Oracle Cloud 顧客事例

自動車産業が集積する名古屋発
リアルなIoTソリューションとは

 

「ワンストップソリューション・グローバルサプライヤー」を目指し、電子デバイスからシステムまで広範なベストプラクティスを提供する萩原電気。中部地区に集積する自動車産業を中心に培ってきたFAや産業用コンピュータなどの技術をベースに、ものづくりを次のステップに進化させる「Hagiwara IoT One Solution」を打ち出した。IoT(Internet of Things)を“現実解”とするそのソリューションに、数多くの製造業から注目が集まっている。

今後のものづくりにとってIoTは当たり前に進むべき道

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萩原電気本社(名古屋市)

 激しく移り変わっていくITトレンドの中で、「IoT」あるいは「インダストリー4.0」といったキーワードも、もはやすっかりバズワードになってしまった感がある。しかし数多くの製造業、中でも日本の基幹産業を背負って立つ自動車関連メーカーが集積する中部地方・愛知県に足を運んでみると、雰囲気はかなり違っている。

 商社とメーカーの2つの顔を併せ持ち、センサーデバイスからITシステムまで広範なソリューションをワンストップで提供している萩原電気上席執行役員の岡山徹雄氏はこのように語る。

 「先日も当社の名古屋本社でIoT関連のセミナーを開催したのですが、定員を大きく上回る申し込みをいただきました。当日のアンケートでも、『自社まで来て、もっと詳しい説明をしてほしい』『デモンストレーションを見せてほしい』など、かなり前向きな回答をいただきました。通常であれば営業担当者の訪問に尻込みするお客様が多い中で、これは私たちにとっても異例の出来事です」

 今後のものづくりにとって、IoTは「当たり前に進むべき道」「絶対に必要なもの」という認識が広がっているようだ。

 「そもそも製造業にとって、IoTは特別なものではないのです」と語るのは、萩原電気技術センターシステム開発部の部長を務める市岡光徳氏だ。「IoTビジネスの本質は、当社が30年来手がけてきた資産とノウハウを活かせるFA(Factory Automation)の次世代型にほかなりません。お客様の間でもIoTは、M2M(Machine to Machine)と呼ばれていた時代からの延長線上にある技術として認識されています」(市岡氏)。

 グローバル競争を勝ち抜いていく「より強いものづくり」を実現するため、現実解となったIoTを活用して次のステップに進みたいという製造業の真剣な熱意が、ここにきて大きく高まっているようだ。

IoTとクラウドは非常に相性が良い

 そしてこの機を掴むべく、萩原電気が2016年5月より提供を開始したのが「Hagiwara IoT One Solution」である。

 「インダストリーIoTモニター」と呼ばれる稼働モニタリングシステムを核として、同社がもともとFA分野で得意としてきたセンサーネットワークユニット、エッジコンピューティングなどの技術を統合。さらに、その基盤上でアプリケーション開発やビッグデータ解析などの他社製品も含めたソリューションを包括的に提供するというものだ。

 各工場に配置したセンサーネットワークを通じて各種設備の加工や生産にまつわるデータを取得すると共に、インターネットやモバイル回線を介してデータベースに収集・蓄積する。また、収集されたデータはダッシュボードを通じて、経営者から現場の担当者までそれぞれの業務や役職に応じたレベルで可視化される。「こうして“見える化”されたデータを、生産やサプライチェーンの効率化、製造プロセスのカイゼン、不良の削減、装置故障の予兆検知などに役立てることができます」と、市岡氏は説明する。

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Hagiwara IoT One Solutionのシステム構成例

 そして、萩原電気がこのHagiwara IoT One Solutionを展開するにあたり、大きく舵を切ったのがクラウドの本格的な活用である。「なぜならIoTとクラウドは、非常に相性が良いからです」と岡山氏は指摘する。

 生産現場の様々な装置からセンサーデータを集めるIoTはその特性上、データ量が爆発的に増大していく可能性がある。しかし、どれくらいのコンピューティングのリソースを用意しておけばよいのか、最初の段階から算出することは困難だ。また、具体的な成果を読み切れない導入期は、PoC(概念実証)や実証実験からスモールスタートしたい。「いずれにしても、いきなりオンプレミスのハードウエアに多額の投資はできないというのがお客様の本音です。その点、クラウドなら小さく気軽に始められます。将来的なデータ増大に対しても柔軟なスケーラビリティーを確保できるのです」と岡山氏は語る。

より強力なソリューションを提供するタッグへ

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生産設備の稼働状況などがビジュアルに分かるHagiwara IoT One Solutionの画面例

 ただ、これまで多くの製造業がFAやM2Mのシステムを築いてきたオンプレミスの基盤とはまったく異なる、新しいプラットフォームとしてクラウドを提供したのでは、生産現場に混乱を引き起こしかねない。「お客様にとって、データを集めて処理する基盤が、オンプレミスであろうがクラウドであろうが関係ありません。これまで当然として行ってきたオペレーションを、どちらの基盤を使ってもまったく同様に実行できることが前提となります」と市岡氏は強調する。

 実際、製造業における生産系や業務系システムにも、業界標準のデータベースとなったOracle Databaseは既に深く浸透している。そうした中に一般的なパブリッククラウドサービスが提供している独自アーキテクチャーのデータベースを導入した場合、これまで培ってきた運用ノウハウもツール群も使えなくなってしまうことがある。

 そこで萩原電気がHagiwara IoT One Solutionのクラウド基盤のデータベースとして採用したのが、「Oracle Database Cloud Service」である。萩原電気技術センターでシステム開発部主任を務める伊藤義晃氏は、次のように話す。「Oracle Database Cloud Serviceは、オンプレミスのOracle Databaseと完全に同じアーキテクチャーで作られているため、これまで慣れ親しんだツールやオペレーションはもちろん、セキュリティー対策のポリシーもそのままクラウドに継承し、迅速に運用を始められます。新たにIoTに踏み出そうとするお客様に、これ以上ない安心を提供できます」。

 そしてこれを機に、「オラクルとの共創をさらに深めていきたいと願っています」と岡山氏。センサーネットワークやエッジコンピュータなどのFA分野において、数多くのノウハウと実績を持つ萩原電気だが、一方で業務アプリケーションやビッグデータ解析などの上位レイヤーについては、まだまだ手薄な面があることも否めない。「MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)を境に、上位レイヤーに強いオラクルと下位レイヤーに強い当社がタッグを組めば、より強力なIoTソリューションをお客様に提供できるに違いありません」と岡山氏は、今後を見据える。

 日本の製造業に新たな価値をもたらすべく誕生したHagiwara IoT One Solutionは、これからが進化と発展の本番なのである。

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※本記事は、nikkei BPnet特番サイト「Digital Transformation」に掲載された記事です。

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