反復的な財務変革の時代の終焉

Keith Causey、クラウドERP変革および開発担当シニア・バイスプレジデント | 2024年11月26日

AIエージェントの導入により、財務変革はAIドリブンの財務という新しいフェーズに入りました。この進化は、従来のプロセスに取って代わり、真にSaaSネイティブなERPプラットフォームという統合的なソリューション内で、価値の高いデータドリブンな成果をもたらします。

AI エージェントの組み込みの機能は、連携して大量のデータ処理、リアルタイムの分析と予測、情報の要約と提示などのタスクを実行し、財務の実行方法を根本的に変えます。金融は現在、動的かつリアルタイムで、継続的なものとなっています。AIドリブンの財務は、タッチレス業務、予測的なインサイト、協力的なアクションの実現を支援し、比類のない効率性とビジネスの把握を推進します。これにより、財務チームは運用の監視、ビジネスの最適化、信頼性の高いアクション指向のインサイトの提供に重点を移すことができます。

パラダイム・シフト: AIエージェントと財務の未来

AIエージェントは、従来のAIと生成AIを組み合わせ、人間の介入をほとんど必要とせずにエンドツーエンドのプロセスを実行できる多次元的な機能を提供します。これらのエージェントは、従来の労働集約的なワークフローの大部分を置き換え、新しい機能を導入するため、シングル・ポイントのAIソフトウェアができる以上のことを行います。

オラクルはこの変化の原動力として、現在の財務の実務を見直す一連のAIエージェントを開発しています。AIエージェント同士を組み合わせて使用することにより、CFOのチームはかつてないほど高いレベルの生産性と効率性を実現することができます。CFOは、これまで利用可能ではなかった幅広いデータを活用し、リアルタイムにAIによるインサイト、予測、推奨を行うことで、戦略目標の達成に向けてより先行的に取り組むことができます。組み込みのAIエージェントは財務のバックボーンとなることができ、定期的に新しい自動化や機能を導入しながら進化し続けます。ポイント・ソリューションとボルトオン・ソフトウェアを使用する反復的な財務変革の時代は、過去のものになる可能性があります。

その基盤はオラクルのドキュメントIOエージェントから始まり、請求、会計、記録管理のためのデータ取込みとドキュメント作成を自動化します。これには、経費の領収書の項目別分類、サプライヤーの請求書処理、銀行の照合、仕訳入力の作成など、多くのプロセスが含まれます。生成AIコンポーネントにより、エージェントはさまざまな形式および言語のデータを処理することができるため、新しい取引パートナーがまったく異なる形式で注文を送信してくるような日常的な事態にも対応が可能です。エージェントは継続的に改善されるため、追加構成をほとんどまたはまったく必要とせずに、自動化によってデータの精度と品質を向上させます。こうしたより高レベルの機能を適用することで、生産性の向上、データの完全性、精度、適時性の改善が可能になります。

Oracle Fusion Cloud ERPにおけるドキュメントIOエージェントのデモ(2:00)

ドキュメントIOエージェントを活用することで、手動プロセスを順次実行するのではなく、財務成果を即座に達成できます。データが取り込まれると、元帳、支払い、勘定照合、高度な予測などの基盤エージェントがほぼリアルタイムに連携し、照合の実行、仕訳入力の作成、情報の照合、運転資本を最適化する推奨支払いオプションの提示、最新の予測の提供、より深いインサイトとより高い価値の提供を行います。その結果、財務チームはかつてないほど幅広いデータセットから引き出された新しい見解を得ることができます。そして、財務チームは、そのナレッジと専門知識を導入して、最適なレコメンデーションとアクションを実現し、最高品質で最も信頼性の高い結果を得るために、AIエージェントとデータの継続的な改善を支援します。財務はよりビジネスに焦点を当てた、アクション指向の、そして確かにより価値のあるものになる可能性があります。

その他のAIエージェントは、データ可視化とコンテキストに応じたデータ探索を提供し、コンテキストや音声認識を通じてデータとやりとりする機能を提供し、AIによる可視化とリアルタイムのシナリオ・プランニングを実現することが可能です。これらのエージェントを利用することで、財務チームは複数のAI生成による可視化のプレビューや、リアルタイム・データとのやりとりが可能になり、分析の背景にあるデータをより深く、通常かかる時間のほんの数分の1の時間で探索することができます。重要なことは、CFOはこれらのツールを効果的に使用するためにデータ・サイエンティストを必要としないということです。

このAIエージェントの基盤は、猛烈なペースで拡大しています。企業固有のデータをタイムリーに提供するSaaSプラットフォームと組み合わせることで、財務組織に新しい機会を継続的にもたらすと考えられます。

財務チームとAI: 強力なコラボレーション

このAI主導の時代において、財務チームの役割は劇的に進化するでしょう。AIエージェントは、多くのプロセスを自動化する機能はあるものの、経験豊富な財務担当者をを強化するものであり、決して取って代わるものではないことに留意する必要があります。AIは、財務チームがプロフェッショナルな判断力、戦略的インサイト、意思決定機能を発揮できるよう、これまで不可能であった方法で幅広いデータを利用および処理し、情報とトレンドの分析と提示を行います。AIエージェント・センター・オブ・エクセレンスの設立がベストプラクティスとなり、人とAIはシームレスに連携できるようになります。

財務チームは、プロセス、データ、テクノロジーを継続的に更新するフレームワークを導入するため、変更管理をコア・コンピテンシーにする必要があります。AIエージェントは、リアルタイム・データとAIによる成果に集中できるようにすることで、チームを強化し、運用の改善、行動の定義、結果の最適化を支援します。AIの出力結果を監督し、最適な結果に導くためには、人間の専門知識が常に必須となります。

真のSaaSプラットフォームのみがAIドリブンの財務をサポートする理由

Oracle Fusion Cloud ERPにおける元帳AIエージェントのデモ(2:00)

AIドリブンの財務というビジョンを実現するには、真のSaaSネイティブなプラットフォームが必須です。統合されたSaaSプラットフォームのみが、継続的なAIイノベーションをサポートするために必要な、統合的なインフラストラクチャ、アプリケーション、データ・アーキテクチャを提供します。パブリック・クラウドにホストされた断片的なアプリケーションの寄せ集めとは異なり、真のSaaSプラットフォームは、複雑さを増すことなく、シームレスでリアルタイムなデータ統合とAI機能を提供します。

適切なSaaSネイティブなEERPでは、AIがプラットフォーム自体に組み込まれているため、セキュリティやデータの機密性を損なうことなくAIの導入が容易になり、リスクの低減と投資収益率の向上を支援します。AIはソフトウェア・プラットフォーム全体にわたり機能するように設計されているため、ボルトオン・ソフトウェアや追加のIT投資が不要になります。この統合により、財務組織は、時代遅れで断片化されたテクノロジー・モデルに妨げられることなく、初日からベストプラクティスに集中することができます。財務におけるイノベーションのペースでは、リアルタイムに連携した成果が求められています。これは、真のSaaSプラットフォームだけが実現できることです。

さらに、生成AIと大規模言語モデル(LLM)テクノロジーがかつてないペースで進歩しているため、SaaSネイティブなプラットフォームは常に最新の状態に保たれるように設計されています。新しいAIエージェントなどの進歩をもたらすアップデートは定期的に行われ、企業はそれらのアップグレードを受け入れ、すぐに使用し始めることができます。対照的に、ホスト型クラウド・ソフトウェアは、オンプレミスのソフトウェアが直面したものと同じ古い問題である大規模なシステム・アップデートを必要とします。更新には貴重な時間、リソース、予算が費やされるため、企業は更新を後回しにすることがよくあります。しかし、遅れをとるほど、コスト削減を実現できず、更新のコストがかさむことになります。

そして最後に、SaaSネイティブなプラットフォームは、顧客データをプラットフォームとエンタープライズ・データベースの中に保持することで、顧客データのセキュリティ提供を支援します。企業は、自社のデータが共有されたり、公開LLMのトレーニングに使用されていないことに安心できます。さらに、特定のデータにAIを適用することで、AIの品質、関連性、信頼性のレベル向上を推進できるよう支援します。

今こそAIドリブンの財務を

AIドリブンの財務は単なるプロセスの改善ではなく、CFOの新しい考え方を示しています。自社のデータを使用するAIエージェントは、現在の機能では実現できない成果を達成する可能性があり、運用効率とビジネスの成果に集中することができます。

財務の未来は明らかです。今こそAIドリブンの財務を取り入れる時です。

CFOがERPで生成AI予測を強化する方法の詳細については、「生成AIの活用: CFOがリアルタイムのインサイトで意思決定を強化する方法」を参照してください。