Oracle Cloud 顧客事例

アパレル業界の常識を超える EC化率50%も視野に
ナノ・ユニバースの販売戦略を支えるもの

 

クロスチャネル戦略を推進している小売業は多い。しかし、一見すると同じようなクロスチャネル戦略を展開している小売業の間にも“明暗”が分かれてきているようだ。例えばアパレル業界に注目すると、事業全体の売り上げの中でオンラインストアの売り上げが占める割合、いわゆる「EC化率」は平均で5~8%程度にとどまっているのが実情だ。そうした中で業界の常識を超えるEC化率40%を達成し、さらに50%への拡大を視野に入れているのがナノ・ユニバースだ。

どのチャネルでも変わることのないナノ・ユニバースの世界観を共有

ナノ・ユニバースの世界観を共有した店舗

 本来、クロスチャネルが目指すのは、顧客に対して「店舗でもネットでも、どちらでも顧客に適したチャネルで買ってもらえる」ための仕組みを提供することにある。

 それにもかかわらず思ったようにEC化率が伸び悩んでいるとすれば、そこには根本的な問題があると言わざるを得ない。結局のところ、顧客にとってはまったく別物の店舗とオンラインストアが並立しているだけの“マルチ”なチャネルになってしまっているのだ。これでは店舗とオンラインストア間での相互送客などあり得ず、ましてやシナジーを発揮した全体売上の向上など期待できるはずがない。

 一方、クロスチャネル戦略を推進することでアパレル業界の平均値を大幅に上回る「40%」という驚異的なEC化率を達成した企業もある。ヨーロピアンカジュアルを主軸としたセレクトショップとして、全国に約65店舗および8つのオンラインストアを展開しているナノ・ユニバースだ。

 同社が推進するクロスチャネル戦略の背後には、どのような成功の秘密が隠されているのだろうか。ナノ・ユニバースでWeb戦略部に所属する野口瞳氏が強調するのが、店舗とオンラインストア間の徹底した連動性の追求である。

 「2014年に自社オンラインストアをリニューアルしたのですが、それを機に各店舗が発行していたメンバーズカードを廃止し、店舗でもオンラインストアでも共通で使えるアプリ入会のメンバーズに一本化しました。店舗かネットかを問わず、あらゆるチャネルからお客様に旬の情報をお届けするとともに、登録する情報項目に応じて購買時のポイント還元率をアップしたり、来店時のチェックイン回数に応じてポイントを付与するスタンプラリーのような要素を取り入れたりすることで、店舗とオンラインストアの一体感を高めてきました」(野口氏)

 さらに、同部の栗原仁氏が次のように続ける。

 「私たちがクロスチャネル戦略で最も大切にしているのは、どのチャネルであっても変わることのない『ナノ・ユニバースの世界観』を共有することです。この基本思想を体現するためにWeb戦略部内にコンテンツ制作チームを置き、店舗内のデジタル・サイネージからPOP、Webサイト、スマホアプリにいたるまで一貫したデザイン・コンセプトを展開し、お客様との緊密なコミュニケーションを醸成しています」(栗原氏)

 クロスチャネル戦略をさらに強化すべく、ナノ・ユニバースは次なる手を打った。2016年3月、新たな武器としてOracle Marketing Cloudのクロスチャネル・マーケティング・プラットフォームであるOracle Cross-Channel Orchestrationを導入したのである。

シナリオに沿った条件を設定するだけで最適なタイミングで最新情報を自動配信

ナノ・ユニバースの世界観を共有したWebサイト

 顧客とのコミュニケーションがWebサイトからメールマガジン、モバイルアプリによるプッシュ通知へと多様化していく中、既存の仕組みの下では一人ひとりに対する細かいフォローが困難になってきていた。この課題をOracle Cross-Channel Orchestrationならば解決できると期待しての導入だ。

 「ナノ・ユニバースのメンバーズをご利用いただいている会員数は、既に約80万人に達しています。例えば特定のお客様にメールマガジンを送りたい場合、これまではその都度顧客データベースから条件を選んで対象を抽出し配信設定をするといった、大変な手間と時間を要していました」と野口氏は振り返る。その点、Oracle Cross-Channel Orchestrationであれば、思い描いたペルソナとシナリオに沿った条件を設定するだけで、あとは最適なタイミングで最適な顧客に、その顧客に向けた内容のメールが自動的に配信される。

 「Web戦略部の限られた人数で、デジタル・マーケティングのPDCAサイクルを効率よく回すことが可能となりました。私たちとってOracle Cross-Channel Orchestrationは、今ではなくてはならないツールになっています」と栗原氏も語る。

 例えば、店舗への来客に対して重点的にスマホアプリ会員の勧誘を行うほか、店内に設置したビーコンから収集した来店履歴、販売員が対面で行った接客履歴などの情報を集約して顧客の好みやニーズを分析し、ターゲットとするペルソナやシナリオの策定、配信するコンテンツにフィードバックできる。

 また、Webサイトでの行動履歴と組みあわせることで、オンラインストアのカート上に商品が残っている顧客にメールマガジンでリコメンドしたり、購入率が特に高い顧客を厳選してVIP専用キャンペーンを案内したりといった、タイムリーな施策を柔軟に展開することが可能となった。

 「さらにメールマガジンのデザインを変更する際も、GUI上でABテストを簡単に設定して実施できるなど、『どっちがカッコイイ』といった主観的な判断だけに頼らない、誰もが納得できる施策を打てるようになったことも、Oracle Cross-Channel Orchestrationの大きな導入効果です」と野口氏は語る。

内なるクロスチャネルの改善にも目を向けショールーミングの効果を可視化する

ナノ・ユニバースが活用するOracle Cross-Channel Orchestration

 オラクルのプロフェッショナルサービスのサポートも受けながら、今後に向けてナノ・ユニバースは、Oracle Cross-Channel Orchestrationのさらに高度な活用を進めていく考えだ。そこでのテーマの1つがOne to Oneのコミュニケーションの実践である。

 「オンラインストアで商品を買っていただいたお客様に対しても、『そろそろお手元に商品が届いた頃かな』『すぐに着用して気にいってもらえたかな』と、私たちは様々な思いを巡らせています。お客様からもナノ・ユニバースに対して一番関心を向けていただけると思われるそのタイミングで、関係性をより深めていくための問いかけやお役立ち情報の提供を行っていきたいのです」と栗原氏は語る。

 一方、野口氏は各店舗の現場とオンラインストアをつないだ「内なるクロスチャネル」の改善に目を向けている。各店舗の販売員からは「メールマガジンやPUSH通知を見たお客様や、オンラインストアで店舗在庫を確認したお客様が来店してくださいました」という声も寄せられており、クロスチャネル戦略は店舗とオンラインストア間の相互送客でも貢献しているという。「しかし販売員による接客が、その後のオンラインストアでの売上にどうつながったのかといったところまではまだ数値化できていません。ナノ・ユニバースが全社を挙げて推進している『積極的ショールーミング』の効果を可視化することで、店舗側のモチベーションを高めることができ、オンラインストアとのさらに一体感を持ったスムーズな連動を実現していきたいと考えています」(野口氏)。

 「EC化率は50%まで高めたい」というナノ・ユニバースだが、「お客様に店舗とECを行き来していただき、店舗・ECともに向上していきたいです」と栗原氏は話す。店舗とオンラインストアの相乗効果で、新規顧客を含めたナノ・ユニバースのファン層の拡大を目指す。

【関連情報】
>> Oracle Marketing Cloud

※本記事は、nikkei BPnet特番サイト「Digital Transformation」に掲載された記事です。

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