オラクル販売戦略および事業開発、Industrial Manufacturing、Jake Krakauer | 2023年3月28日
新たに訪れる電気自動車の時代を見据えて経営を行うことは、ビジネスの各要素を早急に再確認し、改革する機会をもたらします。自動車業界のOEMとサプライヤーが複雑な課題に直面している今、業界のマネージャ、計画担当者、戦略担当者は、ビジネスの各要素を慎重に検討し、ビジネスが今までどおり継続していくという固定概念に疑問を持つ必要があります。
幸いにも、最新のツールとソリューションは、OEMとサプライヤーのイノベーションと成長に重要な役割を果たします。この投稿では、内燃機関(ICE)車から電気自動車(EV)に移行する過程で業界が直面する多くの課題について考察しています。第2部では、ビジネス・モデルや業務に関する考え方に刺激を与え、自動車企業が成功への道を切り開くのに役立つ、いくつかのツールや技術を紹介します。
部門横断的な計画
部門横断的な計画は、プランニング・プロセスにおいて、財務と企業運営に関わる事業分野を結び付けます。このようなアプローチは、ビジネス変革をマッピングするうえで不可欠になりつつあります。FP&A(財務計画・分析)の役割をxP&A(拡張計画・分析)に拡大することにより、セールス・アンド・オペレーションズ・プランニングと高度なテクノロジー(IoT、AI、規範的分析)を組み合わせることができます。また、統合データ・モデルを使用して単一のビューを提供することで、製造企業の複数の部門にまたがるエンドツーエンドのプランニングが可能になります。
シナリオ・モデリング
シナリオ・モデリングは、「もし◯◯だったら?」という質問に対する回答を提供します。これにより、スプレッドシートで計画を立てて継続的に調整することではなく、長期的な代替戦略のシミュレーション、不測の事態のシナリオ開発、財務モデルのストレステストに時間を費やすことができます。企業は、業界や経済ダイナミクスの変化に対してICE/EVプログラム構成のモデリング、収益性と資本の配分などの事前対応型の対処を行い、プログラムとイニチアチブをサポートするビジネス・ケースを構築できます。
運用効率
最新のクラウド・アプリケーションによって運用効率が改善されると、財務、調達、サプライ・チェーン管理、フィールド・サービス、人材管理、カスタマー・エクスペリエンスなどの各部門で、一貫したビジネス・プロセスと、信頼できる唯一の情報源が実現されます。受注から入金、調達から支払、調達から納品などのビジネス・プロセスをシームレスに実行するには、共通のデータ・プラットフォームがあることが重要です。また、データ連携とガバナンスの単一のモデルを使用することで、企業がビジネスの変化に迅速に適応し、対応できるようになります。
ワークフォース管理
業界のあらゆるレベルで人材不足が発生している今日の環境では、ワークフォース(人材)管理のためのツールとインテリジェンスが重要な意味を持ちます。William Davidson Instituteのエネルギーおよびモビリティ担当シニア・ディレクタであるDiana Páez氏は、Business Insiderのインタビューで次のように語っています。「リスキルとスキルアップについては既に多くの議論が交わされています。これは、既存のスキル・セットを活用し、従業員に新しいスキル・セットを習得させ、新しい従業員を育成することを意味します。」ここで言う従業員とは、ソフトウェア・エンジニアや、採掘、建設、電気インフラの技術者などを指します。人事部門のリーダーは、人事(HR)システムのコア機能に加えて、採用、獲得、トレーニング/リスキル、多様化、安全衛生の維持に効果的なツールを必要としています。
デジタル・コンシューマの理解
消費者を理解し、直接つながりを築くことはテクノロジーの利用によって可能になりますが、管理と収益化を行うには新しいシステムとスキルが必要です。新たに利用可能になるプラットフォームでは、顧客、車両、ディーラーに関するデータを統合してエンリッチし、顧客ライフサイクル全体を通じて取引を推進できます。AIによって、組織はより簡単にスマート・セグメンテーションを使用し、スマートな推奨事項とパーソナライズされたカスタマー・ジャーニーを提供できるようになっています。組織は、世界最高水準の分析を適用しながら、サービスをリアルタイムで大規模に提供できます。
ESGのプランニングとレポート作成
環境、社会およびコーポレート・ガバナンス(ESG)の計画・レポート機能は、財務データと非財務データの統合に役立ちます。これによりパフォーマンスの管理が可能になり、ESGの利害関係者と規制当局を管理し、これらに対する透明性を維持できます。ESGデータは、ERP、人事、サプライ・チェーンなど、組織内の多くの業務システムをソースとしています。多くの場合、標準と形式はシステムによって異なります。ESGソリューションは、一貫したキー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)フレームワークの要件を満たすように、収集したすべてのデータを共通の標準に変換します。
最新の分析
分析は、ビジネス・パフォーマンス、トレンド、潜在的な結果に関するインサイトを提供し、自動車会社が収集した膨大な量の内部データと外部データの価値を引き出します。分析では、データを活用して意思決定の裏づけを行い、財務、運営、人事、販売、マーケティングなどの部門内および部門間のパフォーマンスと潜在的な成果に関する疑問を解消できます。
進む方向を変えなければ、目指す場所に辿り着けるだろう。老子
電気自動車への移行の多次元的な規模を評価しようとしても、漠然としていてよくわからないかもしれません。組織は、ビジネスを見直しながら運営する(例えるなら、車を作りながら運転する)という新たな難題を突きつけられています。電気の精霊が残していった瓶のせいで、現行のビジネスのバランスをとりながら、新たな機会を求めて方向転換する必要に迫られているような状況と言えるでしょう。