トラブル解決はユーザーとサポートの共同作業!! それを効率化すべく、オラクルのサポート・エンジニアは何をしているのか?

「トラブルシューティングはお客様とサポートの共同作業。それを効率化するためにオラクルのサポートがやるべきは、トラブル防止/解決のために質の高い技 術情報(ナレッジ)を提供すること」――そうした思いから、日々、サポート・サイト「My Oracle Support」やブログなどで日本語によるナレッジの提供に努めているのが、日本オラクル データベーステクノロジーサポート本部 サポート・エンジニアの佐々木剛義氏だ。ユーザーのトラブルの未然防止、問題解決の効率化に向け、オラクルのサポート・エンジニアらはどのような思いでど ういった取り組みを進めているのかを佐々木氏に聞いた(編集部)。
佐々木 剛義氏
日本オラクル データベーステクノロジーサポート本部 サポート・エンジニアの佐々木 剛義氏

日 本オラクルにおいて、Oracle Databaseのサポート業務に従事。「Memory Management」や「Oracle Net Services」など、Oracle Databaseのコアとなる機能を中心に、お客様からの問い合わせやトラブルシューティングへの対応を行っている。それに加えて、日本語の技術情報の作 成も担当し、My Oracle Support、KROWNディレクトリ・サービス、ブログなどを通じて情報発信を推進している。

世界中のだれかが遭遇した問題は、他のユーザーで再発させない

オラクルのサポート部門は、「Zero Rediscovery」というコンセプトを究極的なゴールに位置づけて活動を行っています。これは、オラクル製品を使っている世界中のユーザーのうち、 だれかがすでに遭遇した問題については、ほかのお客様の環境で再発しないようにするというものです。

そのための仕組みとして運営しているのが「My Oracle Support」です。My Oracle Supportや、その主要コンポーネントである「Oracle Configuration Manager」の概要については『データベース管理者の管理コスト削減!オラクルサポートの120%活用法』をご覧いただくとして、ここではMy Oracle Supportのもう1つの柱である「ナレッジ(技術情報)の提供」についてご紹介します。

「トラブルシューティングはユーザーとサポートの共同作業」――サポート・エンジニアとしてトラブル防止/解決を支援するナレッジの提供に注力

現在、私はOracle Databaseのサポート・エンジニアを務めています。メインの業務は、お客様からの問い合わせに対して技術的な回答を行い、問題を解決することです。 問い合わせの内容としては、トラブルシューティングが多くの割合を占めています。オラクルでサポート業務に携わる前は、別の会社でDBA(データベース管 理者)としてトラブルシューティングの仕事に携わっていましたが、同じトラブルシューティングでも、DBAとサポート・エンジニアとでは置かれた立場に大 きな違いがあります。

DBAの場合、トラブルシューティングの対象となるのは、自分が日々、管理しているシステムです。したがって、そのシステムについてはもともと深く理解していますし、必要な情報があれば即座に取得することができます。

それに対して、サポート・エンジニアの場合、対象となるのは個々のお客様が運用している、それぞれに異なるシステムです。そのため、トラブルを 解決するために必要となる情報は逐一、お客様に対してヒアリングしていかなければなりません。トラブルは一刻も早く解決すべきものであることは言うまでも ありませんが、サポート・エンジニアの場合、トラブルの状況を把握するための情報収集だけでも多く時間を費やしてしまうのです。

このような経験を通じて痛感したのは、「トラブルシューティングはシステムに関する情報を熟知しているお客様と製品に関する情報を熟知している サポートの共同作業である」ということです。そして、私たちサポート・エンジニアは日々のお問い合わせへの対応に加え、この共同作業をいかに効率化するか を考え、支援する必要がある――こうした思いから、私はナレッジの作成と提供に力を入れるようになりました。トラブルを迅速に解決するため、さらに理想的 にはトラブルを未然に防止するためには、お客様ともナレッジを共有してうまく活用していただくことが何よりも重要だと考えたのです。

ナレッジの情報で大抵のトラブルは解決。トラブル発生時の初期対応をまとめたナレッジもあるので、「まずは検索」を!

お客様に対するナレッジの提供は、My Oracle Supportを利用して行っています。My Oracle Support を介したナレッジの提供は、サポート契約をいただいているお客様向けの標準サービスです。My Oracle Supportには、グローバルに提供される情報として、約30万件の英語版ナレッジが登録されています。それに加え、日本独自の情報として、約6万件の 日本語のナレッジも登録されています。

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My Oracle Supportによるナレッジの提供


登録済みのナレッジは、「何らかの機能の実現方法を調べる」といったケースでも役立ちますが、やはり何よりもトラブル解決のために有用です。実際、登録済みのナレッジを参照するだけで解決できるトラブルは少なくありません。

また、ナレッジの中には、トラブルが発生した際、お客様に行っていただきたい初期対応についてまとめたものもあります。初期対応を的確に行い、 必要な情報をサポート・エンジニアに提供していただくことで、問題の早期解決を図れるとともに、回答の精度も向上するからです。各ナレッジでは、どのお客 様が実行しても同等の結果が得られるよう、コマンド・レベルで具体的な手順を記述しています。

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ナレッジのサンプル


まだナレッジの存在を知らないユーザーも...。その入り口としてブログも開設

登録済みのナレッジの数は、すでに膨大なものとなっています。しかし残念ながら、すべてのお客様にそれらをご活用いただいているわけではありま せん。そもそも、ナレッジの提供が行われているという事実をまだご存じない方もいらっしゃるのです。そこで、My Oracle Supportとは別に、私たちはブログによる情報発信も並行して行っています。

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ブログによる情報発信


このブログでは、Oracle Databaseの新機能の紹介や、パッチのリリース情報、トラブル事例などを記事として発信しています。My Oracle Supportに新たに登録されたナレッジのうち、特に重要なものはブログでも積極的に取り上げていきたいと思います。

トラブル防止のカギは「診断」と「パッチ」

続いて、トラブルを未然に防ぐうえでポイントとなる事柄を紹介しましょう。

Oracle Databaseは精巧なソフトウェアであり、ある意味で生き物のようなものだとも言えます。そのため、トラブルを未然に防ぐためには、人間の場合と同 様、日々のヘルスチェック(構成診断)が重要になります。上述したOracle Configuration Manager はこのヘルスチェック機能を提供しています。また、ヘルスチェックとして確認したほうがよいポイントをナレッジとしても公開しています。

それらの診断機能や情報を活用するだけで回避できるトラブルはたくさんあるので、お客様に対するアナウンスを強化し、積極的に使ってもらえるよ うにしたいと考えています。また、My Oracle Supportにも、DBAが状況把握のために使用できるスクリプト集や、問題発生時の情報取得を迅速に行うための診断ツール、オンライン診断ツールなど が多数用意されています。これらについても、随時ナレッジのかたちにまとめて情報発信を行っていきます。

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My Oracle Supportで提供している診断ツールの一覧


最後に、トラブルを防止するために最も重要なのは、定期的にパッチ・セットやPatch Set Update(以下、PSU)を適用することです。お客様からトラブルについての問い合わせを受けて原因を追求していくと、実はこれらのパッチを適用して いれば防ぐことができたというものが半数以上に上ります。

パッチ・セットはオラクルが提供する修正の基礎となるパッチであり、通常は年単位でのリリース・スケジュールになります。修正内容も、オプティ マイザと呼ばれるパフォーマンスに影響を与える可能性のある修正を含め多くの修正が含まれます。これに対し、推奨パッチという位置づけで3カ月に一度のサ イクルで提供しているのが PSUです。PSUはお客様が不安を抱くことなく適用し、効率的にトラブルを防止できるようにすることを目指したものであり、パフォーマンスに影響を及ぼ すような修正は極力除外しています。パッチ・セットは長期的なスパンで適用を検討していただくとして、PSUはトラブルの防止という観点から非常に有用な ものなので、ぜひ定期的に適用するようにしてください。

私たちは今後も、My Oracle Supportやブログを通じて、お客様に快適にオラクル製品を使っていただくための情報発信に全力を挙げていきます。個人的には、やはりトラブルを未然 に防いだり、何か問題が起きた際のお客様による初期対応をスムーズに行ったりでるような情報発信、"プロアクティブな情報発信"に努めていきたいと思って います。ぜひ、何か問題が起きる前に、一度My Oracle Supportやブログなどで私たちがご提供している情報に目を通してみてください。必ずお役に立つはずです。