JDeveloper 11g によるリッチクライアント開発

第3章 Oracle JDeveloperのインストール

日本オラクル株式会社 セールスコンサルティング統括本部
Fusion Middleware SC本部 Fusion Middleware レディネス部
智野 潤子 (ちの じゅんこ)

前回は、 ADF Faces Rich Client Components Hosted Demoの実行をとおして、ADF Faces Rich Clientが提供するUIコンポーネントとその機能を実際に体験してみました。
今回は、ADF Faces Rich Clientが同梱されているOracle JDeveloper 11g(以下JDeveloper)のインストール手順について説明します。

目次

インストール要件

JDeveloperは、100% Pure Javaで実装されており、JDK 6が動作するあらゆるプラットフォームで使用可能です。本稿執筆時のJDeveloperの最新バージョン(Build 5188)の推奨動作環境は次のとおりです。

表1 JDeveloperの推奨環境
リソース 推奨
CPU Pentium IV 2GHz以上
メモリー 2GB
ディスプレイ 65536色 1024×768以上の解像度
HDDの空き容量 2.25GB
JDK JDK 6 Update 5以降

なお、システム要件の詳細および最新情報は、インストレーション・ガイドの「1.0 JDeveloperのシステム要件」に記載されています。インストレーション・ガイドは「 JDeveloper 11g - インストレーション・ガイド/リリースノート」から参照してください(本稿執筆時のインストレーション・ガイドの最新版は こちら)。

ソフトウェアのダウンロード

JDeveloperにはStudio EditionとJava Editionの2つのエディションがあります。どちらも OTN-Jで公開されており、無償で使用できます。今回は、本連載で紹介するADF Faces Rich ClientはStudio Editionが含まれているStudio Editionのインストール手順について説明します。

Oracle Technology Network(US)のユーザー・アカウントの作成

JDeveloperをダウンロードするには、 Oracle Technology Network(US)のユーザー・アカウントが必要です。ユーザー・アカウントの作成は無料なので、まだお持ちでない方は OTN USお客様情報登録方法を参考に作成してください。

ライセンスへの同意

JDeveloperをダウンロードする前に、必ずライセンス契約に同意していただく必要があります。 JDeveloperのダウンロード・ページを開き、「ライセンス契約書」をクリックして内容を確認した上で「ライセンスに同意」を選択します。

図1 JDeveloperのダウンロード・ページ
図1 JDeveloperのダウンロード・ページ

ファイルのダウンロード

Studio Editionのダウンロード・ファイルはWindows Install(Windows用)、Linux Install(Linux用)、Base Install(全プラットフォーム共通)の3種類が用意されているので、使用する環境に合わせて選択してください。Windows InstallとLinux InstallにはJDeveloperの実行時に使用するJDKが含まれています。一方Base InstallはWindowsやLinuxはもちろん、Mac OS X(10.5.2以降)などSunのJDK 6が使用できるすべてのプラットフォームで使用できますが、JDKは含まれていないため、JDK 6を事前にインストールしておく必要があります。

JDeveloperのインストール

ここでは、JDeveloperのインストール手順を説明します。JDeveloperにはインストーラが用意されているので、どのインストール・ファイルを使用した場合でも基本的な手順は同じです。

  1. Windows InstallまたはLinux Installを使用する場合は、ダウンロードしたインストール・ファイルを実行します。Base Installの場合は、コマンド・ラインから次のように実行します。
    java -jar jdevstudio11110install.jar
    
  2. インストーラが起動されると、図2のように「ようこそ」画面が表示されるので、「次へ」ボタンをクリックします。

    図2 「ようこそ」画面
    図2 「ようこそ」画面

  3. JDeveloperとWebLogic ServerをインストールするMiddlewareホーム・ディレクトリを指定して、「次へ」をクリックします。

    図3 「Middlewareホーム・ディレクトリの選択」画面
    図3 「Middlewareホーム・ディレクトリの選択」画面

    注意: Middlewareホーム・ディレクトリに空白が含まれている場合(例: C:\Program Files\Oracleなど)に、いくつかの機能が正常に動作しないことがあります。Middlewareホームには、空白を含めないようにしてください。
  4. インストール・タイプを選択して「次へ」をクリックします。

    図4 「インストール・タイプの選択」画面
    図4 「インストール・タイプの選択」画面

  5. インストール・タイプで「カスタム」を選択した場合は、「製品とコンポーネントの選択」画面でインストールするコンポーネントを選択することができます。

    図5 「製品とコンポーネントの選択」画面
    図5 「製品とコンポーネントの選択」画面

  6. Base Installを使用している場合は、JDeveloperの実行時に使用するJDKがインストールされているディレクトリを指定する必要があります。

    図6 「JDKの選択」画面
    図6 「JDKの選択」画面

  7. JDeveloperとWebLogic Serverがインストールされるディレクトリが表示されます。「次へ」をクリックします。

    図7 「製品インストール・ディレクトリの確認」画面
    図7 「製品インストール・ディレクトリの確認」画面

  8. WindowsにJDeveloperをインストールする場合は、JDeveloperやWebLogic Serverを起動するためのショートカットを作成する場所を選択します。

    図8 「ショートカットの場所の選択」画面
    図8 「ショートカットの場所の選択」画面

  9. インストールされるコンポーネントおよび必要なディスク・サイズが表示されます。

    図9 「インストールの概要」画面
    図9 「インストールの概要」画面

  10. インストールが開始されます。

    図10 インストール中の画面
    図10 インストール中の画面

  11. インストール完了すると、図11のような画面が表示されるので、「完了」をクリックします。

    図11 「インストール完了」画面
    図11 「インストール完了」画面

  12. 「インストール完了」画面で「Quickstartを実行」がチェックされていた場合は、QuickStartが起動され、図12のような画面が表示されます。

    図12 QuickStart
    図12 QuickStart

JDeveloperの起動

JDeveloperはQuick Startの「Oracle JDeveloper 11gの起動」をクリックすると起動されます。また、そのほかにもいくつかの方法があります(<MW_HOME>はインストール時にミドルウェア・ホーム・ディレクトリとして指定したディレクトリを表しています)。

  • Windowsの場合
    1. a. Windowsスタート・メニューの「Oracle Fusion Middleware 11.1.1.0.x」→「Oracle JDeveloper Studio 11.1.1.0.x」を実行
    2. b. <MW_HOME>\jdeveloper\jdeveloper.exeを実行
    3. c. <MW_HOME>\jdeveloper\jdev\jdev.exeを実行(コンソール・ウィンドウに詳細なログを表示させる場合)
  • Linux/Mac OSの場合
    1. d. <MW_HOME>\jdeveloper\jdev\jdevwを実行
    2. e. <MW_HOME>\jdeveloper\jdev\jdevを実行(コンソール・ウィンドウに詳細なログを表示させる場合)

JDeveloperをはじめて起動すると、次の2つの画面が表示されます。

  • ロールの選択
  • ユーザー設定の移行

ロールの選択

JDeveloperでは、表2にある4つのロールから1つを選択することができます。ロールを開発目的に応じて適切に選択することで開発に必要な機能に限定することができ、使用しやすくなります。ADF Faces Rich Clientを使用する場合は「デフォルトのロール」を選択します。また「起動時にロール選択を常に要求」のチェックを外すと、次回以降の起動時にはここで選択したロールで起動されます。

図13 「ロールの選択」画面
図13 「ロールの選択」画面

表2 JDeveloperの4つのロール
ロール 説明
デフォルトのロール ADF、データベースなどJDeveloperのすべての機能を使用できるロール
Database Edition 表やビューなどの設計やSQL、PL/SQLのプログラミングおよびデバッグなどデータベース開発機能を使用できるロール
Java EE Developer ServletやEJBなどのJava EEコンポーネントや、Webサービス、データベースの開発作業を行うためのロール(JDeveloper 10g(10.1.3)のJ2EE Editionと同等)
Java Developer Java EE以外のJava(GUIアプリケーションやアプレットなど)、XML開発のみを行うためのロール(JDeveloper 10g(10.1.3)のJava Editionと同等)

ユーザー設定の移行

「ユーザー設定の移行」ダイアログは、同一マシンにインストールされている旧リリースのJDeveloperの設定情報(データベースやアプリケーション・サーバーの接続情報や、コード・スタイルなど)を移行するかどうかをたずねるダイアログです。

図14 「ユーザー設定の移行」ダイアログ
図14 「ユーザー設定の移行」ダイアログ

「はい」をクリックすると、JDeveloperの構成情報を指定するためのウィンドウが表示されます。

JDeveloperの統合開発環境

JDeveloperが起動されると、次の図のような画面が表示されます。

図15 JDeveloperが起動された状態
図15 JDeveloperが起動された状態

まとめ

今回は、JDeveloperのインストール手順について説明しました。次回からは、インストールしたJDeveloperを使用して、ADF Faces Rich Clientのアプリケーションを作成していきます。

備考: JDeveloperをMac OS Xにインストールするための事前準備

JDeveloperをMac OS Xにインストールする場合は、事前に次の2つの設定をしておく必要があります。

  • デフォルトのJDKをJDK 6に変更
  • classic.jarファイルのシンボリック・リンクの作成

デフォルトのJDKをJDK 6に変更

/アプリケーション/ユーティリティ/Java内にある「Java Preferences」を実行し、「General」タブの「アプリケーション・バージョン・リスト」で「Java SE 6」を最上位に移動させます。

classic.jarファイルのシンボリック・リンクの作成

JDeveloperのインストーラがJDKのインストール・ディレクトリを認識できるように、次の手順でclassic.jarファイルのシンボリック・リンクを作成する必要があります。

  1. 鍵のアイコンをクリックして、設定を編集できるようにします。
  2. ルート・ユーザーを有効にするために、/アプリケーション/ユーティリティ内のディレクトリユーティリティを開きます。メニューから「編集」→「ルートユーザを有効にする」を選択し、ルート・ユーザーのパスワードを入力します。
  3. コマンド・ユーティリティで次のように実行します。
    cd /SystemLibrary/Frameworks/JavaVM.framework/Versions/1.6.0/Home/
    su root
    mkdir jre
    cd jre
    mkdir lib
    cd lib
    ln -s ../../../Classes/classes.jar rt.jar
    
  4. 必要に応じて、ルート・ユーザーを無効にします。
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智野 潤子 智野 潤子 (ちの じゅんこ)
日本オラクルで主に開発ツール/フレームワーク製品を担当しています。