業界戦略担当バイスプレジデント、Mike Ballard
Oracle Energy and Waterの業界戦略担当バイスプレジデントであるMike Ballardが、ワシントンD.C.のSmithsonianについての取り組みについて説明します。Mikeとその同僚はメタバースでキャリア最高の体験をすることになりました。
パート2「父さん、これ本当にかっこいいね!」
前回の話をまとめます。オラクルは、SmithsonianのFUTURES展のためにエネルギーの未来に関する仮想現実エクスペリエンスを開発するという課題を引き受けました。当社は、9か月間に何千人もの来館者がさまざまなタイミングで使用するアクティベーションを今後約8週間で設計、構築、テスト、設置する必要があります。
EDX Technologiesの当社パートナーが参加してくれ、タイム・トラベルに関するアイデアの共有を既に開始していました。しかし、もっと多くのサポートが必要でした。
EDX Technologies(CEOのRoger Skidmore氏が率いています)は、公益事業や緊急サービスなどの産業用ユースケース向けの3次元空間開発のエキスパートです。しかし、私たちが作っているのはゲームでした。教育的なゲームですが、ゲームであることに変わりありません。
彼らは、Zprymeの傘下にあるFroliqを紹介しました。Froliqには、さまざまなメリットがありました。
私はJorge OrtizとRebekah Diazを紹介されました。私が眠れなくなるほど夢中で取り組んでいる課題を彼らの創造的な能力が現実に変えてくれます。実は、JorgeとRebekahに会うまでは、私は本当に眠れませんでした。
こうして、私たちは、ドリーム・チームを結成したのです。
そして、私たちの成功に必要なものはスキルと経験だけでなく、チームの創造的、献身的、現実的な態度も不可欠でした!
プロジェクト全体を進めるために、Zoomを利用しました。私はここ英国に拠点を置いており、FroliqとEDXは米国にあります。6時間の時差を利点として活用しましたが、設計とビルドを繰り返すうちに、夜遅くまで作業することもありました。
ゲームのルール
私は、開発チェーンの弱点として、エンゲージメントと教育への仮想現実の応用に関して書かれたものをできるだけ多く読みました。その中で、以下の4つの重要な発見がありました。私はそれらを繰り返し思い出しながら、エクスペリエンスを開発しました。
この最後の内容は、Smithsonianにとって現実的な影響を及ぼすことが明らかになりました。
エネルギーの未来への旅
私たちのエクスペリエンスにやって来る来館者の多くは、エネルギーの未来について学ぶためではなく、仮想現実を試すことが目的でやって来るだろうと私たちは仮定しました。
わかりやすい解説とそれに適した視覚効果を使用することで、エネルギー、その歴史、そしてその未来が来館者に関連している理由と、その未来において来館者が実施できる主体的行動を説明できると考えました。
このシリーズの前回のエピソードで触れたように、私たちはエネルギーの未来への旅を過去から始めようと考えました。その後、私たちは時間を前進させ、世界が発展するとともに、エネルギー(特に電気)の利用が世界の変革をどのように推進したかを示します。このタイム・トラベルは、1860年(一般家庭への送電が始まる前)から始まり、2050年(FUTURES展の基準日)まで続きます。
移り変わる3次元世界を構築するFroliqを支援するために、オラクルは、交通、道路、建物、衣服、店舗、そして最も重要な発電所や送電線などの日常の大きな変化を把握するための調査活動を行いました。
当社は、その結果を年表に整理して、当時のサンプル画像とともにFroliqに提供しました。
RebekahとJorgeの2人がうまく作られた3Dモデルを提供すると、魔法がかかったように、私たちが整理した年表に従って、それらのモデルが動き出しました。また、Froliqは、タイム・トラベルの調整を管理するために、Unityで特別なフレームワークを開発する必要がありました。
最終的に、450個以上の独立したアセットが60秒間の美しいダンスのように連動して振る舞い、エネルギーによって変化する世界が、周囲に映し出されました。
そしてその間、私は(私のヒーローであるDavid Attenboroughの真似をして)ナレーションを担当しながら、このエクスペリエンスの次の部分のための場面を準備しました。そこでは、私たちそれぞれがエネルギーの未来において、どのような役割を果たすかを説明します。
この時点まで、このエクスペリエンスにおける来館者の役割は受動的なものでした。来館者はあらゆる方向を見回し、床を見つめ、雲を見上げることはできましたが、移動することや、何かとやりとりすることはできませんでした。これは意図的なものでした。
私たちは、デジタル・プラットフォームの使用経験や年齢が異なるさまざまな人々にとって利用しやすいエクスペリエンスを必要としていました。私たちは、サステナビリティと個人の主体性についての重要なメッセージを届けることを目指しました。そして、重要なことは、周囲を歩き回ることができるようにするには、さらに大きな世界を開発する必要がありました。
私たちが移動機能をオフにするのを忘れたとき、Smithsonianのある若いユーザーは、私たちの作った世界がハリウッド映画のセットのようになっていることに気が付きました。隅をちらっと見ると、第四の壁が壊れています。魔法が失われたのです。そして(その恐れを知らない若い探検家が発見したように)もしも遠くに移動しすぎると、あなたは文字通り世界の縁からはみ出して、無限に深い虚無に転落しながら、平らな世界が浮かび上がり、空に向かってどこまでも遠ざかってゆくのを目にすることでしょう。
主体的行動の提供
タイム・トラベルのエクスペリエンスは多くの来館者にとって目玉ですが、私たちは、エネルギーを現代の人々と結び付けるために、2020年代に立ち寄る必要がありました。そこで、来館者はある家を探索します。来館者は、さまざまな家電製品に触れて、エネルギーをよりサステナブルかつ手頃な価格で利用できるようにする方法を見つけます。
そのとき、私たちは、どのようなアドバイスを提供すべきでしょうか。私たちの仮想世界に入ったすべての人は、その人ごとに異なる状況になります。前回のエピソードで述べたように、オラクルはエネルギーの問題に消費者を引き付けるノウハウをある程度持っています。Opowerのインサイトは、かなり各個人に合わせた内容になっています。私たちは、幅広いヒントを提供し、少なくとも1つのヒントがすべてのバックグラウンドや年齢の来館者に役立つようにする必要がありました。
そこで、ほとんどの個人や家族が行うことができる最も効果的な行動のうち8つを選択しました。多くの行動が無料(使用していないデバイスの電源をオフにするなど)または非常に低コスト(古い電球をLEDに交換するなど)で実行できることを確認しました。
私たちは、来館者が家を探索してこれらのインサイトを見つけることを期待しました。ただし、見落としたものをそれほど困難なく見つけることができるようにしました。私たちは、来館者が何を期待されているか理解できるように、教訓的なプロンプトを追加しました。
家の断熱化(目の前にある窓を指すだけ)やTVなど、一部の項目は非常に簡単に見つけることができます。また、温水炉やボイラーのように、食器棚の中に隠されているものもあります。
Jorgeは、各セッションの使用状況データを取得して、家のどの部分が頻繁にアクセスされていて、どの部分が見落とされているかを確認することを思い付きました。今後のエピソードで、その使用状況データから得られたインサイトを検証します。
隠し機能
仮想現実の大きな力の一つは、想像できるものなら何でも体験できることです。Opowerの豊富なインサイトを30秒の短い文に凝縮することは簡単ではありまでした。一部のユーザーには、エネルギー効率の概要で十分でしたが、他のユーザーはさらに多くのことを望んでいました。
そこで、私たちは奇妙な浮遊プラットフォームを空間内に構築し、8つのインサイトのそれぞれをより詳しく探求できるようにしました。
そこでは、インサイトのテーマ(ゲーム・コントローラー、サーモスタット、冷蔵庫など)で選択して、遊ぶことができます。
子供たちが、そのプラットフォームでそれらのアイテムを拾い上げては放り投げることに夢中になったことは言うまでもありません。
それらの部屋へのロックを解除するには、ユーザーが家の(テレビや窓など)のエリアを自分でクリックして、小さな青い「i」記号を表示する必要がありました。さらに、その記号をクリックする必要がありました。一部のユーザーにとって、これが障害となって、それらのインサイトにアクセスするのが困難だったと思います。ですが、これらの秘密の部屋にアクセスする方法を理解した来館者には、とても好評でした。
私のお気に入りの隠し機能のひとつは、電球のメリーゴーラウンドでした。
同僚のKim Gregoは、最初のエジソン電球から最新のLED電球まで、製造されたあらゆる種類の電球のコスト、寿命、効率を調査しました。
電球を選択すると、その電球が(種類に応じた正しい明るさで)点灯し、電球の特徴を説明するインフォグラフィックが、惑星の月のように、電球を中心に周回します。
これは驚きのしかけであり、多くの人にとってお気に入りの機能になりました。
未来への出口
来館者はいつでも家を離れて、2050年までのタイム・トラベルを続けることができます。しかし、私たちは、8つのインサイトをすべて見つけることを期待していました。
私たちは、数人のユーザーが出口標識を誤ってクリックし、途中で退出していることに気が付きました。ここにはおそらく、確認のステップを追加しておくべきでした。
さて、私たちは家の外にいます。ここは2020年で、私たちは未来について話し始めます。SFに描かれているような未来ではありません。ここには空飛ぶ車もありません。その代わりに、いくつかの新しいエネルギートレンドをわかりやすく説明したいと考えました。
議論を拡大して、企業、政府、規制当局に必要な行動を含めることを目指しました。
しかし、2050年はまだ先であり、特定の未来を予測することはこの展覧会の目的ではありませんでした。そこで、私たちは、家庭や交通、エネルギーの生成や貯蔵、地域社会と企業への送電に見られる変化を探求する説明を作りました。何を含めるべきか(多くのことを詰め込みました)について同意に至るために、オラクル内、Smithsonianなど、多くの人々とのコラボレーションを行いました。
特に重要な関係者の1つは、米国エネルギー省のソーラー・デカスロン・チームでした。このチームは長年にわたって、サステナブルな住宅の設計と建設に関する大会を開催してきました。私たちは、優勝した住宅の1つ(チリから参加したCasa FENIX 2.0)を、将来建設されるサステナブルな住宅の例に含めることを許可されたことを光栄に思います。
字幕が仮想現実でどのように機能するかという、もう1つの重要な学びも、上の例で見ることができます。2次元では、字幕を画面の下部に配置することに意味があります。しかし、没入型3Dでは、うまく機能しません。Jorgeの説明では、あたりを見回そうとしたときに、目の前に一枚の紙を常に見せられるような感じになります。
私たちは、便利な配置の半透明ボードを現実の世界に浮かんでいるように見せることでこれを解決し、聴覚障害者もエクスペリエンスに参加できるようにしました。
1860年から2020年までの私たちのタイム・トラベルで、私のお気に入りの一つは、1900年代に電柱が地面から現れるというエレガントなシーンです。
未来のシーンでは、電力線を埋めること(グリッドの信頼性を向上させるために採用することが増えている手段)で、対称的な演出を行っています。また、石炭火力発電所と煙突が地面に戻されるシーンもあります。
物語を締めくくる良い方法です。
行動喚起
驚きのエクスペリエンスから、来館者は何を得たでしょうか。エネルギーの未来における自分の役割について、何を学んだのでしょうか。
私たちは来館者に、共有したすべてのインサイトの中から帰宅後に実施することを1つ選ぶようにお願いしました。
そして、私たちはその選択を保存し、集計しました。
自発的に1つをクリックしてもらうことは、行動の変化を促進するのに役立ちます。
しかし、来館者の取り組みを強化し、さらに拡大したのは、他の来館者の選択肢とどのように違うかを示したことで、これは、Opowerで以前から使用されている手法です。
来館者は、おそらく、複数の行動を持ち帰ることでしょう。1つは自分が選択した行動で、もう1つは、他の来館者が選択した次に人気のある行動です。
被験者の1人(感動することが少なくなった私の15歳の息子)もこう叫んでいました - 「父さん、これ本当にかっこいいね!」
Oracle Energy and Waterを活用して、サステナブルかつ低コストの未来に備えましょう。より優れたグリッド管理ツールから、よりスマートな公益事業資産管理オプションまで、公益事業の適切な作業に必要なすべてのステップでサポートを受けることができます。詳細については、Oracle Energy and Waterをご覧ください。