リモート・ミラー化ソリューションは、シンプルで完全なデータ保護を概念的に提供しているように思われます。 しかし、Oracleデータベースに常駐するデータの場合、データ損失をゼロに抑えることのできる
Oracle Data Guardの方が、データ保護および障害時リカバリに関して従来のリモート・ミラー化ソリューションよりも効率的かつ安価でより最適化されています。
リモート・ミラー化ソリューションは、Oracle以外のデータベース・データ(ファイル・システム・データやOracle以外のデータベースのデータなど)を保護して、価値を高めています。しかし、Oracleデータベース専用のデータ保護の利点を得るためには、リモート・ミラー化ソリューションを購入したり、Oracle Data Guardにリモート・ミラー化ソリューションを統合したりする必要はありません。
Oracleデータベースのデータ保護と障害時リカバリについて、リモート・ミラー化ソリューションを使用する場合と比較したOracle Data Guardを使用する相対的な利点に関する詳細を次に示します。 これらの利点を要約した表については、
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優れたネットワーク効率 - Oracle Data Guardでリモート・サイトに送信する必要があるのはREDOデータだけです。データ保護にリモート・ミラー化ソリューションを使用している場合、データベース・ファイル、オンライン・ログ、アーカイブ・ログ、および制御ファイルをミラー化する必要があります。フラッシュ・リカバリ領域がリモートでミラー化されるソース上にある場合、フラッシュバック・ログもリモートでミラー化されます。つまり、Oracle Data Guardと比較すると、リモート・ミラー化ソリューションでは各変更を何度もリモート・サイトに送信します。
さらに、通常、各ログ書込みには多数の変更が含まれるため(グループ・コミットとよばれる)、ログの書込みよりもデータベースへの書込みの方がはるかに多くなります。 したがって、Oracle Data GuardなどのデータベースREDO送信ソリューションに必要なネットワーク帯域幅は、リモート・ミラー化ソリューションの帯域幅に比べるとかなり小さくなります。 さらに重要なことは、これがネットワーク・ラウンド・トリップの回数が大幅に少なくなることを意味しているという点です。
次の図に示すように、オラクルの社内電子メール・システムの内部分析では、Oracle Data Guardを使用した場合に比べ、リモート・ミラー化ソリューションを使用した場合、7倍のデータがネットワークを介して送信され、27倍のI/O操作が実行されたことが判明しました。
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優れたパフォーマンス - Oracle Data Guardとリモート・ミラー化ソリューションは、プライマリ・サイト障害の場合にデータ損失ゼロを保護するオプションを提供します。これには、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの完全な同期が必要になります。つまり、現在コミットされているトランザクションがリモートのディスクに書き込まれるまで、アプリケーションは次のトランザクションを処理できません。このため、アプリケーションのパフォーマンスは、プライマリ・サイトからリモートの場所にデータを転送し(ネットワーク待機時間)、ディスクに書き込み(ディスクI/O)、スタンバイ・サイトからデータ受信の応答確認を受け取る(ネットワーク待機時間)時間の影響を受けます。
Oracle Data Guardは、書込みをプライマリ・データベースのREDOログにのみ送信しますが、リモート・ミラー化ソリューションでは、すべての書込みをデータファイル、オンライン・ログ・ファイル・グループの追加メンバー、アーカイブ・ログ・ファイル、および制御ファイルに送信する必要があります。データファイルに書き込むOracleプロセスは、Database Writer(DBWR)と呼ばれます。 Oracle Data Guardは、プライマリ・データベースのDBWRに影響を与えないように設計されています。これは、DBWRの処理速度が遅くなると、データベースのパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性があるためです。一方、リモート・ミラー化ソリューションは、DBWRのすべての書込みがデータ損失ゼロの同期構成に固有のネットワークおよびディスクI/Oによる遅延の影響下に置かれるため、DBWRのパフォーマンスに影響を与えます。
音声およびデータ・ネットワークを介したコミュニケーションを実現および保護するインテリジェント・インフラストラクチャ・サービスの優れたプロバイダである企業によって、この事実が個別に証明されました。このユーザー・テストの目的は、標準のリモート・ミラー化ソリューションと比較して、Oracle Data Guard構成のプライマリ・データベースにおけるネットワーク待機時間の影響を判断することでした。テストでは、約3MB/秒のREDOデータを生成するOLTPワークロードを使用しました。データ損失ゼロの同期構成が使用され、さまざまなネットワーク待機時間がテストされました。この結果は以下のとおりです。
| ミリ秒単位のRTT(ネットワーク待機時間) |
Oracle Data Guardを使用したプライマリ・データベースの待機時間の影響 |
リモート・ミラー化を使用したプライマリ・データベースの待機時間の影響 |
| 0 |
4% |
3% |
| 10 |
4% |
26% |
| 15 |
テストは行われていません |
39% |
| 20 |
10% |
テストは行われていません |
テスト結果は興味深いものとなっています。リモート・ミラー化ソリューションは、10ミリ秒のRTTでOracle Data Guardの6倍以上のパフォーマンス・オーバーヘッドが発生しました。つまり、サイト間の距離が離れるほどネットワーク待機時間が長くなる可能性があるので、地理的に適切に距離が離れていることが障害時リカバリ(DR)の重要な目的の場合、データ損失ゼロ保護にリモート・ミラー化ソリューションを使用しても効果が薄いことを示しています。 Oracle Data Guardは、さらに距離が離れた場合も実行可能なはるかに優れたパフォーマンスを示しました。このため、リモート・ミラー化よりも優れたデータ保護および高い可用性を実現します。
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WANに対する適性 - ストレージ・システムをベースとするリモート・ミラー化ソリューションは、ストレージ・システムで使用されている基本的通信技術(Fibre Channel、ESCON)のため、距離的制約を受ける場合が頻繁にあります。一般的な例として、Point-to-Point接続でこれらの2つのボックスを同期実行する最大の距離は、わずか数十キロメートルです。特殊な装置を使用すると、この距離を約100kmに延ばすことができます。ただし、この距離よりも離れた場所のDRデータ・センターの場合、サード・パーティ・ベンダーの一連のリピータおよびコンバータを使用する必要があります。 そうした装置によって、ESCON/Fibre Channelを適切なIP、ATM、あるいはSONETネットワークに変換します。
この方法によって総コストが上昇します。リモート・ミラー化ソリューション以外にコンバータに関連するコストが発生するためです。また、システムに待機時間が発生し、本番データベースのパフォーマンスに影響を与えて、LANの範囲を超えた距離の場合、データ損失ゼロを達成するために必要な同期転送に不適切な構成になる可能性があります。この問題は、通信パスに中間ストレージ・ボックスを設置することで軽減できますが、総コストが上昇します。もう1つの解決策は、同期転送のバリエーションの使用がありますが、リモート・ミラー化ソリューションに依存する場合、データの同期転送以外は、データベースが保存されているミラー化されたボリュームすべてへの書込み順序を保持できません。つまり、そのような構成では、常にデータ整合性を保証することができず、OLTPデータのデータ保護/障害時リカバリ・ソリューションとしては不向きです。
Oracle Data Guardでは、標準IPネットワークを使用して、REDOデータだけをスタンバイ・サイトに送信し、すべての保護モード(同期または非同期の転送モードのいずれでも)に関してトランザクションの整合性を維持し、高額の中間ストレージ・ボックスを必要としないため、WANのための障害時リカバリおよびデータ保護ソリューションとしてはるかに優れています。
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優れた回復力とデータ保護 - Oracle Data Guardは、リモート・ミラー化ソリューションよりも優れたデータ保護とデータ回復力が保証されます。これは、本番データベースで発生した破損はリモート・ミラー化ソリューションによってスタンバイ・サイトにミラー化されますが、Oracle Data Guardでは破損が削除されるためです。たとえば、ディスクへの余分な書込みが発生した場合、ファイル・システムが破損している場合、またはディスクへの書込みの際にホスト・バス・アダプタがブロックを破損させている場合、リモート・ミラー化ソリューションはこの破損をDRサイトに伝播する可能性があります。 Oracle Data Guardは、スタンバイ・データベースに伝播および適用する前にREDOブロックを検証するので、このような外部の破損はすべて削除されます。
適用前にOracle Data GuardがREDOデータを検証することは、REDOデータが適用されている間に読取り専用でスタンバイ・データベースにアクセスできることも意味します。これは、データがミラー化されている間に対象ボリュームをマウントさえできないリモート・ミラー化とは大きく異なります。このソリューションでは、ミラー化プロセスが無効になってデータベースのマウントと起動が実行されるまで、状態を予測できない"完全自動コールド"データベースをリモートでミラー化することで、スタンバイ・データベースが維持されます。 Oracle Data Guardの利点は、あるグローバルなロジスティクス・サービス・プロバイダのITマネージャとの次の会話からわかります。
"リモート・ミラー化を使用するのは不安です。フェイルオーバー時に使用するまで、それが動作しているかどうかわからないからです。フェイルオーバー時にすべてうまくいけばいいですが、そうでなければ職を失ってしまうでしょう。その点、Oracle Data Guardはいつもうまくいくので安心です。"
Oracle Data Guardは、
Flashback Database機能と統合されており、変更の適用を遅らせることもできます。こうした機能は、多くの人的エラーやデータ破損が他に波及したり、スタンバイ・データベースに影響したりするのを防ぎます。リモート・ミラー化にはこうした利点はありません。重要な表を不注意に削除しても、すぐにデータベース・ファイルのリモート・コピーに波及します。
Oracle Data Guard SQL Applyは、REDOをSQLに変換してスタンバイの回復力をさらに向上させます。 これによって、変更が本質的に検証されます。また、特定の変更をスキップすることもできます。 リモート・ミラー化ソリューションでは、これらの機能を実行できません。
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柔軟性の向上 - Oracle Data Guardは、純粋な汎用ハードウェアに実装されます。必要な条件は、2つのコンピュータ間に標準のTCP/IPベースのネットワーク・リンクがあることのみです。 高価なハードウェアは不要です。また、プライマリとは異なる方法でストレージを配置できます。たとえば、ユーザーは、異なるディスク、ボリューム、ファイル・システムなどにファイルを配置できます。
対照的に、リモート・ミラー化ソリューションには制限があります。多くのリモート・ミラー化ソリューションは独自仕様でリモート・ミラー化ソリューションを作成しているベンダーの同一構成のストレージ・システムでのみ使用できるからです。この制限は、顧客がDRサイトの構成を選択する際に注意する重要なポイントです。 あるOracle Data Guardの顧客(特定のベンダーのプライマリ・サイト・ストレージを使用している大規模な保険会社)は、ビジネス上の理由でDRサイトのストレージとして別のベンダーを選択しました。 リモート・ミラー化ソリューションを使用していたら、このような選択はできませんでした。
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機能性の向上 - REDO Apply(フィジカル・スタンバイ・データベース)、SQL Apply(ロジカル・スタンバイ・データベース)、複数の保護モード、プッシュ・ボタン式の自動化されたスイッチオーバー機能とフェイルオーバー機能、自動化されたギャップ検出と解消、GUI駆動型の管理と監視フレームワーク、REDOログ宛先のカスケードなど、完全なデータ保護機能を持った Oracle Data Guardは、リモート・ミラー化ソリューションよりも、データ保護と障害時リカバリに最適化された、極めて包括的で効果的なソリューションです。
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ROIの向上 - 企業では、IT投資からできる限り多くの価値を得る必要があります。また、使用されていないITインフラストラクチャがないようにする必要もあります。 Oracle Data Guardは、企業がDRサイトに対する高額の投資から有益なものを得られるように設計されています。通常、これはリモート・ミラー化ソリューションでは不可能です。
Oracle Data Guardを使用すると、変更内容をスタンバイ・データベースに適用している間に、フィジカル・スタンバイ・データベース(Oracle Database 11gの
Oracle Active Data Guardオプションの使用)またはロジカル・スタンバイ・データベースをレポートおよび問合せのために読取り専用でオープンできます。ロジカル・スタンバイ・データベースは、読取り/書込みでオープンできます。 このため、Oracle Data Guardの機能をDR以外にも使用できます。たとえば、レポーティング操作のリソース集中をスタンバイ・データベースにオフロードできるので、本番データベースのパフォーマンスが向上します。 リモート・ミラー化ソリューションは、このような機能を提供できません。リモート・データベースはアイドル状態で、DRサイトのリソースは効果的に使用されません。このため、このシステムのROIが低下します。
Oracle Data Guardは、
Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)と緊密に統合されています。フィジカル・スタンバイ・データベースへの高速な増分バックアップのオフロード、プライマリ・サイトの重要なシステム・リソースの節約、およびスタンバイ・サイトの効率的なシステム・リソースの使用を実現できます。通常、リモート・ミラー化ソリューションを使用している場合、このような柔軟性はありません。
Oracle Database 11gのOracle Data Guardは、本番データベースの変更を保存して障害に対する保護以外に、テスト、クローニング、読取り/書込みレポートに、フィジカル・スタンバイ・データベースを使用できるスナップショット・スタンバイ・データベースを提供します。 これは、Oracle Data Guardによって顧客がDR投資から多くの価値を引き出すことができる多くの方法の1つです。これはリモート・ミラー化ソリューションでは不可能です。
Oracle Data Guardは、ハードウェアまたはOSのアップグレードなどの計画メンテナンスに対応する統合スイッチオーバー機能を提供します。これによって、このような計画停止に関連する停止時間のコストを最小限に抑えられます。 通常、これはリモート・ミラー化ソリューションでは不可能です。
Oracle Data Guardは、ファスト・スタート・フェイルオーバー機能を通じて、自動フェイルオーバー機能もサポートします。 本番サイトが停止した場合、手動による介入なしにスタンバイ・データベースをプライマリ・データベースに
迅速に切り替えることができるので、障害時リカバリに加えて高可用性を実現できます。 サポートされているインタフェースを使用して、アプリケーションを自動的に新しいプライマリ・データベースに接続することもできます。
SQL Applyを使用すると、管理者は、レポート要件に最適な追加の索引およびマテリアライズド・ビューを作成できます。 これはミラー化では実行できません。
また、SQL Applyを使用して、再編成に必要な作業をオフロードできます。たとえば、管理者が表をパーティション化する場合、ロジカル・スタンバイの適用プロセスの停止、表のパーティション化、および適用プロセスの再起動を行うことができます。 このような高度な機能は、リモート・ミラー化構成のリモート・データベースでは不可能です。
Oracle Data Guardは、Oracleデータベースのコアの標準機能として使用できます。 また、
Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)、Oracle RMANなど、オラクルの他のHAソリューションと事前に統合されています。しかし、リモート・ミラー化ソリューションは別途購入する必要があり、データベースとの統合という複雑な作業が必要です。さらに、リモート・ミラー化ソリューションを使用する場合、製品の基本ライセンス以外に容量の価格も含まれることがあります。つまり、リモート・ミラー化ベンダーが複製されるデータのサイズ(たとえば、複製データの50GB単位)の料金を請求する場合があります。これによって、大規模なOLTPデータベース用のコストが大幅に増加します。
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他の注意事項 - Oracle Data Guardとリモート・ミラー化ソリューションの障害時リカバリを評価する際に考慮すべきさまざまな点が他にあります。たとえば、リモート・データベースをインスタンス化するためにリモート・ミラー化ソリューションはどのような機能を提供していますか。非常に大規模なデータベースの場合、一部のリモート・ミラー化ソリューションで必要なネットワーク上のリモート・データベースのインスタンス化は、非常に時間がかかる場合があります。 Oracle Data Guardを使用すると、スタンバイ・データベースは、プライマリのテープ・バックアップからインスタンス化されます。これによって、初期化時間、リソース、およびコストが削減されます。
他の注意事項には、ネットワーク接続の問題があります。 Oracle Data Guardでは、スタンバイ・サイトへの同期REDO転送によってデータ損失ゼロを実現する最大可用性モードを使用できます。ただし、ネットワークで問題が発生してスタンバイ・サイトに到達できない場合、プライマリ・データベースで処理が続行されます。ネットワーク接続が回復すると、スタンバイ・データベースの再同期がOracle Data Guardによって自動的に正しく行われます。リモート・ミラー化ソリューションを検討している場合は、同期転送を動的に切り替える手段を調査する必要があります。同様に、潜在的なネットワーク通信の問題から回復する方法を決める必要もあります。
Oracle Data Guardには、障害時リカバリおよびデータ保護テクノロジの選択として、従来のリモート・ミラー化ソリューションよりも正しいと判断される技術上およびビジネス上の多くの理由があります。 次の表は、これらの理由を示しています。