません。 Application Express Builderを使用して、テキストやテキスト領域などのさまざまなアイテム・タイプを最大サイズ32,767で指定できます。 Application Expressのコレクションを使用してページ・アイテムを保存しており、拡張データ型も使用する場合、$ORACLE_HOME/core/collection_member_resize.sqlを実行してVARCHAR2列を4,000文字から32,767文字に更新する必要があります。
  • DEFAULT | DEFAULT ON NULL表句
    DEFAULT句およびDEFAULT ON NULL句をCREATE / ALTER TABLE文に指定できます。 これらのパラメータを使用すると、後続のINSERT文で列の値が省略される場合や値がNULLと評価される場合に、列に割り当てられる値を指定できます。 値に任意のSQL関数や順序疑似列を含めることができます。
    表にDEFAULT | DEFAULT ON NULL句を使用しても、Application ExpressアプリケーションやApplication Express Builderに影響はありません。
  • IDENTITY表句
    IDENTITY句をCREATE / ALTER TABLE文に指定できます。 この句を使用すると、後続のINSERT文ごとに順序生成機能の整数を増減させて割り当てできます。 これを使用すると、個別のデータベース・シーケンスや関連する表トリガー、その他のプロセスを指定しなくても整数値を取得できます。 この句にパラメータALWAYS(デフォルト設定)、DEFAULT、またはDEFAULT ON NULLを指定できます。 identity_options句を使用するとIDENTITY句を拡張でき、CREATE SEQUENCE文で使用するのと同じパラメータを指定できます。
    表にIDENTITY句を使用すると、Application Expressアプリケーションに影響が生じる"可能性"があります。 ALWAYSパラメータが指定されているIDENTITY列がINSERT文またはUPDATE文に含まれている場合は、データベースでエラーが発生します。 Create Table WizardでIDENTITY句を指定できるように、Application Express Builderが拡張されています。 ALWAYSパラメータが指定されているIDENTITY列には、Create Form Wizardで"表示のみ"のアイテムが生成されます。
  • INVISIBLE列句
    INVISIBLE句をCREATE / ALTER TABLE文に指定できます。 この句は、ユーザー指定の非表示列を定義するために使用します。 たとえば、開発者はEMP表に列PERFORMANCE_RATINGを追加して、他の開発者が表構造の問合せを実行したときにその開発者にはEMP表が表示されないようにできます。 データ・ディクショナリ・ビューの非表示列のCOLUMN_IDはNULLです。
    列にINVISIBLE句を使用しても、Application Expressアプリケーションに影響はありません。 オブジェクト・ブラウザやクエリ・ビルダーなどの領域内の非表示列を表示しないように、Application Express Builderが拡張されています。 Create Form WizardとCreate Report Wizardでは、生成されるフォーム領域やレポート・ソースに非表示列は含まれません。 生成後、開発者は非表示列について、"データベース列"のソース・タイプを使用して新しいアイテムを追加するようにフォームを拡張できます。 また、開発者はレポート領域ソースに非表示列を手動で含めることもできます。
  • "ROW_LIMITING"句の選択
    ROW_LIMITING句では、さまざまな設定を使用できます。 問合せから返される行を制限するには、この句を使用します。 確定的な結果セットを得るためには、この上位Nレポート機能をORDER BY句と組み合わせて使用する必要があります。 使用可能な設定には、OFFSET、FETCH、FIRST | NEXT、行数 | パーセント PERCENT、ROW | ROWS、ONLY | WITH TIESがあります。
    ROW_LIMITING句を使用しても(レポート領域ソースに使用するなど)、Application ExpressアプリケーションやApplication Express Builderに影響はありません。
  • Data Redaction
    Oracle Data Redactionとは、データ(一般に機密データ)をリアルタイムで改訂する機能です。 改訂データベース・プロファイルを使用すると、実行時(問合せ実行時)に特権の低いユーザーやアプリケーションに対して、問合せから返されるデータをマスクできます。 使用可能な改訂ポリシーには、全改訂、部分改訂、正規表現、ランダム改訂、改訂なしが含まれます。
    Data Redactionポリシーを実装すると、Application Expressアプリケーションに影響が生じる"可能性"があります。 特定のユーザーは、実装されているポリシーに基づいて改訂された問合せ結果を、レポートやSQL Workshopで表示できます。 これらのポリシーは、Application Express Builderに影響しません。 DBMS_REDACT.ADD_POLICY文およびDBMS_REDACT.ALTER_POLICY文の'expression'パラメータで、V関数およびNV関数を利用できます。この機能が特別に組み込まれているため、改訂ポリシーをApplication ExpressユーザーID別に利用したりApplication ExpressユーザーIDと関連付けたりできます。
false ,,,,,,,,,,,,,,,,