Thomas Wilimitis |コンテンツ・ストラテジスト| 2024年2月16日
ビジネスの場での営業は、自由奔放で何でもありというものではありません。企業内のすべての営業担当者が既存顧客や潜在顧客の市場全体をただ追いかけているような営業戦略は、すぐに営業担当者を混乱させ、非効率化し、おそらく、顧客も同じビジネスの複数の人間から電話が来て迷惑を被ることになるでしょう。営業テリトリー計画は、営業担当者がどの潜在顧客の獲得に取り組むべきか、また取り組むことができるかを把握するためのガイドラインと戦略を策定します。これにより、営業担当者は取り組みに効率的に注力し、アプローチを専門的に行うことができるように支援します。
営業テリトリーとは、セールス・チームまたはセールス・チームのグループに割り当てられた個別のカスタマー・セグメントです。テリトリーは、都市、地域、または国によって地理的に分類されることがよくありますが、アカウントのサイズ、業界、または販売している製品やサービスなどの要因によってセグメンテーションされる場合もあります。営業テリトリーは、現在および潜在的な顧客全体を、営業担当者が扱えるように管理しやすいグループに分割したものです。これにより、営業組織が市場のカバレッジを最適化し、より幅広いビジネス・ゴールと一致するよう支援します。そして、セールス・チームは市場の特定のセグメントに合わせてアプローチをカスタマイズしやすくなるため、より効果的に営業活動を行うことができ、さらには獲得案件数の増加も期待できます。
営業テリトリー計画とは、セールス・リーダーが顧客市場のセグメントを定義し、異なるチームに割り当てるプロセスです。テリトリーの設定において、通常用いられる要素は地理的なものですが、アカウントのサイズ、業界、販売する製品なども一般的にテリトリーを構成する要素となります。たとえば、ロジスティクス・サービスプロバイダーに営業活動を行う担当者は、輸送および倉庫サービスを必要とする米国中東部のメーカーを担当テリトリーされることがあります。テリトリーを定義する要因の構造を確立することが最初のステップです。次のステップは、定義されたそれぞれのテリトリーにセールス・チームを割り当て、チームがそのテリトリーから生み出せるべき販売数量のノルマを設定することです。
市場機会は営業テリトリー計画に考慮されます。テリトリーの分割と割り当てでは、顧客需要と収益性に関する履歴データが考慮されます。たとえば、太平洋岸北西部の小売業の顧客は、過去3年間、中西部の小売業の顧客よりも食料品製品に対する需要が高かったことから、より収益性の高い地域をサポートするために、営業担当者をより多く割り当てる場合があります。あるいは、そのギャップにチャンスを見出し、未開拓の中西部市場に、より大きな販売投資を行う価値があると考えている可能性もあります。このような意思決定は、営業テリトリー計画がより広範なビジネス・ゴールおよび戦略と交差する部分で行われる必要があります。組織には、営業テリトリーを決定し、その上で結果を測定して、現在のアプローチが最も効果的かを判断するために、最新のデータとトレンド分析が必要です。
営業テリトリー計画における最大の課題を教えてください。
営業テリトリー計画で最も難しいことは、最大限の収益を推進するために適切なバランスをとることです。組織は市場全体のカバーを望みますが、最も収益性の高いテリトリーに多くの営業リソースを割り当てるのか、それとも未開拓の市場を獲得するために、業績不振のセグメントに優秀な営業人材をより多く割り当てるか、のいずれかです。セールス・リーダーは、これらの要素のバランスを取りながら、営業担当者が満足し、成功できると感じることのできるテリトリーを割り当てる必要があります。
営業担当者のテリトリー割り当てを決定する方法を教えてください。
営業担当者を特定のテリトリーにどう配置するかは、組織の広範なビジネス戦略によって決定する必要があります。新規の純増が目的であれば、有望でほぼ未開拓のテリトリーにパフォーマンスの高い営業担当者を配置したり、人員を追加することが最適である可能性があります。顧客維持とアップセルが最大の目的であれば、既存の価値の高いテリトリーに優秀な営業担当者とより多くのリソースを投入することが得策です。
テリトリーによる販売の違いについて教えてください。
組織によるテリトリーのセグメンテーション方法によって、販売方法は大きく異なる可能性があります。テリトリーの基準は地理だけではありません。たとえば、潜在顧客の企業規模や潜在的な取引規模に基づいてテリトリーを設定した場合、複数の承認者が必要となるため、販売サイクルが長くなる可能性が高いと考えられます。また、業種に基づくテリトリーも、セールス・エクスペリエンスに影響を与える可能性があり、たとえば、パブリックセクターや医療業界への販売には、これらの業界の規制やコンプライアンス要件に対する深い理解が必要となります。