Keith Causey、クラウドERP変革および開発担当シニア・バイスプレジデント | 2024年4月29日
公認会計士であるCauseyは、ホスピタリティ・エンターテインメント、製造、通信の各企業において、財務、会計、情報技術の上級管理職を歴任してきました。
急速に変化する財務状況の中で、人工知能(AI)と生成的AI(GenAI)の台頭は、企業に変革の機会をもたらします。最高財務責任者(CFO)にとって、このような状況の中で組織の舵取りを行うことは、生産性の大幅な向上と価値の向上を推進するための喜ぶべき挑戦です。オラクルはこれまでにも、財務組織の変革におけるGenAIの役割についてご紹介してきました。ここでは、どのようなAI機能が利用可能で、どのような成果が即時に得られるのかといったGenAIの生産性と、将来の展望に焦点を当てます。財務チームを生産性と効率性の新たな高みへと導くGenAIのパワーとはいったいどのようなものなのでしょうか。
AIによる生産性の向上から得られるグローバルな経済効果は今後10年間で7兆ドルを超えると予測されています。その一方、財務分野でAIを十分に活用している企業はわずか30%以下にとどまっています。これは、未開拓の鉱山が目の前にある状況と言えるでしょう。そして、行動すべきは今なのです。
財務部門はすでに、ソフトウェアとインフラを統合する主要なクラウドネイティブERPプラットフォームを使用しており、これには従来のAIがすでに組み込まれています。つまり、生産性を大幅に向上させる準備が整っているということです。従来のAIは自動化を促進し、数値的な予測やインサイトを可能にしますが、それを強化するのがGenAIのナラティブ機能です。現在、これらのシステムはトランザクション・フローのほぼすべての側面をエンド・ツー・エンドで自動化しています。例えば、次のようなものがあります。
その他さまざまなものがあります。
では、財務部門は自動化からどのような成果を得ているのでしょうか?以下に、生産性向上を推進している企業の具体例をいくつかご紹介します。第一に言えることは、トランザクション処理は大幅に自動化され、完全にタッチレスとなる道を歩んでいるということです。Oracle Fusion Cloud ERPの顧客ベースには、AIによるインテリジェントなデータ認識と自動照合機能を活用している企業が数多くあり、これらの企業は、買掛金の電子処理件数を大幅に増加させています。例えば、ある自動車会社は、数百万件のトランザクションにおいて90%以上の自動化を達成し、その精度は初回でほぼ完璧なものでした。
第二に特筆すべきは、Oracle Cloud ERPのお客様が会計決算にかかる時間を継続的に短縮しているということです。また、インサイトを活用した異常検知や、会計発生高の確認と照合の自動化などの、組み込みのAI機能を活用しているお客様は、さらなるメリットを享受しています。ある大手ホスピタリティ企業では、手作業による仕訳入力や照合、そしてスプレッドシートの使用を大幅に削減するなど、50%以上の効率化を実現しました。また、これらの生産性の向上に加えて、財務データの品質が向上したことで、監査にかかる時間と労力が削減されるというメリットも得られました。これらのメリットにより、財務チームは継続的なプロセス改善、イノベーション、クラウドERPプラットフォームの潜在的価値の最大化など、より重要な活動に集中できるようになりました。
今後、従来のAIの能力と生成AIのナラティブ機能をどのように組み合わせ、生産性を高めていくかを考えるのは興味深いことです。GenAIは、テキストやビジュアルを生成・分析し、文脈に沿った結論や推奨事項を提供することで、従来のAIの価値を高めるのに役立ちます。GenAIは、レポート、チャート、インフォグラフィック、スライド、さらには画像や動画など、さまざまなコンテンツの生成を支援することで、これらのインサイトを提供します。財務担当者は、このコンテンツを評価、修正、発展させることができます。また、GenAIを活用することで、情報へのアクセスが容易になり、生産性が向上します。自然言語を活用することで、ユーザーはクラウドネイティブのERPセキュリティで保護された機密情報などのデータを迅速に取得できるようになります。これにより、セルフサービスの向上、より迅速なアイデアの創出、イノベーションの拡大につながります。
GenAIを活用することで、私たちは従来のAIを超えた次のステップに進むことができます。財務の専門家にとってこれが何を意味するかというと、事実に基づいた意思決定を促進するためにより詳細なコンテキストと実用的な説明を提供できるということです。GenAIは、差異や傾向を明らかにするテキストを生成し、予測モデルによって生成された予測を明確にするための文脈的な解説を生成し、予測に影響を与える主な要因の理解を促進しながら、実用的かつ積極的な推奨を提供することができます。
財務チームは、GenAIを活用して、内部および外部用財務レポートの初期ナラティブを生成することができます。そして最終的には、GenAIとの対話型エクスペリエンスを開発し、基本的なデータ問合せ、可視化、複雑な分析などを支援するバーチャル・アシスタントとして機能させることができます。GenAIはまた、サプライヤー、購買担当者、銀行、物流業者間のタッチレスな企業間取引を実現するために必要な、状況に応じた支援を提供するために活用することもできます。
GenAIを使えば、より多くの財務業務を完全に自動化し、生産性をさらに向上できる可能性が飛躍的に高まります。このような進歩により、継続的な財務機能におけるタッチレス・オペレーションという目標がより現実味を帯びてきます。
生産性の向上は、最初の一歩としては素晴らしいものです。しかしCFOとしては、チームの高度なスキルセットから得られる価値を増幅させることを目指すべきです。そのためには、戦略的目標に沿った取り組みを支援するためにAIを導入することが必要です。例えば、これらの取り組みには、収益拡大、コスト削減、キャッシュフローの最大化、回収戦略の強化、さらには購買担当者や営業担当者の交渉力を強化するための推奨事項の提供などがあります。また、非戦略的な活動の一元化、イノベーションの促進、タイムリーな意思決定の実現にも注力する必要があります。
明確なビジョンを持ち、適切な変更管理を行い、戦略的なテクノロジーを選択することで、財務は、単なるサポート機能ではなく、生産性とイノベーションを促進する原動力となることができます。これはつまり、財務が、企業をよりスマートな意思決定と戦略的な成果へと導くための組織となるということです。
まとめ: GenAIは単なる新しいテクノロジーではなく、財務機能のあり方を再構築するものです。
GenAIの無限の可能性を武器に、財務が変革の担い手となる未来を実現しましょう。
CFOが変革のリーダーとなる方法についての詳細は、CFOと財務に大きな変化をもたらす生成AIを参照してください。次の記事では、GenAIがどのようにインサイトと予測をさらに向上させるのかを探ります。