Oracle Revenue Management and Billing担当シニア・ディレクター、Ajay Ramchandran
AIテクノロジーが広く導入されることで、金融サービス機関が収益管理や請求プロセスについて考える方法が大きく変わる可能性があります。
これら最先端のテクノロジーを適用できる可能性は、無限にあるように思われます。ただし、即座に長期的な成果が期待できる分野がいくつか存在します。最初の分野は、請求書の作成準備です。
請求シナリオが絶えず増え続ける中で、請求の正確性を確保するという基本的な課題は依然として残っています。多くの組織は、異常検出の手法として、依然として手動によるエラー・チェックとレポートに依存しています。これらの方法では、異常の根本原因を素早く特定することが難しく、多くの時間とリソースを費やすため、結果的に運用コストが増大します。多くの場合、請求書が発行された後に異常が検出され、これは顧客離れを招く主要因である請求紛争へと発展します。機械学習モデルは、請求書における異常なパターンを事前に特定することで、金融サービス機関が現状を打開するのに役立ちます。そして、このモデルは時間経過とともに継続的に学習し、請求の正確性を向上させます。また、このシステムは、異常を検知してユーザーに通知するプロセスを自動化するだけでなく、異常が検出された口座の請求を保留しつつ、他の口座の請求を遅らせないことも可能です。AIは、根本原因の分析を加速させ、調査にかかる時間と費用を削減し、より迅速な問題解決を促すこともできます。
たとえば、月ごとに請求を行う顧客がいたとします。その顧客のトランザクション・ボリュームの差異は毎月5%変動し、ホリデーシーズンには予測どおりの急増が見られます。ところが今年、銀行は1月にその顧客のトランザクション・ボリュームが突然急増したことを確認しました。AI対応のソリューションは、過去のトランザクション履歴に基づいて請求書の異常を特定し、その根本原因を突き止め、この異常や他の異常から学習することで誤検知を減らし、将来発生する実際のエラーを迅速に検出できます。
金融機関は、AIを搭載した収益管理および請求システムを活用することで、顧客との関係を強化し、ビジネスを拡大する機会を見つけることもできます。たとえば、モデルは、顧客の行動やトランザクションのパターンから、アップセルの機会や、ロイヤルティの高い顧客に対してより有利なレートや増額された信用枠を提供する可能性を検出できます。これらと同等のテクノロジーは、継続的な支払い遅延や資金不足といった不利な事態の解決を早める、より詳細な分析を可能にします。たとえば、顧客が一時的に支払い遅延を起こす根本原因が、特定の時期のトランザクション量急増にあると判明した場合、請求プランを平準化する提案は、タイムリーな支払いを確実にし、より良いカスタマー・エクスペリエンスを築くための有効な選択肢となり得ます。
オラクルは、AIをはじめとする新しいテクノロジーが、リスクを減らしつつ、収益管理と請求業務にこれまで以上のインテリジェンスと効率性をもたらす力を認識しています。そして、その機能をOracle Revenue Management and Billingに統合しています。高度な機能によって、組織は取引価格を最適化し、請求書の異常を特定し、その根本原因を迅速に突き止めることができます。また、チームがより強固で収益性の高い顧客関係を築く方法を見つける手助けにもなります。可能性は無限に広がっています。