Oracle Cloud 顧客事例

地方自治体発・本格的デジタル
マーケティング!
宮城県丸森町はクラウド活用で
人口減少に立ち向かう

 

宮城県最南端に位置し、福島県と接する丸森町は人口減少が続く現状を打破しようと、2016年4月「まるもり移住・定住サポートセンター」を開設。移住者の獲得に向けた活動を開始した。その活動の一環として、訪問客や丸森に関心を持っている人を顧客と見立ててCRM(Customer Relationship Management)に着目した。訪問客の動態情報の収集、動態の一覧表示、動態のアドホック分析の3つをクラウドサービスで行い、施策の改善や新たなプロモーションの提案につなげることにした。

人口減少を食い止めるためのまさかの一手

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「HELP!MARUMORI NEXT TOWNSMAN PROJECT」のWebサイト

 日本の人口がこのまま減り続けると、2040年頃には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなるといわれている。自治体消滅の危機を回避しようと、今、全国の自治体では都市部からの移住者を招き入れるなど、様々な取り組みが行われている。その中で、自分たちが危機にあると率直に語り、抱える課題を解決してくれる移住者を求めていると呼びかけているのが宮城県丸森町だ。

 丸森町は、2016年4月に移住を検討している人たちのワンストップ窓口になる「まるもり移住・定住サポートセンター(愛称:じゅーぴたっ)」を開設。「たすけてください!どうか丸森の人になって町を救ってください。」と直接的なメッセージを発信するHELP!MARUMORI NEXT TOWNSMAN PROJECTをスタートさせた。

 丸森町は宮城県の最南端に位置し、南西部は福島県に隣接する。町の北部を阿武隈川が貫流し、阿武隈高地の支脈で囲まれた盆地状の町である。「町全体が中山間地で、平成27年の国勢調査では人口減少率が9.79%と県内ワースト6位で、人口減少に歯止めがかかりません。また少子化・高齢化も深刻で、年間の出生数は70名強、高齢化率は37.85%に上ります。その結果、住民力やコミュニティの力が低下してしまい、行政への依存度が高まっています。一方で、役場はこうした深刻な事態に対して、なかなか思い切った施策が打ち出せない状況が続いていました」と丸森町役場 子育て定住推進課 定住推進班の班長である安島和仁氏は語る。

 こうした状況を打破するべく、サポートセンターは移住希望者の住まい・仕事・子育てなどに関するワンストップ相談窓口、移住希望者向けの各種イベントの開催、受け入れ側の地域でのサポート・意識の醸成の3つを目標に掲げ、活動している。

 さらに丸森町では、政府が2016年度に地方創生の深化のための新型交付金(地方創生推進交付金)を利用して、ICTを活用した他自治体では取り組まれていない、新たな事業の検討を始めることにした。

移住希望者や観光客を「顧客」と考える!
クラウドのCRMを活用した役所らしからぬ施策

 「実は、丸森町には町内全域に光ファイバー回線が敷設されていて、それをフルに使うことが可能です。同じ時期に同じ環境を整備した徳島県神山町ではそれをうまく活用して情報を発信し、ITベンチャー企業が次々にサテライトオフィスを開いています。丸森町が同じことだけをやっても、近隣の白石市や角田市など人口の多い自治体が同じことをやり始めたら、埋もれてしまいます。ですから、“とんがっていこう”というコンセプトでICT活用の企画を練りました」(安島氏)。そこで、丸森町が着目したのがCRMだ。他の自治体がまだ取り組んでいない移住をテーマに、移住希望者や移住者となり得る観光客や町への訪問客を顧客と考えて、その人たちの行動を把握・検証して、施策の改善や新たなプロモーションの提案につなげようというのである。

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自然あふれる丸森町に訪れる観光客の行動をICT活用で把握・分析する

 そのために、いくつかのCRMソリューションを比較検討した結果、様々なクラウドサービスの中から、訪問客の動態情報を収集するための「Oracle Database Cloud」、訪問客の動態を一覧表示・可視化するための「Oracle Java Cloud」、訪問客の動態をアドホック分析するための「Oracle Data Visualization Cloud」を利用して動態把握を行うことにした。

 

住民が自立して好きなように生きることをICTで支援する

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丸森町が導入したオラクルのクラウドサービス

 「オラクルのクラウドを選んだ最大の理由は操作画面が簡単なことです。将来、サポートセンターを民間の運営に移すことも視野に入れた場合、それは重要な要素でした。また、世界的な企業との連携・協業による発信効果も大きいと考えましたし、なによりオラクル様の地方創生に関する熱い意気込みにも感銘を受けました」(安島氏)。

 その上で、2016年10月には、丸森町は日本オラクル、レノボ・ジャパン、「住みたい田舎」全国1位の鳥取県岩美町など7者で、「高度ICTを利活用した移住・定住・交流促進パートナーシップ協定」を締結。CRMデータの蓄積・解析基盤の整備と町の取り組みを広く発信するためのプロモーション活動の企画を本格的に開始した。

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訪問客の動態をアドホック分析する「Oracle Data Visualization Cloud」とは

 CRMシステムでは、訪問者がどんなルートで、どこに行き、どれだけの時間を費やしているかを把握するためにタブレットを貸し出し、町内の回遊データを収集する。

 併せて、「丸森移住アプリ」を開発し、それをダウンロードして使う人々が発信するSNS情報を収集、蓄積。それらのデータを分析することで、移住に関する施策の改善やプロモーションにつなげていこうと考えている。

 「移住者には様々なタイプがありますが、サポートセンターに相談に来て移住した人のケースから見ると、まず大事なのは交流して丸森町のことをしっかり知ってもらうことに尽きます。観光・交流で来ていただいた延長上に移住があると考え、協定にも『交流』という言葉を入れました。また観光、交流で来る人たちはSNSで情報を発信する可能性が高く、それらは多くの人に丸森町のことを知ってもらうきっかけになると思います」(安島氏)。

 CRMシステムは2017年2月に稼働する予定で、丸森町ではシステムを活用することで、ICTを使って、地域課題を解決する先進自治体への飛躍を目指している。

 町民が幸せなまちづくりを考えた時に、単に移住者が来て人口が増えただけでは、元から暮らす住民にはそのメリットを感じることは難しい。実際に、町を出ていた息子や娘が戻ってきたり、空き家になっていたところが空き家でなくなったというような住民が体感できるようになることが大切だ。そのために、サポートセンターでは、若者に焦点をあてた「まるもりローカルベンチャーツアー~田舎でみつける自分らしい働き方~」も企画。仙台、山形、福島、東京からチャーターしたバスでのツアーを実施、2017年2月にはインターンシップも計画している。

 「自治体職員は住民福祉の増進のために働くことが法律で定められています。それを突き詰めていくと住民一人ひとりの幸せの実現となりますが、価値観が多様化する中で幸せの形はそれぞれです。そう考えると、幸せとは住民1人1人が自立して、自分の好きなように生きることができることではないかと私は思うのです。それを支援する1つの手段として、ICTを活用した取り組みがあり、今回のクラウドサービスによるCRMはその一歩です」と安島氏は強調する。

 近い将来、地方創生の旗手として丸森町の名前を耳にすることがあるかもしれない。

【関連情報】
>> 2016年のIOUGデータベース・クラウド調査

※本記事は、nikkei BPnet特番サイト「Digital Transformation」に掲載された記事です。

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