Chris Leone、EVP、アプリケーション開発、Oracle | 2026年3月23日
これまでエンタープライズアプリケーションは、「何が起きたか」を記録するために設計されてきました。トランザクションを記録し、ポリシーを適用し、ビジネスの運用履歴を格納します。
こうしたアーキテクチャは、現在「システム・オブ・レコード」と呼ばれています。何十年もの間、それは企業システムの基盤として機能してきました。
しかし、システム・オブ・レコードには本質的な制約があります。それは、「業務を自律的に前進させることができない」という点です。データを解釈するのは人。次に取るべきアクションを判断するのも人。実行するのも人。そしてアプリケーションは、その結果を記録します。
そのモデルは今変わりつつあります。
業界全体にわたり、組織はエンタープライズ・ソフトウェアの新しい段階に入っています。それが「自律型エンタープライズ」の台頭です。ここでは、システムは単に情報を蓄積するだけでなく、推論し、判断し、行動することで、業務を継続的に前進させます。
この変革を支えているのが、エージェント型エンタープライズ・アプリケーションです。
従来のエンタープライズ・ソフトウェアはデータとワークフローを中心に構築されていました。APIはまずシステムで実行できる操作を定義し、次にワークフローはタスクの順序を定義します。しかし、「次に何をすべきか」の判断は、常に人の解釈に依存していました。
これに対し、エージェント型アプリケーションは、まったく異なるモデルを提供します。
APIは、実行できる内容を定義します。しかし、エージェントが次に何をすべきかを判断し、それを実行まで推進します。
このモデルでは、エージェントは次の要素を担います。
これにより、エンタープライズシステムは単なる記録から脱却し、成果を創出する存在へと進化します。
この新しいアーキテクチャでは、アプリケーションは指示を待機しません。ビジネスの状態を継続的に評価し、事前定義された目標に向けて前進します。
これこそが、「自律型エンタープライズ」の基盤となる考え方です。
エージェント型アプリケーションは、既存ソフトウェアに単に自動化を追加したものではありません。それは、エンタープライズシステムの在り方そのものを変える「アーキテクチャの転換」を意味します。以下の図はその違いを示しています。
この変化により、アプリケーションは単なる受動的なデータベースではなく、業務に積極的に関与する存在へと進化します。システムは、静的なワークフローではなく、専門的なエージェントのチームを通じて運用され、それぞれが予測、スケジューリング、ポリシー・コンプライアンス、財務調整などの専門知識の領域を担当します。
これらのエージェントは共通の成果目標に向けて連携し、新たなデータを継続的に評価しながら、状況の変化に応じてアクションを最適化していきます。その結果、ユーザーが手動で調整するのを待つのではなく、作業を進めるソフトウェアになります。
自律型エンタープライズは、人の役割を排除するものではありません。むしろ、人とシステムの間での権限のあり方を再定義するものです。
エージェント型アプリケーションを使用すると、組織は3つのレベルの自律性を操作できます。
これらのモデルにより、企業は信頼性と確信を高めながら、段階的に自律性を拡張していくことが可能になります。
エージェント型アプリケーションは、特定の機能領域に限定されるものではありません。サプライチェーン、人事、財務、カスタマーエクスペリエンスといった中核業務プロセスに専門知識を組み込み、企業全体にわたって機能します。以下はその一例です。
いずれの場合も、アプリケーションは単なるレポート・システムではなく、アクティブな運用パートナになります。
エージェント型アプリケーションは、システム・オブ・レコードに直接組み込まれることで、最大の価値を発揮します。その理由はシンプルです。重要なのは「コンテキスト」だからです。
システム・オブ・レコードには、財務取引、人事情報、サプライチェーンの運用データ、顧客とのやり取りなど、信頼性の高い業務データがすでに蓄積されています。
エージェントがこの環境内で動作することで、安全に業務を遂行するために必要なコンテキスト、権限、ガバナンス(ガードレール)を自然に備えることができます。これにより、エージェントは完全なビジネス状態を理解し、ポリシーを一貫して適用し、実際のトランザクションを実行し、監査可能性とガバナンスを維持できます。
この基盤がなければ、エージェントは接続されていないツールのままになります。しかし、システム・オブ・レコードに組み込まれることで、自律型エンタープライズを支える中核的なエンジンへと進化します。
エージェント型アプリケーションへの移行は、新しいテクノロジー機能だけでなく、組織の運営方法も変わります。
この新しいモデルでは、専門知識をシステムに直接組み込むことができ、待ち行列ではなく作業が継続的に進行し、チームはその規模をはるかに超えて影響を拡大できます。
エージェント型アプリケーションを使用すると、組織はワークフローの管理から結果の管理に移行できます。これにより、エンタープライズ・システムで次のことが可能になります。
これこそが、「自律型エンタープライズ」の到来です。
Oracle Fusion Applicationsは、この変換をサポートするように設計されています。Fusion Applications は、ERP、HCM、SCM、CX を統合されたデータモデル上で提供しているため、エージェントは企業全体の業務コンテキストの中で動作します。
これにより、Oracle のエージェント型アプリケーションは以下を実現します。
このモデルにおいて、システム・オブ・レコードはシステム・オブ・アウトカムへと進化し、Oracle Fusion Applications は自律型エンタープライズを実現するためのプラットフォームとなります。Fusion Applicationsにおけるエージェント型AIの詳細を参照してください。
働き方そのものを再定義する「成果起点のシステム」について、ぜひご理解を深めてください。Oracle Fusion Agentic Applications は、専門性を持つAIエージェントが連携して動作する、新しいクラスのエンタープライズアプリケーションです。成果志向でプロアクティブに行動し、推論能力を備え、企業での実運用を前提に設計されています。
Oracle Fusion Agentic Applicationsの概要