Oracle Database 11g Release 2に関する10の重要なこと – askTom Live -
Point8: Flash Cache 【Database Smart Flash Cache】

オラクル・コーポレーション
サーバー・テクノロジー部門 シニア・テクニカル・アーキテクト兼エバンジェリスト
Thomas(Tom) Kyte (トム・カイト)

8.Flash Cache 【Database Smart Flash Cache】

Oracle Database 11g R2では、ソリッド・ステート・ディスク(SSD)ドライブをシステム・グローバル領域(SGA)の拡張に使えるようになりました。
OSがOracle Enterprise LinuxかSolarisであれば、SSDドライブを接続してデータベースを認識させると、SSDドライブを拡張データベース・キャッシュとして利用できます。

SGAをLevel 1(一次)キャッシュと考えると、SSDはLevel 2(二次)キャッシュとして動作します。
容量が数百GB程度のSSDドライブは、もちろん何TBもあるストレージにはかないませんが、せいぜい数十GBの物理メモリに比べれば大容量です。1GBあたりの単価が50ドルと比較的安価なうえ、ハードディスクよりも高速で、読込みでは100倍のスピードアップが見込めます。
最近はI/Oスループットを高めるために、数百台ものディスクを使うことがよくあります。しかし、フラッシュキャッシュを利用すれば、大量のディスクを使わなくてもI/Oスループットの向上が実現し、大きなジョブも高速に処理できます。

データベースを起動して最初の読込みをおこなうときは、ディスクへの物理I/Oが発生し、ブロックがディスクからメモリにコピーされます。これが繰り返されると、バッファキャッシュはいっぱいになります。すなわち、利用可能なメモリを超えるデータはディスク上にある状態です。このような状態になると、バッファキャッシュ上のブロックがディスクへ書き出され、新たなブロック用の領域が作られます。こうして、読込みと書出しが何度も繰り返されることになります。

フラッシュキャッシュでは、ディスクにブロックが書き出されるときに、フラッシュキャッシュにも書き込まれます。

Database Smart Flash Cache
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これにより、次にこのブロックが必要になった場合、ディスクにアクセスする必要がなくなります。このブロックのコピーがSGAの拡張エリアとしてSSDドライブ上にあるので、ここから読み込んでバッファキャッシュに移されます。
もっとも高速なのはデータベース・バッファ・キャッシュからの読込みですが、データベース・バッファ・キャッシュにない場合の次善の策がSSDであり、ハードディスクに比べて30~40倍は高速です。
フラッシュキャッシュによって、できるだけ多くのデータを高速にアクセスできる場所に保持したいというニーズに応えられるようになりました。

なお、現在のところフラッシュキャッシュはOracle Enterprise LinuxとSolaris版(SPARC/x64)のOracle Database Enterprise Editionのみで使える機能です。

また、Oracle Exadataに実装されているExadata Smart Flash Cacheと混同してしまう方がいるかもしれません。
ここで説明したフラッシュキャッシュ(Database Smart Flash Cache)は、Oracle Exadataのそれとはまったく別の、独立した機能です。データベース・サーバー上でバッファキャッシュとともに利用するもので、ストレージレベルの機能ではありません。

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Thomas(Tom) Kyte (トム・カイト) Thomas(Tom) Kyte (トム・カイト)
2000年にAsk Tomブログ( http://asktom.oracle.com ) を開設して以来10年にわたり、全世界のオラクル技術者のありとあらゆる質問に答え、データベース技術の活用を世に広めてきた世界的に有名なエバンジェリスト。