有識者に聞く自治体最前線の現状と課題:ローコードツール活用による介護認定業務効率化の取組み

新潟県長岡市の介護保険課では、これまで要介護認定に係る認定審査会の予定日や認定調査の進捗について、ケアマネジャーからの電話問い合わせに都度対応していましたが、2025年10月より、*Oracle APEXを活用して株式会社NS・コンピュータサービス(以下NSCS)が開発した「ケアスルナビ」での運用を開始しました。
その結果、電話対応件数を約9割削減するなど、大きな業務効率化の効果が得られています。
本記事では長岡市介護保険課認定係の担当者様にケアスルナビ導入の背景や導入前の課題等について、開発を担当されたNSCSにOracle APEX採用の背景などのお話を伺いました。
(2025年12月17日長岡市役所にて撮影・収録)

市役所での集合写真,長岡市役所、NSCS様集合写真
(左から)
株式会社NS・コンピュータサービス 公共ソリューション本部 公共ソリューション部 部長 阿部 岳史 氏
長岡市福祉保健部介護保険課認定係 主任 岩田 直樹 氏
長岡市福祉保健部介護保険課認定係 係長 五十嵐 美由紀 氏
株式会社NS・コンピュータサービス 公共ソリューション本部 公共第一営業部 営業課 伊藤 駿甫 氏
株式会社NS・コンピュータサービス 公共ソリューション本部 公共第一営業部 営業課 廣井 流偉 氏

長岡市とのご相談の中で、どのような気づきがありましたか

株式会社NS・コンピュータサービス 公共ソリューション本部 公共ソリューション部 部長 阿部 岳史 氏:

長岡市からお聞きした様々な課題によると、住民基本台帳や国民健康保険、税などの基幹システムが導入されている領域以外にも、多くの業務データが存在していることに気づきました。
これらの業務データは、Excelなどを用いて個人単位で管理されているケースが多く、システム化が難しい情報も含まれているため、管理や引き継ぎが個人の負担となり、業務上の重荷になっている状況でした。
さまざまな業務台帳がExcelなどで各所に点在していることが、業務の属人化を招く要因になっているのではないか、また、各業務に適した小規模なシステムが存在しないこと自体が課題ではないか――そう考えるようになりました。こうした問題意識が、「ケアスルナビ」のようなサービスを開発するきっかけとなりました。

ケアスルナビ導入前の、業務の課題や業務上の問題点を教えてください

長岡市 福祉保健部 介護保険課 認定係 主任 岩田 直樹 氏:

要介護・要支援認定は、介護保険サービスを利用するために必要な手続きであり、申請後に審査・判定が行われます。この認定は、コンピュータによる一次判定の後、介護認定審査会での二次判定を経て、要支援者・要介護者などの区分が決定されます。審査にはおおよそ1か月程度を要しますが、その間、審査の進捗状況や介護認定審査会の開催予定に関する問い合わせ電話が、毎日約50件寄せられていました。

長岡市 福祉保健部 介護保険課 認定係 係長 五十嵐 美由紀 氏:

電話対応では、誤りがないよう慎重に確認しながら回答するために時間がかかり、折り返し対応になるケースも少なくありませんでした。
さらに、介護保険課内で電話の取次ぎなどによって業務負荷が高い状況でした。
こうした背景から、より効率的に業務を進める方法が必要だと感じていました。

システム開発をするにあたり、Oracle APEXを選んだ理由を教えてください

NSCS・阿部 氏:

サービスを提案するにあたり、適した提案とは、「より手軽に、簡単に導入できること」を満たすことが重要だと考えています。
その点で、開発ツールとして選定したOracle APEXはローコードツールであり、私たちにとって非常に開発しやすい環境でした。
また、アプリケーションの画面デザインの変更など、さまざまな要望に対してもその場で柔軟に対応できる点は、大きなメリットだと感じています。
また、オンプレミス環境・クラウド環境のいずれでも開発できる点も、Oracle APEXの大きな特長です。現在はオンプレミス環境を利用している自治体が多い一方、今後はクラウド化の進展が見込まれますが、Oracle APEXであれば将来的にクラウドへ移行しやすい点もメリットだと考えました。こうした理由から、開発基盤としてOracle APEXを採用しました。

インタビューの様子, 長岡市役所、NSCSインタビュー中の写真

ケアスルナビ導入を決めた背景や、導入後の効果について教えてください

長岡市・岩田 氏:

公募の結果ではありますが、セキュリティ面やコスト面を総合的に判断したうえで、事業に最も適しているものとして「ケアスルナビ」を選定しました。
業務を簡素化するためにも、「どこまでシンプルで使いやすいシステムか」という点は、非常に重要な選定ポイントでした。
導入にあたっては、これまで何年も電話で対応してきた業務をシステムに切り替えることになるため、一定の反対意見も覚悟していました。しかし、周知や説明を行ったことで、実際には大きな反発はありませんでした。

長岡市・五十嵐 氏:

導入後の効果として、まず電話対応が約9割削減されました。ケアマネジャーの方々からも、「24時間Web上で確認できる」「聞き間違える心配がなくなった」といった評価をいただいています。
私たち自身も、電話対応によって業務が中断される回数が減り、業務効率の向上を実感しています。
今後は、訪問調査の際にその場で情報を入力できる仕組みや、AIを活用して文言作成を支援するようなサービスについても、Oracle APEXを活用した展開に期待しています。

Oracle APEXへの今後の期待などお伺いさせてください

株式会社NS・コンピュータサービス 公共ソリューション本部 公共第一営業部 営業課 伊藤 駿甫 氏:

ケアスルナビ以外にも、Oracle APEXで開発したサービスをご紹介する機会がありますが、まずOCIの堅牢なセキュリティにより、セキュリティ面での懸念が少ない点が大きな強みです。
また、コスト面でも非常に高いパフォーマンスを発揮するため、費用対効果の観点から導入を見送っていたお客様においても、具体的な検討が進むケースが増えています。
加えて、シンプルで直感的な操作性を実現できるため、営業の立場としても非常に提案しやすい点を評価しています。

NSCS・阿部 氏:

今後は、AIを組み合わせたOracle APEXの機能拡充や情報発信にも期待しています。
Oracle APEXとAIは親和性が高いと感じており、自治体におけるAI活用による業務効率化を実現するうえでも、こうした領域でのさらなる展開を期待しています。

五十嵐 美由紀 氏

長岡市福祉保健部介護保険課認定係 係長

岩田 直樹 氏

長岡市福祉保健部介護保険課認定係 主任

阿部 岳史 氏

株式会社NS・コンピュータサービス 公共ソリューション本部 公共ソリューション部 部長

伊藤 駿甫 氏

株式会社NS・コンピュータサービス 公共ソリューション本部 公共第一営業部 営業課

廣井 流偉 氏

株式会社NS・コンピュータサービス 公共ソリューション本部 公共第一営業部 営業課

インタビュアー:

吉野 雅人/クラウド事業統括 公共・社会基盤営業統括 公共営業本部 デジタル・ガバメント推進部