Shivangi Dua | シニアライター | 2025年7月21日
Qdrantは2021年に設立されたオープンソースプロジェクトで、高次元ベクトル検索を用いる機能で人気を集めています。高次元ベクトル、すなわち多くの次元を持つ空間でデータを表現するベクトルは、類似性検索、自然言語処理、画像解析などのAIタスクにおいて、高度な分析能力や予測能力を発揮します。これらのタスクでは、データセット内の複雑なパターンや関係性を見つけ出すことが重要です。しかし、Qdrantのようなツールで高次元ベクトルを扱うにはパフォーマンス上の課題が伴い、特別なアルゴリズムや手法が必要となります。さらに、高次元ベクトルデータの保存・インデックス作成・取得のために設計された、別個のデータベースを含む複雑なアーキテクチャも必要となります。一方、大規模なデータセットやミッションクリティカルなワークロードを扱う場合、よりシンプルな選択肢も存在します。
Qdrantは、オープンソースのベクトルデータベースおよび類似性検索エンジンです。高次元ベクトルの保存と検索に特化しており、正確かつ効率的な類似性検索を可能にします。クラウドとオンプレミスの両方の導入オプションを提供し、大量のデータや複雑なクエリにも対応できます。
現代のニューラルネットワークの仕組みでは、用途に応じてさまざまなサイズや形状のベクトルが使われており、ベクトルの種類はユースケースによって異なります。Qdrantは、スパースベクトル、デンスベクトル、マルチベクトル、ネームドベクトルなど、現在よく使われている主要なベクトル型をサポートしています。
ベクトルデータ型に加え、Qdrantはベクトルを量子化することもできます。これにより、元のベクトルを効率よく再スコアリングすることも、直接検索することも可能になります。このプロセスは、量子化処理がバックグラウンドで実行されるため、全体の処理が最適化・効率化されます。
Qdrantはベクトル検索 に特化しており、検索拡張生成を利用する企業向けにパフォーマンスを大幅に向上させてきました。Qdrantはオープンソースであるため、セマンティック検索や推奨エンジンの導入を検討している組織にとって、手頃な価格で始めやすい選択肢となります。
Qdrantは、追加情報である記述メタデータ「ペイロード」を各ベクトルに付与し、精度を向上させることができます。ただし、このペイロードはJSON形式で構造化する必要があります。一方、Oracle Database 23aiでは、JSONだけでなく、グラフ、テキスト、リレーショナル、空間データなど、さまざまなデータ型を1つのクエリで返すことが可能です。さらに、これらの情報はベクトルの付属情報に留まらず、それ自体を豊富なデータ型によるフィルタとしても活用できます。
Qdrantのようなオープンソースデータベースは、ライセンス費用が不要なため、企業が手頃な価格でベクトル検索のユースケースを探索し始めることを可能にします。しかし、Qdrantは大規模データセットにおける高性能なベクトル検索に対応できる一方で、これらのデータセットの管理や運用は複雑化し、コストもかかりがちです。Qdrantを利用する場合、多くの企業は多様なデータ型や指標を管理するために他のデータベースと併用する必要が出てきます。一方でOracle Database 23aiは、既存のエンタープライズデータ管理基盤の中でベクトル検索を実行できる上、複数のデータ型や最大規模のデータセットにも対応しています。
ベクトル検索を試してみたい場合には、Qdrantのようなオープンソースデータベースがリーズナブルな入口となりますが、習得のハードルはやや高いといえます。Qdrantは柔軟性と適応性の高さを備えており、APIやSDKを通じて既存のデータインフラへ簡単に統合できる設計になっています。しかし、どのデータベースを選択するかは、組織ごとに異なる要件、データ構成、インフラによって決まります。多くの企業にとって、ベクトルは新しくも重要なデータタイプであり、保存・管理・検索が必要です。Qdrantのような特化型データベースを選ぶのか、あるいはOracle Database 23aiのようにすべてのデータ型を1つのリポジトリで管理できる、エンタープライズクラスのミッションクリティカルなアプリケーションに適したマルチモーダル・データベースを選ぶのか、選択が求められます。
Qdrantの主な活用方法の一つとして、AIを活用したアップセルがあります。顧客体験をカスタマイズし、ターゲットを絞った推奨を提供することで、収益成長を促進することができます。このeBookでは、その方法に加え、最先端のAIユースケースを9つご紹介します。
Qdrantはどのような用途で使われますか?
Qdrantはベクトルデータベースおよび類似性検索エンジンであり、高次元ベクトルの効率的な保存、管理、検索を目的としています。ベクトル検索に特化して設計されており、従来のリレーショナルデータベースのような強力なトランザクション保証は備えていません。
Qdrantはどのようにリアルタイムのベクトル検索性能を確保していますか?
HNSW(Hierarchical Navigable Small World)グラフと呼ばれる高度な検索アルゴリズムを用いることで、最も近い近傍を特定して検索を実行し、データの即時更新を実現しています。これにより、追加・削除・変更などがあった場合でも、即座に検索結果に反映され、リアルタイムでの新しい結果取得が可能です。
Qdrantは既存のAI/MLパイプラインと連携できますか?
はい、Qdrantは機械学習フレームワークと連携可能です。また、ハイブリッド・クラウド・プラットフォームを活用することで、AWS、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)などとも連携できます。
Qdrantの導入オプションにはどのようなものがありますか?
Qdrantにはローカル、クラウド、ハイブリッドといった複数の導入オプションがあります。ローカル環境ではDockerを利用した簡単なセットアップが可能で、追加費用はかかりません。Qdrant Cloudではスケーラビリティと容易なアクセスを提供し、Kubernetesクラスタと統合することでマネージドサービスとしての利用も可能になります。
Qdrantは他のベクトル検索エンジンと比べてどうですか?
Qdrantは高次元ベクトルの保存と検索に特化したベクトルデータベースです。最適な結果を提供できることが実証されており、ベクトル検索エンジンやベクトルデータベースを重視する企業にとって、依然として有力な選択肢となっています。