BEA WebLogic Server 10.3のテクノロジープレビューのハイライト
Will Lyons著
2007年11月7日(翻訳記事2008年2月7日)
要約
BEAでは、BEA WebLogic Server 10.3のテクノロジープレビューをリリースしました。このリリースでは、3つの領域に重点を置いて機能強化されています。この機能強化により、BEA WebLogic Serverをすでに使用している開発者は開発環境が改善されたことを実感し、この製品を現在使用していない開発者にはBEA WebLogic Serverに魅力を感じていただけるものと確信しています。
このメモでは、BEA WebLogic Serverの変更点の一部をまとめています。今後数ヵ月間で、さらに情報を公開していく予定です。ダウンロードと製品マニュアルについては、参考資料を参照してください。
軽量なBEA WebLogic Server
機能強化の第1の領域は、BEA WebLogic Serverを「軽量化」することです。「軽量」とは、受け取る人が違えばその意味も異なる言葉であり、「ダウンロードが速い」、「ディスクのフットプリントが小さい」、「メモリ消費量が少ない」、「デプロイ時間が短い」、「サーバの起動が速い」など、その特性も違ってきます。
主要な基本要件は、サーバやサーバ関連の操作で使用されるリソースおよび時間を削減して、開発者の生産性を高めることです。BEA WebLogic Server 10.3では、上記のすべての点で改善を実現しています。ここではいくつかの例を紹介します。
- ダウンロード時間とインストールのフットプリント - ここ数年にわたって、BEA WebLogic Serverのダウンロードは、JVM、Workshop IDE、ドメインおよびアップグレードのウィザード、データベースドライバ、WebLogic Serverコンソールなどの補完的な技術やツールと共に提供されています。これらのオプションツールは、BEA WebLogic Serverのダウンロードやインストールで、所要時間やフットプリントを削減することに役立ちます。このテクノロジープレビューリリースでは、インストールオプションがさらに追加されており、インストール時に上記の技術やその他の技術を選択できるようになりました。正規版のリリース間近になると、ダウンロードオプションの提供も予定されています。
- アプリケーション開発でのラウンドトリップ時間 - 多くのBEA WebLogic Serverの開発者は、反復的な開発中に、問題を発見してアプリケーションを変更するたびに(それがどれほど小さな変更であっても)、必ずアプリケーションの完全な再デプロイ(サーバの再起動)を行っています。開発プロセスでは、この処理によってシステムの中断や時間の浪費に繋がります。このテクノロジープレビューには、Java SE機能を利用した「FastSwap」という機能が導入されています。この機能により、開発者は、1つのクラスまたはクラスセットを変更し、変更を再コンパイルして保存し、サーバでの作業内容を失うことなく、実行中のサーバにすぐに変更を反映することがきます。この環境は、これまでよりも即応性がはるかに高く、シームレスな開発を実感できます。
- 任意に指定できるサービス起動 - 多くの開発者は、BEA WebLogic ServerをWebアプリケーションの開発に使用しており、EJBまたはJMSサービスは使用していません。これらのサービスは常にサーバによって起動されており、サーバの起動やメモリ消費量に多少なりとも影響を及ぼしています。このテクノロジープレビューでは、これらのサービスを起動するかどうかをユーザが指定できます。この機能は、BEA WebLogic Serverのモジュール化の推進にかける継続的な努力の結果であり、使用するサーバ機能に対するユーザの制御能力が高められています。
- コンソールパフォーマンスの改善 - BEA WebLogic Serverコンソールには、豊富な機能が備わっており、エンドユーザがカスタマイズできるように、BEA WebLogic Serverの設定やデプロイのタスクにも大幅な柔軟性が与えられています。最近のリリースでは、これらの機能をサポートする実装によって、コンソールの応答が遅くなっていました。しかし、今回のリリースでは、コンソールの起動時と利用時に、BEA WebLogic Server 9.2および10.0のパフォーマンスが大幅に改善されたことがわかります。応答時間は、2~3倍ほど高速化しています。コンソールのルック&フィールも大幅に改善されました。
- 起動時と実行時のパフォーマンス - BEAでは、起動時間の削減とサーバスループットの改善に対する投資を継続して行っており、開発者、管理者、およびエンドユーザのために、BEA WebLogic Server環境での応答時間の短縮に努めています。
プログラミングモデルとAPIサポート
機能強化の第2の領域は、新しい開発者用APIのサポートです。BEA WebLogic Serverが主に提案する価値は、エンタープライズクラスのJavaアプリケーションとサービスに対して、信頼性、可用性、拡張性、パフォーマンス(RASP)の利点を提供することです。BEA WebLogic Serverで使用される主要なプログラミングモデルはJava EEです。BEAは、Java EE標準の導入における技術的リーダーの立場を維持しています。このテクノロジープレビューでは、既存のJava EE 5のサポート、特にEJBとJPAのサポートをさらに強化しています。
しかし、BEAでは、開発者が使用するほかのJavaプログラミングモデルやフレームワークにも、RASPインフラストラクチャの価値を拡げたいと願っています。ここではこのテクノロジープレビューに追加されたサポートをいくつか紹介します。
- SOAサーバのWebサービス/SCAサポート - BEA WebLogic Serverは、SOAサービスの開発とホスティングのための環境を提供しており、BEAによるSOA対応機能の基盤になります。BEA WebLogic Server 10.3は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)のサービスとアプリケーションを開発するための新しい機能を備えています。第1に、JAX-RPC (J2EE 1.4)とJAX-WS(Java EE 5)の両Webサービスのために、Webサービス標準のサポートが強化されています。コンポジットアプリケーションの標準ベースの開発を可能にするSCA (Service Component Architecture)のサポートも近日中に実現します。このサポートは、BEA WebLogic Server 10.3テクノロジープレビューへのアドオンとして、プレビュー形式で数ヵ月内に利用可能になります。この技術のパッケージ化はまだ完了していないため、 BEA WebLogic Server 10.3の発売時点では、この技術が同製品に含まれていない可能性があります。
- Springの機能強化 - BEA WebLogic Serverは、BEA WebLogic Server 9.0以降、Springアプリケーションの開発と実行をサポートしてきました。BEAは今後も、この分野での機能強化を継続していきます。BEA WebLogic Server 10.3では、Springアプリケーションの分散管理が改善されており、Springのセキュリティ機能とBEA WebLogic Serverの統合も強化されています。このテクノロジープレビュー リリースでは、現在Spring 2.0.2がサポートされていますが、製品版では、このサポートがSpring 2.1にアップグレードされる予定です。
- Web 2.0のサポート - BEA WebLogic Server 10.3では、BEA WebLogic ServerでのAJAX対応アプリケーションの開発が、Dojoクライアントサポートを通じて可能になる予定です。また、BEAでは、HTTPクライアントの発行/購読インフラストラクチャ実装で、Dojoクライアント技術を活用しています。この機能により、ブラウザとJavaクライアントは、BEA WebLogic Serverサーバとの間で永続的なセッションを確立し、サーバ メッセージインフラストラクチャに対して発行されるメッセージを購読することができます。この技術を使用すると、クライアントは、関心のあるトピックや情報に関する軽量でデータ駆動型の更新を、完全なHTTP要求/応答を必要とすることなく送受信できます。
技術の統合と標準
機能強化の第3の領域は、エンタープライズ技術の統合と標準の更新です。セキュリティ、パフォーマンス、可用性に優れたエンタープライズアプリケーションを開発し、実行するために、BEA WebLogic Serverアプリケーションは、事実上または公式の標準を通じて、ほかの技術との連携や相互運用を図る必要があります。BEAでは、この領域でお客様および開発者の主要なご要望に応えるためにサポートを更新しました。
- .NET統合のためのC# JMSクライアント - BEA WebLogic Server 9.2では、BEA WebLogic Server JMSサブシステムに対して大幅な機能強化を行いました。例えば、メッセージの永続的な送受信を行う用途のために、パフォーマンスを大幅に改善しました。これを含めた多くの改善を行った結果、エンタープライズ メッセージング インフラストラクチャ向けに、ますますBEA WebLogic Server JMSが導入されるようになっています。また、.NETなど、BEA WebLogic Server以外の技術との優れた直接統合も求められています。これらのご要望に応えるために、C# JMSクライアントAPIを開発して、BEA WebLogic Server 10.3で提供されています。この技術により、.NET アプリケーションは、.NETクライアント上のJavaを必要とせずに、JMSサブシステムと直接的にインタフェースを確立できます。
- SAML 2.0 - SAML(Security Assertion Markup Language)は、複数のセキュリティドメインでのシングルサインオンを可能にするためにセキュリティ情報を交換する標準です。このBEA WebLogic Server 10.3のテクノロジープレビューは、SAML 2.0標準をサポートしており(さらに、既存のSAML 1.1サポートも強化しています)、Webアプリケーションに加えて、Webサービスでのシングルサインオンも可能にします。
- Webサービスの標準 - 上記のとおり、BEA WebLogic Server 10.3では、Webサービス標準のサポートが新しく追加または強化されています。特に、WS-Security、WS-Policy、WS- Reliable Messaging、WS-Addressingなど、OASIS WS-*標準のサポートが強化されています。
- Java SE 6 - WebLogic Server 10.3は、Java SEプラットフォームの最新リリースであるJava SE 6をサポートおよび活用しています。
- Eclipseのサポート - BEAでは、EclipseベースのIDEであるBEA Workshop for WebLogicの更新バージョンを提供し、BEA WebLogic Server 10.3の製品版をサポートする予定です。このテクノロジープレビューに向けて、Dev2DevでBEA WebLogic Server Tools(Eclipse IDEのプラグイン)を更新しました。これにより、このテクノロジープレビューを使用したアプリケーション開発で、Eclipseをご利用いただけます。
- その他の利点 - BEAは、管理性と可用性に対する企業のご要望に応えるために、継続的に革新技術と機能強化を提供していきます。例えば、BEA WebLogic Server 9.2で最初に導入されたBEA WebLogic診断フレームワークは、BEA WebLogic Serverサーバとアプリケーションを監視して問題を診断するために強力な機能を提供します。このテクノロジープレビューでは、さらなる機能強化を提供しており、JMSサービスレベルの移行も改善されています。テクノロジープレビューのドキュメントを参照してください。
まとめ
この概要を通じて、BEA WebLogic Server 10.3の新機能をご理解になり、このソフトウェアをダウンロードしてご使用いただければ幸いです。ぜひご試用いただき、ご意見、ご感想をお聞かせください。
Will Lyonsは、BEA WebLogic Serverの製品管理担当ディレクターであり、製品要件および戦略を推進するチームを統括しています。