Oracle Communications、ソフトウェア開発担当シニア・バイスプレジデント、Matthew Beal
通信業界は新たな時代に突入し、焦点は消費者から企業へと移りつつあります。5Gやクラウドといった新技術を取り入れ、分析やデータサイエンスを活用することで、俊敏で迅速なサービス提供を可能にする新しい働き方への変化が進んでいます。2023年1月時点で、GSAは世界中で243の商用5Gサービスが開始され、112の事業者が5Gスタンドアロンに投資していると報告しています。この商品化の進展に伴い、B2BおよびB2B2Xの新たなアプリケーションが登場し、事業者は単に容量をスケーリングしたり、サービスレベルやリソースを柔軟に変更したりするだけでなく、これらの顧客を確実に支援する能力が求められます。
5Gの導入には大きなリスクと期待が伴い、サービスプロバイダー業界のリーダーは、消費者中心の組織から企業顧客の変革を支えるプロバイダーへと進化すべく、あらゆる手を尽くしています。オラクルが事業者パートナーと共に5Gの実現を目指す中、2つの根本的な問いが浮上しています。それは、「いかにして収益を増やしカスタマー・エクスペリエンスを向上させるか」、そして「いかにしてネットワークを最適に運用するか」です。
オラクルは、大規模ネットワークの効果的な運用に何が必要かを熟知しており、データ収集の複雑さ増大やレガシーツールとの非互換といった課題に直面するCSPを支援しています。また、3G/4Gシグナリング・プラットフォームにおける通信事業者としての経験と実績を活かして、3G/4G/5Gネットワークの弾力的なシグナリング処理とポリシー管理に向けた将来志向の計画を提案しています。さらに、お客様が3G/4Gネットワークの価値を維持しつつ、5G展開を迅速に進め、アクセスの保護やネットワーク境界の相互接続を通じてサービスの可用性と品質を確保できるよう支援しています。
オラクルは、5G運用の将来がOracle Communications Network Data Analytics Function(NWDAF)などのソリューションによるインサイト主導の自動化に進化すべきと考える一方で、通信事業者が複数世代のネットワークをスケーリングする必要があることも認識しています。そこでオラクルは、Network Analyticsポートフォリオの第2弾としてOracle Network Analytics Data Directorを発表しました。これは、オラクル製でないネットワーク機能に対しても、事業者が5Gコアを既存の運用ツールに柔軟に統合できるようにするものです。Data Directorの設計においては、セキュアな5Gネットワーク環境でのデータアクセスに関するクラウドネイティブの原則を取り入れており、次世代分析フレームワークを採用済みの事業者にも、従来型の運用ツールやプラットフォームに依存する事業者にも最適なソリューションとなっています。
Network Analyticsポートフォリオの第2弾であるOracle Communications Network Analytics Data Directorは、5Gネットワーク内のパケットブローカーとして、Service Communications Proxy(SCP)やNetwork Repository Function(NRF)などオラクルの5Gネットワーク機能を含むさまざまなソースからのデータトラフィックを取り込み、サブスクライブ済みのサードパーティ・アプリケーションやプローブへ安全に転送します。送受信されるすべてのデータは暗号化されており、エンドツーエンドでのデータ転送の安全性が保証されます。
Data DirectorにはKafkaメッセージングなどの最新の分析ツールが統合されており、担当者は集約、フィルタリング、レプリケーション・ルールを容易に設定して、サードパーティのネットワーク監視・保証ツール、他のアプリケーション、導入済みのプローブなどに柔軟にデータを供給できます。また、運用ツールのアップグレード時に迅速かつ簡単な再設定も可能です。Data Directorは、データの強化、相関XDR、レポート生成、可視化などをサポートするために設計されており、従来のビットコピー型ソリューションと比べて、少ない統合作業で大きな価値と柔軟性を得られます。すでにハイブリッド運用を行っている通信事業者にとっても、Data Directorは次世代分析プラットフォームへのデータ供給が可能です。
ネットワークが導入されてIT環境がますます複雑になるにつれ、多くの通信サービスプロバイダー(CSP)は、運用慣行を損なうことなく5Gデータに安全にアクセスし、それを必要なサードパーティ・アプリケーションと共有するという課題に直面しています。従来の3G/4Gネットワークで使用されていたシステムは、5Gのクラウドネイティブなサービスベース・アーキテクチャや、より厳格なセキュリティ要件に対応できないため、データ・エンジニアやデータ・サイエンティストには、安全かつ簡素な方法でネットワークデータにアクセス・共有できる新たな手段が必要です。
3Gや4Gといった過去世代のネットワークでは、ネットワークは主に静的であり、シグナリング・プロトコルは暗号化されておらず、シグナリング接続のエンドポイントも既知であったため、プローブやスニファー、スイッチポート監視によるトラフィック取得が容易でした。しかし新たな5G時代では、ネットワーク機能は動的に設定、プロビジョニング、導入、再利用されます。ネットワーク機能間の通信はSBI(Service Based Interface)を通じたAPIベースで行われます。これらの通信は暗号化されており、ネットワークのトポロジ、インタフェース、データフローも不可視化されています。
このような環境において、新たにリリースされたData Directorのような分析ソリューションは、5G対応のアプリケーション・ベースのメッセージフィードを提供します。これにより、5Gデータをシームレスに取り込み、サードパーティのアプリケーションと安全に共有し、直感的で操作しやすいダッシュボードで問題発生時にエンジニアへ通知することで、運用慣行を強化するための支援を提供します。Oracle Communications Data Directorは、5G投資の将来性を保証することを目的とした5つの差別化要素を備えています。
IT環境がますます複雑になる中で、サービスプロバイダーは最適なユーザー・エクスペリエンスを提供するために、より広範で多様なネットワークへのアドホックなデータアクセスを必要とするようになります。結局のところ、ネットワークの変化のペースは、ITおよびデータ領域の変化のペースと同等です。Oracle Communications Network Analytics Data Director は、現在のソリューションに統合しながら、将来のサービス提供を迅速かつ容易にできる柔軟性を備えています。オラクルの広範なAnalyticsポートフォリオと連携することで、Data Directorはネットワークから価値あるインサイトを得て、それをビジネス変革計画全体に応用しようとするサービスプロバイダーを支援します。