Todd Trichler Linux

Installfestコンフィデンシャル
著者:Todd Trichler

世界各国で実施されているOracle on Linux Installfestsの裏側にプリンシパル・オーガナイザーが迫る

どこに行っても、いつも変化を起こすのは、そこで出会った人々でした。

初めてLinux Installfestの概念を知ったのは、 LUGODで知り合いのサイトをブラウジングしているときでした。 それに手を加えれば、OTNで似たようなイベントを主催できるのではないかと考えました。 十分な計画や宣伝を行った後、2003年のサンフランシスコでのOpenWorldにて、OTN After Hoursイベント開催中に第1回Oracle on Linux Installfestを実施しました。 Red Hatでの知り合いや Oracle on Red Hat installsの非公式のキングとされているWerner Puschitz氏に少し手伝ってもらったのですが、大成功でした。

では、OpenWorldほどOracleユーザーのいないLinuxWorldでも成功できるのでしょうか。 答えは、"はい"でした。 ドイツOracle SCの素晴らしいサポートにより、ペンギン印の製品が Oracle on SUSEと連携することをLinuxWorld Frankfurtで証明できたのです。 こうした2つのイベントの成功で火が点いた私は、退屈の存在しないライブ感溢れるInstallfestの世界へと出発しました。 次の目標は、2004年1月に開催されるLinuxWorld New Yorkでした。

LinuxWorld New Yorkでの開催に向けて

ニューヨーク・シティは観光に最適な町ですが、寒い上に風が吹き荒れ、吹雪いている1月21日となれば、他に行こうという人は多いかもしれません。 しかし、ジャビッツ・センター内は熱気が急上昇していました。 そこでは、Red HatとSUSEが同時にソフトウェア・スポンサーとして参加する第1回Installfestが開催されようとしていたのです。 私は自分のラップトップをLinuxに変更したばかりで、LinuxはUnicesのようにバラバラに解体すると持論を語る誤解だらけの反対論者に飽き飽きしていました。 ですので、私は特にこのInstallfestで一流のコミュニティ・エキスパート・チームを結成し、異なるさまざまなLinuxが連携して動作できることをきっぱりと示し、Oracleがそのすべてで動作することを見せつけようと思っていました。 イベントの見どころは、以下のとおりです。

  • オラクルのLinuxエンジニア・チームを指導するWim Coekaerts氏(彼らのGPLへの貢献および使命記述書は oss.oracle.comを参照してください)が、彼のチームがFireWireのコードと OCFSプロジェクトに基づいて構築した RAC対応Linuxクラスタの2ノードを紹介しました。 1つのノードでRed Hat Enterprise Linuxを実行し、もう1つではSUSE Linux Enterprise Serverを実行しているという事実を無視しても、十分に印象的な設定でした。
  • オラクルの移行技術グループに在籍するDonal Daly氏は、 Oracle Migration Workbenchを使って、スキーマおよびストアド・プロシージャがフル搭載されたMicrosoft SQL ServerベースのアプリケーションをOracle on Linuxへ自動的に変換するというデモンストレーションを実施しました。
  • Richard Rendell氏、Rob Clevenger氏、そして何名かの NYPHPユーザー・グループは、Linuxで稼働する Oracle Application Server 10g Oracle JDeveloper 10g の新しい PHP機能を紹介しました。
  • オラクル HTML DB開発チームのMarc Sewtz氏は、これらの製品がSLES8で稼働するかテストしました。
  • Colorado Linux Users & Enthusiasts(CLUE)のLUGメンバーであるJeffは、自分がOracle9i Release2を Debianにインストールし終える前に、Kris Rice氏が Oracle Database 10g Fedoraにインストールしたことに驚いていました。 もっとも、オラクルでは10g のデータベース・インストールで相当なクリーンアップを行っていました。ですので、AptGetの素晴らしさが非難される前に、その点についてはKrisが不当に優位だったことを付け加えておこうと思います。
このInstallfestが閉会するころには、さまざまなLinuxディストリビューション同士をうまく連携させることができ、Linux上でOracleが問題なく動くことを誰もが確信していました。

メルボルンへようこそ

4月半ばころ、私はオラクルのAPAC Linux部門担当、Leigh Warren氏からメールをもらいました。 彼は、私がOracle OpenWorld ShanghaiでInstallfestを計画していることを知り、ぜひメルボルンのOracle OpenWorldでも開催しないかと提案してきたのです。 私は、Installfestは現地開催のイベントで、本部のイベント・チームはサポートしないことを説明し、上海のイベントに集中したいと伝えました。特にAsianuxがあったため、注力したかったのです。 もっとも、Leighに一度でも会ったことがあれば、"いいえ"という回答を簡単には受け入れない人物であることはお分かりでしょう。 一時も経たないうちに、"それでどんな事業計画が必要なのか具体的に教えてくれないか"と、彼から再度メールが届いたのです。


Installfest Melbourne
蓋を開けてみると、Leighは説得力に長けているだけでなく、登録、マーケティング、会場、カクテルなどを手配するチームをオラクルからかき集める才能があることを証明しました。もちろん、現地のRed Hatチームと提携して、人材やRHEL3 ESソフトウェア満載の箱を獲得したことは言うまでもありません。

7月6日には、準備が整っていました。 会場には100名以上もの参加者が詰めかけ、インストール方法を紹介する大画面を見つめていました。そして、30名近くが自分のラップトップにOracle Database 10g とRHEL3をインストールして帰ったのです。これは、1回のInstallfestで最高の人数です。 また、このイベントでは初めて Oracle By Exampleインストール・ガイドを使用しました。ラップトップにインストールする参加者の数を考えたとき、これは非常に役立ちました。 特に独学でインストールを考えている人にとっては、追加の助っ人のような存在となりました。

Wernerの 10g on Red Hat Linuxインストール・ガイドは、Fedoraにインストールを試みる人にとってはもちろんのこと、/tmpディレクトリが400MB以上必要ということや、1GB以上のスワップスペースを用意することを忘れていた人にとっても有益な情報となりました。

メルボルンのInstallfestで最も驚かされたことは、一度も共同作業をしたことがない人たちによる部門間協力チームを十分かつ迅速に結成したことです。 それはまるで、Linuxコミュニティのよくある姿を思い起こさせました。

このような種類のイベントを開催するときに私が注目する1つは、どのような参加者がターゲットになっているかです。 現地の道路交通機関の開発者が3名、Oracle 10g をラップトップにインストールして帰ったのを見られたのは収穫でした。 参加申し込みに返事をした人や、インストール・ガイドおよびリソースの一覧受け取りに署名した人のほとんどは、すでにLinuxプロジェクトを施行しているか、新規プロジェクトの立ち上げを考えている企業の開発者でした。なんと、関税局の開発者もいました。 イベント向けに輸送したソフトウェアのほとんどがシドニーの税関に引っかかっていることを考えると、不思議な気分でした。 現地チームがパートナーや顧客に対して、Installfest開催の情報をうまく伝えた結果だと思います。

上海で新規ディストリビューションをチェック

見知らぬ土地で異邦人の気分を味わったことはありますか。 私にとっては、2003年に北京で開催されたLinuxWorldに初参加したときがそうでした。オラクルの中国開発センターでLinuxエンジニアのチーム・リーダーを務めるWenyun(通称"Will")に出会い、彼に保護された私は、北京の裏道や中国のLinuxコミュニティを案内してもらいました。 滞在時には、Red Flagのチームと昼食をとる機会があり、BeijingLUGと会うことができました。それ以来、彼らの開発コミュニティにOracle on Linuxのメッセージを伝える絶好の機会を探してきました。


上海でAsianuxのインストール準備をする

Willのチームは、6月にリリース予定の新しい Asianux 1.0カーネルでOracle製品のテストおよび認定作業を進めていました。終了は、Oracle OpenWorld Shanghai開催前とのことでした。 これは、Oracle on Asianux Installfestを開催するまたとない機会でした。 特にAsianux上でOracle 10g が動作することを初披露するという意味で、私は非常に興奮しました。オラクルでは、Red Flag SoftwareとMiracle Linuxのパートナーシップによって実を結んだ結果であるAsianuxをサポートすると、近日発表する予定でした。 準備は、電子メール、 GAIM、そして深夜のたまの電話で進められました。 私はInstallfestの動力や事業計画、流れを解説し、彼はそれに基づいて実現にかかせないチームを結成する中で、Willと私との友情は計り知れないほど重要な意味を持つことが証明されました。 このほか、上海のInstallfest前に問題を取り除くため、BeijingLUGでの初期のテスト実施も計画しました。 実際に開催したときは、 すべてがうまく運びました

北京に戻ってから、私はWillに質問をしました。現地言語のサポートという分かりやすい拡張以外に、OracleをAsianux上で稼働させるため、何か特別なことをしたかと聞いたのです。 すると、彼は最も重要な部分は大規模なテストの実施と答えました。 彼のチームは、oranaviというGUIインストーラも構築しており、SUSEにとっての orarunと同様に、Linux環境でOracleを構成することができたといいました。 また、RACのものも含め、オラクル向けにAsianuxカーネルのパラメータを事前入力していたことも挙げました (これにより、通常の"Configuring Linux for Oracle"インストール・ガイドにあるステップ7と8をスキップすることができるのです)。

サンフランシスコのSLES9

次のOracle on Linux Installfest Tourの開催場所は、2004年7月のLinuxWorld San Francisco 2004でした。 Installfestの参加者は70名に上り、LinuxWorldでは最大数の20名近くが自分のラップトップにインストールしていました。

イベントの見どころは、2ノード、RAC対応のLinux x86-64


真剣な眼差しのSan Francisco Installfest参加者
クラスタを、HPから借りてきたOpteronマシンで構築する方法をLinuxエンジニア・チームが紹介したことでした。構築は、FireWireと OCFS version 2プロジェクトのコードを使用して行い、1つのノードではRHELが、もう1つではSLES9が稼働していました。 ここでもまた、Red HatとNovell/SUSEを協賛ソフトウェア・スポンサーとして迎え、Red HatがRHEL3 ASを、SUSEがLinuxWorldで初披露となった新しいSLES9バージョン(2.6カーネル)を提供しました。 Oracle 10g on SLES 9インストール・ガイドをまとめたPeter Knaggs氏のおかげで、(SCOがSLES9のオプションとして存在しないため)UnitedLinuxレーベルに対応する現行のOracleインストーラの回避策として活用できました。 SLES9が公式に本番環境へと導入されたことで、次のOracleインストーラのバージョンではこの矛盾を考慮することができます。それまでの間、このガイドは必要になります。

RedHatインストールを手伝ってくれたSaarとLanceも、感謝に堪えません。 この手順に従い、OSパッケージのインストール・メニューで開発ツール・パッケージを選択すれば、RHEL3 ASまたはES上に問題なくインストールすることができるでしょう。 Saarは、Red Hat、SUSE、VMwareと共同開発した 新しいDVDセットについても紹介しました。これは、既存のWindowsマシン上のVMwareで完全な企業向けOracle on Linux環境を実行することができるというものです。Oracle on Linuxに移行する前に、監査したい人にとっては最適です。

このInstallfestで面白かったことは、何人かがOracle Database 10g をGentoo Linuxにインストールしたことです。 これまでのInstallfestではDebianにインストールする人はいましたが、GentooやFedora 2にもインストールしようという挑戦者は初めてのことです。最近、Linux開発者コミュニティでGentooの人気が上昇していることを示しているのかもしれません。

LinuxWorld San FranciscoのInstallfestに参加する最大のメリットは、私が2番目にお勧めするLinux活動で、 Linux Picn*xに参加できることです。これは、Bay Area LUGが現地の公園で開催するイベントで、 今年もOTNがピクニックを支援しました。私は、ソフトウェアや10g Tシャツを配ることができたのですが、人気が高く、あっという間になくなってしまいました。 PenLUG代表としても活動するオラクルのBill Ward氏は、登録所を担当していました。 レドウッド・ショアズにお越しの際は、100棟もあるキャンパスで開催されているPenLUGに顔を出してみてください。

新しいInstallfestイベントの情報の通知、Installfestリソースの使用、またはInstallfestコミュニティに参加したい場合は、 Oracle-on-Linux Installation Menuをブックマークして、頻繁にチェックしてください。

現地の開発者が集まる場所でOracle on Linux Installfestを主催したい場合は、 todd.trichler@oracle.comまでご連絡ください。できるかぎり、要望に応えられるよう支援します。

Todd Trichler は、オラクルに8年在籍するベテランで、アライアンス、製品管理、マーケティングを担当しています。 OTNの上級主要製品マネージャとして、JUG、LUG、PUG、およびその他のJava、Linux、PHP技術コミュニティへのオラクルの取組みを推進し、緊密に開発に携わってきました。

Asianux、 Installfestでデビューを果たす
著者:Katheryn Potterf

Linuxは、アジア全土を覆う"止まらない波"となりました。 中国の開発者コミュニティにとっては、むしろ津波と表現した方がよいかもしれません。2004年7月21日に上海で開催されたOracle OpenWorldのAsianux Installfestに参加した人に聞けば、誰もがそう答えてくれるでしょう。

中国のソフトウェア企業、Red Flag Softwareの戦略的アライアンス・マネージャ、Edward Wen氏は"大規模なイベントに参加し、驚きました"と言います。 "午後も遅くだったにもかかわらず、会場には多くの参加者がいました。 熱意は高く、人々は興味津々でした。 参加者は、Oracle Database 10g やLinuxに関する知的な質問をしていました。 何人かは、NTからLinuxに移行する良い機会とも言っていました"。

技術者はテーブルを囲んで座り、Oracle 10g とRed Flag Linuxをラップトップにインストールしていました。その他の聴衆は、大画面に表示される実装手順を真剣に見つめていました。 Oracle、Red Flag、そしてMiracle Linuxの専門家は、いつでもサポートできるよう待機していました。 インストールの終了後、参加者は"驚くほど簡単だった"と感想を述べ、自由で活気に溢れる質疑応答へと移りました。 何よりも素晴らしかったのは、Installfestに参加した人すべてがLinuxとOracle Database 10g ソフトウェアを無料でもらえたことです。

現在Asianux 1.0は、アジアのソフトウェア企業2社によりコア・カーネルとして共同開発されています。 その2社は、日本を本拠地とするMiracle Linuxと、中国のRed Flag Softwareです。 オラクルは2003年12月に、これら2社と技術的パートナーシップを提携し、北京のOracle China Development Center(CDC)で多くのテスト、認定、および開発作業を実施しました。同センターでは、中国と日本の技術者が連携して、Oracleを動作できるようLinuxの最適化に取り組みました。 Oracleは、Red HatおよびNovell/SUSEの企業向けLinuxバージョンをサポートするのと同様に、中国と日本ではAsianuxをサポートします。 第一線のサポートはOracle China Supportによって提供されており、第2の詳細な技術サポートは、Oracle製品群がAsianux上で動作することを確認するCDCが提供しています。 Asianuxは、中国と日本のRed Flag Linux DC Server 4.1およびMiracle Linux 3.0ディストリビューションにとって欠かせない存在です。

Red Flag Linux DC Server 4.1(Asianux Inside)をラップトップにインストールした参加者の一人、Shen Xiao Leiはシステム・インテグレータのShanghai Jiankun Information Technology Co., Ltd.のプロジェクト・マネージャです。"オラクルはLinux事業の多くを手がけていると思います。でも、私はOracleをいつも使用しているものの、Linuxを使ったことはありませんでした。それで、Linuxのインストールについて詳細を学び、その他の顧客にインストールできるようになろうと思ったのです"と、彼は語ります。

中国のLinux人気の要因は?

北京を拠点とするERPプロバイダ、AVIC Information Technologyのプロジェクト・マネージャによると、"オープンで、かつ政府が支援している"ことが背景にあるようです。同社はすでにOracle DatabaseとOracle JDeveloperを導入しています。

中国で政府がバックアップしている点はあなどれません。 1つに、Linuxを導入すれば、企業は電子政府プロジェクトへより簡単に参加できることです。 銀行、通信事業者、郵便局など、より多くの企業でもAsianux上でミッション・クリティカルなアプリケーションを稼動させています。

"Asianuxは、アジア・パシフィック地域の主流となるでしょう。 日本、韓国、そして中国の政府機関はすべてLinuxをサポートしています"と、Miracle Linuxの販売責任者、Takashi Kodama氏は言います。また、来年はシンガポール、イスラエル、バングラデシュ、パキスタンの4企業がAsianuxプログラムのパートナーとして参加することも付け加えました。

Kodama氏は、次のステップはハードウェア・ベンダーにAsianuxをプレインストールするよう説得することにあるとしました。 "我々の目標は、すべてのWindowsの顧客を手中に収めることです。 3年から5年後には、OSは消耗品になるでしょう。 そのとき、顧客はOSに余計な金額を支払いたいと思わなくなり、Linuxがより魅力的な製品になると思います"。

Asianux Installfestの参加者の多くはOTNメンバーで、Asianuxがオラクル向けに最適化されたことを喜んでいました。 "Oracle Real Application Clustersは、安定性、信頼性があり、低コストです。 LinuxはOracleと相性がよいのです"と、中国河北省にあるQin Huang Dao Chen Long Information Science Technologies, Ltd.のアプリケーション・サーバー管理者、Yang De-Ming氏は言います。 同社のDBA、Song Ren-Hui氏も"オラクルと弊社の関係に明るい希望を感じています"と付け加えました。 AsianuxカーネルをベースにしたRed FlagとMiracle Linuxのディストリビューションは、中国語、日本語、そして英語でもすぐに使用できるよう開発されています。 実際、現地言語のサポートは、特にアジアの顧客にとって非常に重要なポイントです。

このほか、オラクル開発者チームは参加者にOracle HTML DBとOracle JDeveloperを簡単にインストールできることも示しました。 何人かの参加者は、Java開発、HTML DB、その他Linuxの技術リソースに関するインストール・ガイドの受け取りを申し込んでいました。

Kodama氏はInstallfestについて、これまでにないイベントと評価しています。 "多くの人は、Linuxのインストールは難しいと思っています。しかし、InstallfestはOracle 10g とAsianuxがどれほど簡単にインストールできるかを見せてくれます。 Linuxは企業にとって最適な製品なのです"。