Oracle、Brad Bruckschen、Somna Trehan | 2023年3月23日
米国の急激な連邦金利上昇は、世界の銀行セクターに混乱をもたらし、銀行の資産・負債管理(ALM)の信頼性向上が急務であることを浮き彫りにしています。ALMは銀行のビジネス・モデルの基盤であり、利益創出の根幹を成すため、すべての銀行にとって中核的な業務機能の1つです。
銀行は、特定の投資やエクスポージャーに関連するリスクを適切に評価できず、その結果生じる脆弱性が深刻な危機を招いています。現在の状況はまさにその一例です。このような事態は、規制の不備による可能性もありますが、差し迫るリスクの監視責任は主に銀行の経営陣にあります。潜在的なリスクが流動性、収益性、自己資本比率に与える影響を予測・分析する能力とともに、金融商品および投資全体にわたるリスクを明確に把握する必要があります。
厳しい金利環境に迅速に対応するには、銀行のALMシステムとプロセスが、正確で説明可能な結果を提供し、トランザクション処理要件を満たすように拡張され、金利リスク・レポート、変化し続けるシナリオ・モデリング要件、およびWhat-if分析を柔軟にサポートできる必要があります。
多くのALMシステムとプロセスは、預金やローンの契約・口座のボリュームを適切に処理できるよう拡張されていません。多くの銀行がデータを大規模に集約せざるを得ず、その結果、精度の大幅な低下を招いています。また、契約や口座の必要な詳細レベルに加え、計算ロジックが完全に透明でないALMシステムでは、銀行は運用できません。計算過程が透明であれば、結果の説明性と独立した正確性の検証が可能になります。
現時点でも、世界中のALMアナリストは、実行シナリオの数を増やすようにとの経営陣からの新たなプレッシャーに直面していることは疑いようがありません。これは、通常よりもはるかに短い時間でさまざまなストレス・イベントの影響を評価する上での最重要課題となっています。金利リスク分析に即座にアクセスできるALMレポート作成機能の有無が、リスクを迅速に特定して適切な対応を講じられるか、それともリスクを見逃してしまうかの分かれ目になります。
銀行内のALMアナリストとして、以下のことが可能だとしたらどうでしょうか。
オラクルはどのように支援できるか?
昨今の情勢により、銀行には高品質なデータと的確なインサイトに裏打ちされた、強固なガバナンスおよびリスク管理プロセスが求められていることが明らかになりました。これらの機能をサイロで個別に解決するだけでは不十分であり、企業が優先度の高いビジネス課題を確実に解決できるように統合的に考慮する必要があります。
Oracle Financial Services Profitability and Balance Sheet Management Cloud Service(PDF): は以下のような機能を提供します
資産負債管理機能は、銀行が収益性、収益の安定性、貸借対照表全体のリスク・エクスポージャーを正確に把握できるよう支援します。金利および流動性リスクを管理するためのタイムリーで実用的なインサイトと、重要課題に対する透明性を提供します。
資金移動価格設定は、資産・負債のスプレッドや、各顧客口座の金利エクスポージャーに基づいたスプレッドを算出します。また、製品、事業部門、チャネル、顧客にわたる正確な収益性評価を提供し、金利リスクを一元管理します。
流動性リスク管理は、グローバル・エンタープライズ規模で流動性リスクに総合的に対応します。変化し続ける規制ガイドラインへの対応により、複数の管轄区域におけるコンプライアンスを促進します。柔軟なストレス・テスト・フレームワークを備え、複数のディメンション、規模、必要な詳細レベルに基づいたシナリオを構築できます。さらに、銀行の準備金を最適に活用する機能も備えています。
収益性管理は、リスク調整後のパフォーマンスや収益要因を把握し、製品、事業単位、法人、チャネルなど多様なディメンションにわたって企業全体のパフォーマンスを評価できます。本機能は、サステナブルで反復可能な統合パフォーマンス測定プロセスを活用し、複数の詳細レベルにおいて完全に整合性の取れた収益性およびパフォーマンスに関するインサイトを生成します。レポート用の収益性トレンドとメトリックの計算において、コスト・費用配分出力を直接活用します。
オラクルの高い柔軟性、信頼性、安全性を備えたクラウド・プラットフォームにより、銀行は複雑かつ進化する規制・市場要件に対応しつつ、新たなテクノロジーを迅速に展開し、ビジネス・インサイトを広げることが可能になります。