Oracle ACE 矢木の部屋 第1回 
これからのデータベースエンジニアのスキルパスとは?

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企業システムにおいて、データベースは最も重要な役割を担っている。「データ」という企業においてもっとも重要な資産を担っており、その用途はトランザクション処理による基幹ビジネスの担保から、データ活用による戦略策定の支援まで、幅広い用途で用いられているのである。

したがって、データベースを扱うエンジニア、いわゆるデータベースエンジニアが、システム構築プロジェクトやシステムの運用において担う役割は非常に大きいものである。

いっぽうで、データベースそのものが大きな進化を遂げている。例えばOracle Database 11g R2では、従来のシステム設計のコンセプトを大きく変える新技術が用いられているのである。データベースが進化するということは、それを扱うデータベースエンジニアの役割も変わってくるということだ。本記事では、最新のOracle Database技術を扱うデータベースエンジニアが、これからどういった役割を担っていくことが必要かについて、システム構築のプロジェクトを想定して述べてきたい。

■システムの基本設計におけるアーキテクチャ選定がプロジェクトの鍵

 まず、システムの構築プロジェクトの大まかな流れを振り返ってみよう。
 システムを構築する上での大きな流れとしては以下の流れとなるだろう。
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システム構築の流れ
 この「システム設計」→「構築」→「運用」の流れの中で、システムのアーキテクチャを定める「基本設計」フェーズが、その後のシステム構築さらにはカットオーバー後の運用フェーズにおいて最も大きく影響を与えるのである。
 システムのアーキテクチャを決める上では、要件定義から与えられるさまざまな要因に因るが、大きく「機能要件」と「非機能要件」に分類されるだろう。
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 これらの要件に基づく設計を担うのは、アプリケーション・アーキテクトやインフラ・アーキテクトであり、基本設計に基づき、詳細設計フェーズにてパラメータの設計等や実際のシステム構築を行うのがデータベースエンジニアの役割となっていないだろうか?

 また、特に非機能要件に対するデータベースシステムの設計においては、従来のアーキテクチャを踏襲し、「お作法」を基にしたアーキテクチャになっていないだろうか?
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典型的なデータベースシステム・アーキテクチャ
■データベースの進化と、データベースエンジニアのフィールド拡大

 先に述べたように、データベースの進化によって、これまでSQLのエンジンとしての役割を担っていたデータベースが、非機能要件に対するインフラストラクチャの包括的な担保を担えるようになってきているのである。
 それに伴い、これまで詳細設計フェーズ以降を担ってきたデータベースエンジニアが、基本設計、さらには運用設計に対して、テクノロジー面で担保することが求められているのだ。

 本連載では、これからのデータベースエンジニアに求められるスキルと役割、そして方向性について全3回に渡って紹介するとともに、各ポイントに対して、オラクルが提供しているOTNオンデマンドセミナーの資料の "使いどころ" を紹介してきたい。
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■編集部より
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イラスト:岡戸妃里
■矢木 覚(a member of Oracle ACEs)
SIerでOracle Databaseの最新技術を用いた、企業システムの基幹システム設計/構築 に携わる。大規模RACやOracle Exadataによるシステム設計・Consolidationを行ってきた。その経験を基に、現在ではオラクルの技術を広めるエヴァンジェリストとして活動中

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