Oracle ACE 矢木の部屋 第4回 
次世代のデータベースエンジニアを目指すために

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企業システムにおいて、データベースは最も重要な役割を担っている。「データ」という企業においてもっとも重要な資産を担っており、その用途はトランザクション処理による基幹ビジネスの担保から、データ活用による戦略策定の支援まで、幅広い用途で用いられているのである。 したがって、データベースを扱うエンジニア、いわゆるデータベースエンジニアが、システム構築プロジェクトやシステムの運用において担う役割は非常に大きいものである。

いっぽうで、データベースそのものが大きな進化を遂げている。例えばOracle Database 11g R2では、従来のシステム設計のコンセプトを大きく変える新技術が用いられているのである。データベースが進化するということは、それを扱うデータベースエンジニアの役割も変わってくるということだ。

■データベースエンジニアからシステム・アーキテクトへ

 これまで3回に渡って次世代のデータベースエンジニアが"活用"すべき新しいインフラストラクチャの考え方を紹介してきた。

 これ以外にも、最新のOracle DatabaseにはDB統合を実現するためのキー・テクノロジーであるリソース・マネージャーや、自動管理機能、圧縮機能、自動パラレル処理機能といったITリソースを活用するためのさまざな機能が搭載されている。
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[Database 現場テクニック DB運用編]
 これらのデータベース機能を使いこなし、インフラストラクチャの設計に反映できるということは、データベースのエンジニアがインフラストラクチャのアーキテクトとして第一歩を踏み出したといっても過言ではないだろう。

 システムのアーキテクチャは、時代を経ることに新しいものになっている。

 ホストコンピューティングの時代から、クライアント・サーバ、インターネット時代、グリッド・コンピューティング、そしてクラウド・コンピューティングの時代へと変わっているのだ。

 そのアーキテクチャの変遷に常に対応してきたのがOracle Databaseであり、データベースエンジニアが最新の技術を用いることは企業システムのアーキテクチャ・デザインをリードできることを意味する。
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 いっぽうで、アーキテクトとして活躍するためには、データベースのみならずITリソースのシステムコンポーネントの組み合わせ、アプリケーション設計との整合性、といった企業システムの構成要素を適切に考慮する必要がある。データベース技術という確固たる技術を持ってこれらの技術に取り組むということは、アーキテクトとして成長するために大きな戦力となるはだ。
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 この図で描いているように、データベースエンジニアは、データベースというコア技術を中心とし、その技術を活用した上でインフラストラクチャ(サーバ&ストレージなど)や、アプリケーションの領域を習得することにより、"システム全体"が俯瞰できるようになり、システム設計に携わることができるようになるだろう。アプリケーションエンジニアも同様に、コア領域をアプリケーションとして持った上で、よりインフラに近い領域の知見を持つことで、例えば性能問題などにも対応できるアーキテクトとなれるだろう。

 そして、アーキテクトの手腕はシステム品質の肝なのである。

 これからのデータベースエンジニアの皆様には、新しい技術やシステムにチャレンジし、「システム」を俯瞰することのできるエンジニアになってもらいたい。今こそ新しい扉を開く時なのである。
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[Database 現場テクニック DB運用編]
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イラスト:岡戸妃里
■矢木 覚(a member of Oracle ACEs)
SIerでOracle Databaseの最新技術を用いた、企業システムの基幹システム設計/構築 に携わる。大規模RACやOracle Exadataによるシステム設計・Consolidationを行ってきた。その経験を基に、現在ではオラクルの技術を広めるエヴァンジェリストとして活動中

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