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このドキュメントは、初めて「Oracle Identity Manager 9.0.3」をインストールする方を対象に、以下のデモンストレーション環境を構築するためのガイドです。 「 初めて」といっても、通常のID管理製品やサーバー構築の経験があり、 オラクル製品はOracle Identity Manager 9.0.3が初めてという方向けの資料です。
インストール・マニュアルとしてもご利用いただけますが、「想定するデモンストレーション環境を作ること」を主目的としております。この資料を利用し、本番環境を構築した際に障害が発生しても、保障はいっさいいたしません。
本番環境構築の際には十分なシステム設計をおこなうことをお勧めします。
想定しているデモンストレーション環境を以下に示します。
表1. デモンストレーション環境
| 項目 | 使用リソース | 備考 |
|---|---|---|
| OS | Windows Server 2003 R2 日本語版 | 要ライセンス |
| 使用機器 | メモリ:2GB程度 CPU:Pentium III 空きディスク容量:20GB程度 |
最低1.3GB必要 1GHz以上 |
| IPアドレス | 192.168.100.5 / 24 | 任意の固定アドレス |
| ホスト名 | oim2k3.oim.oracle.com | 任意 |
表2. IdM システムで使うHDD容量
| 初期HDD使用量 | 使用リソース量 | 備考 |
|---|---|---|
| Oracle Database | 512M | 格納する情報量に応じて増加する |
| Diagnostic Dashboard | 15M | |
| Oracle Identity Manager Server | 400M | |
| 各種コネクタ | 10M | 使用するコネクタ,アダプタの増減により、情報量は増減する。 |
| Design Console | 130M |
今回作成する環境を以下に示します。図中の赤い破線で囲まれた部分のインストール作業が本資料のカバー範囲となります。
また、 今回デモンストレーション環境を作成するにあたり、以下のソフトウェア・リソースを用意してください。
ここでは、OS(Windows Server 2003 R2)のインストール、ネットワーク設定、Active Directoryの構築およびDNSの設定は済ませていることを前提とします。
また、IISはインストール・設定されていないものとします。
なお、Windowsセキュリティセンターの設定が有効になっていると、Oracle DatabaseやOC4Jの設定に利用するOracle Enterprise ManagerのWebコンソールが起動しない場合があります。Windowsセキュリティセンターの設定は無効にしてください。
今回 構築するシステムでは、以下の作業環境を想定しています。
| 設定項目 | 設定値(今回の環境での例) | 備考 |
|---|---|---|
| Oracle Databaseのインストールパス | C:\oracle\product\10.2.0 | |
| Oracle Application Serverのインストールパス | C:\product\10.1.3.1\OracleAS_1 | |
| Oracle Identity Managerのインストールパス | C:\oracle\xellerate | 「xellerate」の部分は任意に指定 |
| 作業フォルダ | C:\work | このフォルダで各種作業をおこなう |
それでは、Oracle Identity Managerを構築していきましょう。
Oracle Identity Managerの環境の構築は以下の手順でおこないます。
まず、Oracle Identity Managerを実際に動かすJ2EEアプリケーション・サーバー層であるOracle Application Server 10g Release 3のコアコンポーネント、「Oracle Application Server Containers for J2EE」(以下、OC4J)のインストールをおこないます。
OC4Jでは、OC4Jに含まれるJDKを利用します。そのため、これからOC4Jをインストールする環境にすでにJDKがインストールされていないかをチェックします。
コマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを入力してください。
C:\>java -version
もし、すでにJDKがあれば、以下のように表示されます。
C:\>java -version
java version "1.5.0_06"
Java(TM) 2 Runtime Environment, Standard Edition (build 1.5.0_06-b05)
Java HotSpot(TM) Client VM (build 1.5.0_06-b05, mixed mode)
その場合、環境変数でJAVAへのパスの設定(JAVA_HOMEの定義)を削除してください。
次に、Oracle Application Server 10g(OC4J)のインストールをおこないます。
OC4Jのインストール後、以下の設定をおこないます。
続いて、Oracle Databaseのインストールをおこないます。
Oracle Identity ManagerではOracle DatabaseをユーザーID情報やポリシー情報、ログなどを格納するリポジトリとして使用します。
早速、Oracle Databaseをインストールしてみましょう。
以上で Oracle Databaseのインストール作業は終了です。
次に、Oracle Identity Managerをインストールします。
データベースに Oracle Identity Manager用のユーザーとテーブルを作成します。
この作業には、Oracle Identity Managerのインストール・メディア(\installServer \Xellerate\db\oracle配下)に含まれるバッチファイル「prepare_xl_db.bat」を利用します。
バッチファイルをコマンドプロンプトで実行します。
データベースへの書き込み権限のあるユーザー(例:Administrator)でバッチファイルを実行します。
実行例:prepare_xl_db.bat xladmin xladmin xltbs C:\product\10.2.0\db_1\oradata xeltbs_01 TEMP oracle10g
今回の設定値は以下のとおりです。
| 引数 | 設定値 |
|---|---|
| ORACLE_SID | Oracle DatabaseのSIDorcl |
| ORACLE_HOME | Oracle Databaseのインストール・フォルダC:\oracle\product\10.2.0\db_1 |
| XELL_USER | Oracle Identity Manager用のデータベース・ユーザー xladmin |
| XELL_USER_PWD | XELL_USERのパスワード xladmin |
| TABLESPACE_NAME | Oracle Identity Manager用のデータベース・テーブルスペース名 xltbs |
| DATAFILE_DIRECTORY | データファイルを格納するディレクトリ C:\product\10.2.0\db_1\oradata |
| DATAFILE_NAME | データファイル名 xeltbs_01 |
| XELL_USER_TEMP_TABLESPACE | テンポラリテーブル名 TEMP |
| SYS_USER_PASSWORD | Oracle DatabaseのSYSユーザーのパスワード oracle10g |
今回の環境では、Oracle Application ServerとOracle Databaseを同一サーバ―上で構築するため、Oracle Database側のopmnポートを変更します。
| 変更前 | 変更後 |
|---|---|
| 6100 | 6101 |
| 6200 | 6201 |
Oracle Identity Manager環境を構築するためのデータベースの環境設定をおこないいます。
オプション設定
今回の手順に従っていれば必要ありませんが、既存のデータベースを利用してOracle Identity Managerを構築する場合には、データベースでクエリー・リライトを有効にし、XAトランザクション・サポートの有効化をおこなう必要があります。クエリー・リライトを有効にするには、以下のパラメータを設定します。
| パラメータ | 設定値 | 備考 |
|---|---|---|
| QUERY_REWRITE_ENABLED | TRUE | Oracle Database Enterprise Editionの場合のみ |
| QUERY_REWRITE_INTEGRITY | TRUSTED |
次に、Javaの環境変数を定義します。
| パラメータ | 設定値 |
|---|---|
| JAVA_HOME | C:\product\10.1.3.1\OracleAS\jdk |
| ORACLE_HOME | C:\oracle\product\10.2.0\db_1 |
| Enter java -version For example, the information that appears should look like the following: C:\>java -version java version "1.5.0_06" Java(TM) 2 Runtime Environment, Standard Edition (build 1.5.0_06-b05) Java HotSpot(TM) Client VM (build 1.5.0_06-b05, mixed mode) |
*今回の環境ではおこないませんが、リソースに余裕がある場合は、JavaHeapSizeを512MB程度以上に増やすことをお勧めします。詳細は、下記のURLの「 Oracle Identity Manager Oracle Containers for J2EE用インストレーション・ガイド」をご覧ください。
続いて、サーバーが構築環境としての条件を満たしているかを確認するために、診断ダッシュボードをインストールします。
Oracle Identity Managerのインストール・メディアのDiagnosticDashboardフォルダにあるXIMDD.warファイルを用意しておきます。
<Oracle Identity Managerインストール・メディア>sDiagnosticDashboard/XIMDD.war
以上で診断ダッシュボードのインストールは終了です。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| データベース・ホスト名またはIPアドレス | ホスト名 oim2k3. oim.oracle.com |
| ポート番号 | Oracle Databaseで使用しているポート 1521 |
| データベースSID | Oracle DatabaseのSID orcl |
| ユーザー名 | Oracle Databaseに作成したOracle Identity Manager用ユーザー xladmin |
| パスワード | Oracle Databaseに作成したOracle Identity Manager用ユーザーのパスワード xladmin |
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| ユーザー名 | OC4J管理者のID oc4jadmin |
| パスワード | OC4J管理者のパスワード oracle10g |
| OC4Jインスタンス名 | OC4Jのインスタンス名 home |
| RMIポート番号 | 指定したRMIポート番号 12408 |
| OPMNポート番号 | OPMNのポート番号 6003(デフォルト) |
以上でインストールは終了です。「終了」をクリックしてウィザードを終了します。
診断ダッシュボードにアクセスし、環境や設定が正しいかを確認します。
Oracle Identity Managerの設定や使い方は「設定編」を参照してください。