通信対応のIoTでより良い患者ケアを実現

IoTプラットフォームおよび戦略関連プロダクト・マネジメント担当シニアディレクター、René Schmitz

ここ数年の出来事を受けて、医療の姿が大きく変化しているのは当然のことと言えます。パンデミックにより、感染リスクを避けるために病院やクリニックへの訪問を控える人が増え、バーチャルケア(遠隔医療)の需要が急増しました。その結果、バーチャルケアは医療を受ける主流な方法の1つとなりました。以下は実際に起きた主要な変化です。

  1. カバレッジの拡大:バーチャルケアの需要増に応えるため、多くの保険会社や政府プログラムがビデオ診療を補償対象に加え、より幅広い患者がバーチャルケアを利用できるようになりました。
  2. 規制の変更:パンデミックにより、医療提供者がバーチャルケアを提供しやすくするための一時的な規制緩和が実施されました。たとえば、多くの州では州境を越えた診療制限が撤廃され、医療提供者は場所に関係なく遠隔診療が可能になりました。
  3. 新技術の採用:リモート・モニタリング・デバイスなどの新技術の導入が加速し、医療提供者が遠隔で患者を診ることを支援しています。
  4. EHR(電子カルテ)との統合:EHRの普及により、バーチャルケアが患者記録と統合され、医療提供者間の連携とコミュニケーションが効率化されました。

遠隔医療の普及は、感染症拡大防止にとどまらず、医療へのアクセス性を大きく向上させるという利点もあります。とはいえ、患者の状態や診断を正確に行うには、全体像を把握する必要があります。システムが連携・通信していない場合、単にデータにアクセスできるだけでは不十分で、患者が不利益を被ることになります。医療提供者には、適切なタイミングで、コンテキストと粒度を伴った正しい情報へのアクセスが求められます。幸いなことに、IoT対応デバイスの登場と堅牢なニアリアルタイム通信ツールによって、これが現実のものとなりました。

心拍モニター、血中酸素レベルセンサー、薬剤反応検出器、がん治療モニタリング、転倒検知装置など、コネクテッド・ウェアラブル・デバイスは、一貫したケアと医療従事者による患者把握に極めて有効です。医療機器、ナースコール、位置情報技術、その他のネットワーク接続システム間のシームレスな連携を実現することで、医療従事者は患者の診断やケアの方針決定をより的確に行えるようになります。これらのコネクテッド・デバイスにより、医療従事者は過去のデータの傾向を確認したり、病状変化が検知された際に通知を受け取ったりできます。

医療における通信の役割

クラウド技術はさまざまな形で多くの業界を支えており、オラクルでは、医療のような極めて重要な分野においても、業界特化型アプリケーションを大規模に提供しています。オラクルは、業界固有の深い知見と専門性をクラウドとグローバルに提供することを目的に、年間7億ドル以上を業界別研究開発に投資しています。

私たちは、アクセスしやすく信頼性が高く安全なバーチャルケアが世界にもたらす変革の可能性を理解しており、この分野に最高のソリューションを提供しています。実際、私たちは最近、Zoomとのコラボレーション拡大を発表し、患者が医療提供者とシームレスにつながるための手段を強化しました。オラクルとZoomは、バーチャルケア機能をEHR(電子カルテ)と統合することで、世界中の医療提供者が関連患者情報を手元に置いたまま、迅速かつ簡単に診察に参加できるようにしています。

次世代の医療支援では、さまざまな業種別アプリケーション、デジタル・ツール、それらに伴うデータを統合・整理する企業通信プラットフォームが鍵となります。これは、センサーで収集されたデータから、複数の通信手段を用いる患者エンゲージメント・ツール、チャットからビデオ診療、EHR内の記録まで多岐にわたります。

堅牢な企業通信プラットフォームは、すべてのパートナー・エコシステムを接続し、複数ベンダーのツールを活用しながら、すべてのアプリケーションを一元的に可視化することが可能です。各種インタフェースからのデータは分析エンジンに提供され、臨床判断の支援や、患者または医療提供者向けにカスタマイズされたレポートの作成に役立てられます。同時に、このプラットフォームは、すべてのデバイスとエッジ環境を安全かつ最新の状態に保つための適切なツールも提供します。

それでは、次世代の医療通信はどのような姿になるのでしょうか?シームレスな情報共有と高品質なケアを実現するために、次のような重要な機能を備えることになるでしょう。

ディレクトリ管理機能:組織内のさまざまな役割間での通信が、単一の多施設対応ディレクトリにより簡素化されます。医療従事者は、同僚や患者を検索し、院内外のケアチームメンバーと容易に連絡を取ることができます。

音声とテキストのセキュアなメッセージング:医療従事者や事務スタッフは、エンドツーエンドの暗号化を活用して、患者情報を安全にメッセージ送信できます。

ワークフローの最適化:病院内に多数存在する臨床ワークフローにおいて、すべての情報を一台のデバイスに統合することは、効率化の鍵であり、医療従事者がより多くの時間を患者に割けるようになります。高度なEHR統合により、医療従事者はモバイル・デバイス上でワークフローを完了でき、バーコードによる投薬管理、検体採取、新たな検査指示、重要な検査結果のアラーム、個別の医療記録などの情報が、患者チャートに自動的に反映されます。

アラームと通知:場所、役割、患者、担当者などに基づき、重要なニアリアルタイム・アラームを適切なケアチームメンバーへ送信できます。これらのアラームは、状況のコンテキスト、重要度、エスカレーション手順と組み合わされて、全体像を把握して行動できる医療従事者に確実に届きます。

リモート患者モニタリング:これは入院、外来、在宅医療のいずれにも活用できます。

写真取り込み:臨床画像を患者記録に直接アップロードできることで、ワークフローの余分な手順が省かれ、ヒューマンエラーの削減にもつながります。

ダッシュボードの採用と活用:使用中のデバイスの機能、サービス品質、アラームの概要、エラー、必要なアップグレードが視覚的に表示されます。

Oracle Communicationsは、世界中で数百万のアプリケーションを接続し、数千のネットワークを保護し、数十億のモバイル・デバイスにサービスを提供しています。こうしたツールを医療分野に活用することで、医療エコシステム全体の連携が強化され、エンドツーエンドの医療サービスを創出できるようになります。

詳しくは、Oracle CommunicationsおよびOracle Healthのリソースをご覧ください。

Oracle Communicationsについて:

Oracle Communicationsは、サービスプロバイダーおよび企業向けに統合型の通信およびクラウド・ソリューションを提供し、ネットワークの進化からデジタルビジネス、カスタマー・エクスペリエンスに至るまで、通信主導の世界におけるデジタル・トランスフォーメーションへの取り組みを加速させます。Oracle Communicationsの業界向けソリューションについて詳しくは、Oracle Communications LinkedInをご覧ください。