急速に進化するデジタル・アシスタントにメーカーが注目

先進テクノロジー、産業戦略グループ、ソリューション・マネージャ、Paul Vallejo

各メーカーは、パンデミック後のビジネス環境に適応するうえで、さまざまな課題に直面しています。たとえば、以下のような課題があります。

  • 期待が高まっている顧客に働きかけるための、新しい方法を見つける
  • 従業員をリモートワーク環境に適応させ、施設で新しい安全ルールを実施する
  • ビジネス・プランニングを強化して、アジリティとレジリエンスを高める

このような問題に対処するための技術的ソリューションは数多く存在します。その1つが、AIを搭載したチャットボットであるデジタル・アシスタントです。

ほとんどのメーカーは、デジタル・アシスタントを迅速に実装することによってプロセスを自動化し、生産性を向上できます。デジタル・アシスタントは、以前のようなシンプルなチャットボットから、非常に高機能で柔軟なツールへと進化しています。B2BとB2Cの両方のコンテキストに関与する顧客と従業員は、人材管理(HCM)、カスタマー・エクスペリエンス(CX)、サプライ・チェーン管理(SCM)などのバックエンド・アプリケーションと統合されたデジタル・アシスタントを活用して、生産性とエンゲージメントを大幅に向上できます。

デジタル・アシスタントには、人事から購買まで、各部門の幅広いビジネス・プロセスの自動化を可能にする機能もあります。最新のデジタル・アシスタントは以下の機能をサポートしています。

  • リッチ・コンテンツの入出力(画像、署名、リスト、バーコード、チャートなど)
  • 業界に関連する複雑な会話を可能にする、ドメイン固有の語彙
  • チームが常に最優先のタスクを処理するのに役立つ、ボットによるアクションとアラートの起動
  • ナレッジ・ベースの検索と回答、ライブ・エージェントへの引継ぎ、複雑なポリシーの自動化、トランザクションやスケジューリングなどのプロセス実行を含む、その他の高度な機能

デジタル・アシスタントの利用によるカスタマー・エクスペリエンスの向上

デジタル・アシスタントは、リード・スコアリング、プッシュ・キャンペーン、パーソナライズされたマーケティング、構成/価格/見積り、その他の顧客関係管理タスクなど、マーケティング、販売、カスタマー・サポートの幅広いプロセスを自動化するのに役立ちます。たとえば、企業のカスタマー・サポートにデジタル・アシスタントを導入すると、サービス担当者や技術担当者を煩わすことなく顧客からの問い合わせの急増に対処し、顧客満足度を向上させることができます。サービス担当者や技術担当者は、より影響が大きいプロジェクトに集中できます。

このような例の1つとして、消費者向け電気機器メーカーであるBajaj Electricalsの事例を紹介します。同社はオラクルのデジタル・アシスタント・テクノロジーを使用して、顧客が電化製品に関する問題の報告、デモのリクエスト、設置のための技術者とのアポイントメントのスケジュール設定などを容易に行えるようにしています。これにより、コール・センターへの問い合わせ件数が減少し、コストが削減され、カスタマー・エクスペリエンスが向上しています。デジタル・アシスタントによる自動化と会話形式での対応によって、Bajajは従業員の作業時間を短縮しながら、非常にパーソナルに感じられる方法で顧客とやり取りすることを可能にしています。

人事管理へのデジタル・アシスタントの利用

リモートワークへの移行は、デジタル・アシスタントが企業による従業員の管理や情報伝達を支援する機会を生み出しています。デジタル・アシスタントは、従業員がリモートで働いている場合のオンボーディング、トレーニング、ITヘルプデスクへのアクセス、調達、経費管理、プロジェクト管理、給与計算などのタスクに役立ちます。デジタル・アシスタントを使用することで、工場のフロア、クライアントの拠点、オフィスのデスクなど、あらゆる場所にいる従業員が業務を自己完結できます。たとえば、従業員が手順に沿って複雑なタスクを実行したり、機械に関するライブ・ステータスの最新情報を提供したり、バックエンド・システムにデータを問い合わせたり、メンテナンスの問題を解決するために技術的な回答を見つけたりできるよう支援します。

従業員数が10万人を超える、米国に拠点を置く多国籍企業であるHoneywellでは、デジタル・アシスタントの従業員と管理者のセルフサービス機能を使用して、従業員のサポートを行ってきました。デジタル・アシスタントのこれらの機能は、顧客関係管理(CRM)ソリューションなどのサードパーティ・ツールと統合されているため、従業員のイネーブルメントとトレーニングにかかる運用コストの削減に役立ちます。新型コロナウイルス対策によって制限レベルが引き上げられている職場にエッセンシャル・ワーカーである従業員が立ち入る場合、デジタル・アシスタントを使用することで、全員が最新の安全規則を把握し、あらゆる質問や懸念に対処できるようになります。

ビジネス・プランニングへのデジタル・アシスタントの利用

デジタル・アシスタントは、ビジネス・プランニングの改善にも役立ちます。デジタル・アシスタントを使用することで、財務データや業務データへのすばやいアクセス、バックエンド・アプリケーションで機械学習によって行われたプランニング・シミュレーションの結果の取得、チームのメンバーへのプランニング・タスクの割当て、完了したタスクのステータスと結果についてのレポート作成が可能になります。

6,500人の従業員を擁し、15か所に製造工場を持つ化学製造企業であるSRF Limitedでは、デジタル・アシスタントをERPシステムと複数のバックエンド・アプリケーションと連携させて、リアルタイムのビジネス・インサイトとレポートを自社の幹部に提供しています。SRFの管理部門は、デジタル・アシスタントのセルフサービス型の機能によって、重要なデータを適切な相手に迅速に提供し、より適切なタイミングで意思決定を行えるようになっています。

以上のように、デジタル・アシスタントはそのスピーディーな実装、スケーラビリティ、あらゆるビジネス機能に対応する汎用性によって、多くのメーカーの投資収益率を高めています。デジタル・アシスタントによってさまざまなタスクが自動化され、販売、サポート、財務、人事などの部門の従業員の作業が軽減されるため、メーカーは運用コストを削減できます。反復作業の処理をデジタル・アシスタントに任せることで、チームがより戦略的なイニシアチブに集中できるようになり、従業員のエンゲージメントも向上します。社内でデジタル・アシスタントを活用する方法の詳細については、oracle.com/chatbotsを参照してください。