Oracle Cloud 顧客事例

もはやERPは
大企業だけのものではない!
クラウド型ERPを活用した
「おこわ職人」たちの挑戦

 

旧来のパッケージ型ERPは、大企業の基幹業務を支える基盤であり、導入にも運用管理にもITスキルを要するものだった。だが、クラウド型ERPの登場で状況は大きく変わった。企業規模や業種を問わず、どんな業種でも柔軟かつ手軽に導入できるビジネスの武器となった。全国におこわ専門店を展開する米八グループは、クラウド型ERPで経営に関わる数字の見える化を実現した。

勘と経験の店舗運営が、情報管理・活用の遅れを招く

デパ地下を中心に展開する米八の店舗(東京ミッドタウン店)とおこわやお弁当

 デパ地下といえば多彩なテナントが競い合うグルメの最前線だが、その激戦の中で「おこわ」の専門店としてブランド力を高め、成長してきたのが、東京都武蔵野市に本社を置く米八グループだ。デパ地下テナント店舗の運営管理に特化した米八東日本、米八西日本、全国のテナントへ食材・包装資材のサプライおよびおこわ弁当の宅配事業を手がけるプラス米八の3社を100%子会社として傘下に持つホールディング会社である。

 創業から40年を迎えた現在、髙島屋、伊勢丹、阪急百貨店、大丸松坂屋といった有名デパートを中心に、グランスタ東京やエキュート大宮に代表される駅ナカ、さらには東名・海老名など高速道路のサービスエリアまで、全国に104店舗を展開している。従業員もグループ全体で約850人におよんでいる。

 多くのファンから愛される米八の魅力は、素材から製法まで一切妥協しない徹底した“こだわり”にある。選りすぐりの国産もち米と、四季折々の旬の食材を生かしたおこわや弁当。生のもち米を研ぐ(洗う)、寝かせる(乾燥させる)、蒸すといったそのすべての工程を、材料の特性やくせを知り尽くした「おこわ職人」が、一つひとつ各店舗で手づくりしているのだ。

 とはいえ、そんな職人たちのこだわりが、時として経営の足かせとなってしまう場合もある。米八グループ人事総務部部長の舩橋篤氏は、こう語る。

 「各店舗では職人気質の方々が店長を務めているのですが、特に40代以上のベテラン店長たちを中心に、店舗業務へのIT導入に否定的であったため、勘と経験の店舗運営をしていました。そのため、情報管理や活用面で大きな遅れが生じていたのです」

 例えば各店舗の売上情報についても、店長が手書きした帳票をファックスで送信。それを受け取った本部スタッフが改めてExcelにデータ入力し、経営陣やマネジメント向けの資料を作成するという具合だ。こうした事情から、全社レベルでのIT活用は一向に進まなかった。経理、人事、購買、営業などの部門も別々のシステムを使っており、全く連携が取れなかったのである。

店舗収益を最大化させることが生き残りの必須条件に

 かつての高度成長期やデパ地下ブームの時代と違って右肩上がりの販売増を続けることが難しい現在、米八グループにとっても緻密な原価管理や予算実績管理によって店舗収益を最大化させることが、生き残りのための必須条件となる。

 そこで検討を始めたのがERPの導入だ。「まずは手作業のデータ入力や集計から脱却することが急務。さらに、将来的に財務のみならず、人事や販売管理、顧客管理、在庫管理まで統合していく必要があることを考えれば、やはりベストな選択はERPであると考えました」と舩橋氏は、その理由を語る。

 2008年頃から米八では、大学新卒や30代前半の中途社員の採用を積極的に進めてきており、近年、若手社員たちが、徐々に店長クラスに育って活躍し始めていることも追い風となった。「例えば何をどのくらいつくるのかといった店舗運営の根拠(データ)の必要性を訴える若手が増えてきたのです」と舩橋氏は言う。

 そうした中で米八グループが出会い、導入に至ったのがオラクルの「Oracle ERP Cloud」である。選定の決め手となったのは、「クラウド型のサービスであること」だ。

 そもそも米八グループの社内には、システム導入や運用を担えるITスタッフは1人もいない。実際、ハードディスクの故障に気づかないままサーバーの運用を続けて大きなトラブルを起こした苦い経験も一度ではない。「もう社内にハードウエアは持ちたくないのが本音」(舩橋氏)だという。

 「バージョンアップやバックアップなどの保守管理、電源・無停電装置や有線社内LANのインフラの整備、セキュリティ対策などのストレスからも解放されたいですし、店舗においてもトレーニング不要で扱える負担の軽い仕組みであることが求められます」と舩橋氏は語る。そんな米八グループのクラウドに対する要求をしっかり受け止め、力強くサポートを約束したのが、オラクルとそのパートナー企業である中本アンドアソシエイツだったという。

iPadで簡単にリアルタイムの数字を把握

米八グループでのOracle Fusion Transaction Business Intelligenceの活用例
店舗別の売り上げやその構成比率の比較などが、リアルタイムに簡単に行える

 Oracle ERP Cloudのプロジェクトは2015年12月初旬にキックオフし、2016年4月18より本番稼働を開始した。米八グループにとっての超繁忙期である年末年始を除き、実質3カ月という短期導入の実現である。

 現場に無理にシステムを押し付けても定着は難しいのではないか、と思うかもしれない。ところが、実際は真逆だった。これまでITに抵抗感を持っていたベテラン店長たちも、率先して新システムを使い始めたのである。

 最大の成功要因は、Oracle ERP Cloudの利用環境としてiPadを活用したことだ。ベテラン店長たちもプライベートではスマホを使い慣れており、同じ感覚で使えるiPadであればPCのような抵抗感はない。「半日程度のトレーニングを受けたグループ長が担当店舗をまわって操作をちょっと教えるだけで、すぐに勘所をつかんでくれました」と舩橋氏は振り返る。

 実際に操作してみると、ビジネス・インテリジェンス機能の「Oracle Fusion Transaction Business Intelligence」を使って、店舗スタッフは自店舗のみならず他店舗の売り上げや個別商品の販売動向、損益の推移も、ほぼリアルタイムに把握できる。すなわち、自分たちの店の売り上げがグループ全体の中でどの位置にあるのかといった状況も、リアルタイムかつ一目瞭然に見えてくるのだ。「もともと店長たちが持っていた好奇心、ライバル心を、上手く刺激することができました」(舩橋氏)。

 さらに、予想以上の効果をもたらしたのが、Oracle ERP Cloud のSNS機能である。例えば各店舗が商品の陳列やPOP、弁当の盛り付けなどの様子をカメラで撮ってアップロードすると、それが全社的なルール通りに行われているかどうか、本部スタッフや他店舗からもチェックの目が入る。また、独自の工夫に対しては、経営トップやグループ長からも成果のねぎらいや激励のコメントが寄せられる。

 「全国に店舗がある当社では、全員が同時に顔を会わすことも難しいのです。SNS機能を使えば、一つの店舗の成功体験が、全ての店舗に簡単に共有されていきます。また、これまで独立独歩の店舗運営で薄れがちだった会社に対する帰属意識も、高まってきたような気がします」と舩橋氏は語る。

米八グループでのOracle ERP Cloud のSNS機能の活用例
全国に店舗がある米八グループでは、情報共有に非常に有効だという

 このように米八グループでは、Oracle ERP Cloudはまずは管理会計やビジネス・インテリジェンスを中心に活用を開始した。今後に向けて同社では、店舗の収益最大化を目指す中でさらに予算実績管理や発注業務の予測精度を高めていくほか、本来の目的の一つである財務会計との統合も進めていく計画だ。「軌道に乗り始めた新ビジネスのECサイト(http://plus-yonehachi.com/)における宅配弁当事業でも、このクラウドを有益に活用したいと考えています」と舩橋氏。Oracle ERP Cloudを基盤に米八グループは、経営のスピードアップと変革への取り組みを、さらに加速しながら推進していく意気込みだ。

【関連情報】
>> 本物のERPをクラウドで 中堅企業の成長と成功を担う最新のプラットフォーム
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※本記事は、nikkei BPnet特番サイト「Digital Transformation」に掲載された記事です。

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