リアルタイム分析がビジネスにもたらす12のメリット

Jeff Erickson | 技術コンテンツ・ストラテジスト | 2024年9月18日

リアルタイム分析が注目を集めています。かつてはUberやDoorDashのようなモバイル・アプリベースのビジネスの領域でしたが、ストリーミング・データとリアルタイム分析は、全業界にわたりビジネスに不可欠な運用ツールとなっています。小売業から産業用機械製造までさまざまな業界において、リアルタイム分析は、より良い意思決定を迅速化するという目的だけでなく、それ以上の目的でデータを活用することを支援しています。リアルタイム分析によって、企業は運用や市場の変動を瞬時に検知し、次の出来事を高精度に予測することができるため、よりスマートでパーソナライズされた製品とサービスの設計、さらにはビジネス・プロセスの自動化によるビジネスの効率化と運営コストの削減が可能になります。以下では、ビジネスがリアルタイム分析のメリットを享受する方法の数々をご紹介します。

主なポイント

  • リアルタイム分析の利用が拡大しているのは、データを最も価値のあるときに迅速に活用できるようにするためです。
  • ビジネス・インテリジェンスと機械学習は、これまで不可能だったスピードとデータ量でデータを分析し、行動する機能を提供します。
  • リアルタイム分析により、人はより適切な意思決定を行うだけでなく、ビジネスの進め方を全面的に見直すことができるようになります。
  • リアルタイム分析の速度により、データベースと個別のデータ分析ツール間でデータを移動するための時間はほぼなくなります。

リアルタイム分析がビジネスにもたらす12のメリット

従来のデータ分析とは異なり、リアルタイム分析は将来の意思決定に情報を提供するだけでなく、チームが瞬時に行動を取れるようにすることで、ビジネスのまったく新しい実行手段を実現します。

3つのトレンドが融合し、リアルタイム分析がより多くの業界で貴重なものとなっています。

1つは、ソーシャルメディア・サイトや人工衛星および政府機関からの公開データなど、企業外のものも含めたデータ・ストリームがより利用可能となっていることです。もう1つは、ERPまたはCRMシステムなどのエンタープライズ・アプリケーション、モノのインターネット(IoT)デバイスおよびセンサー、メール、テキスト、動画などのソースから、企業内でデータ・ストリームが増加していることです。最後に、クラウドベースのソフトウェア・インフラストラクチャによって、こうしたデータすべてを管理し理解するために必要なテクノロジーが、より多くの企業にアクセスできるようになりました。企業はこれらを利用して、これまで想像もできなかったスピードとスケールでインサイトを提供しています。これらのテクノロジーには、人工知能(AI)と機械学習(ML)に加え、データ管理と分析インフラストラクチャを効率化する新たなテクノロジーも含まれます。

ここでは、企業が日常業務でリアルタイム分析を活用する創造的な方法をご紹介します。

1. ライブ・ダッシュボードから得られるより適切なデータ

ライブ・ダッシュボードは分析能力を向上させます。従来のデータ分析では、データウェアハウスに保存された情報を大量のバッチでダッシュボードのグラフやチャートを更新する分析システムに移動します。これにより、過去数日、数週間、数ヶ月の結果の確認を支援します。

一方、ライブ・ダッシュボードは、データ・ストリームに接続され、ビジネスに今何が起きているかを表示し、すぐに対応できるようにします。ライブダッシュボードは、嵐が来る前に出荷ルートを変更したり、重要な機械が故障する前に整備するなど、ビジネスの調整を支援します。

ライブ・ダッシュボードのスクリーンショット
リアルタイム・ダッシュボードにより、さまざまなビジネス・メトリックを追跡し、迅速な意思決定を行うことができます。

2. ロジスティクスの可視性の向上

ビジネスでは、地図、天候、交通パターン、さらには衛星フィードなど、公共および民間のサービスからのリアルタイム・データ・フィードを、製造現場、建築現場、トラック、飛行機、船舶内のセンサー・データからの自社リアルタイム・データと組み合わせて使用しています。これにより、運用の最新状況を把握し、ルートの調整、顧客の期待値の設定、建設プロジェクトの進捗状況の追跡、機器の部品発注などを先行的に行うことができます。

3. よりアジャイルな意思決定

リアルタイム・データにより、ビジネスは過去の出来事を分析するのではなく、トレンドや異常が発生したときにそれを検出し、すぐに対応することができますたとえば、ライドシェアリングや運送会社は、IoTセンサー・データに加え、自治体の公共データフィードや気象衛星フィードなどと連携することで、交通量の多さや悪天候などの問題を把握し、迅速な変更を行うことができます。リアルタイム分析がなければ、問題を把握する手段がなく、対応が大幅に遅れることになります。

4. 運用における問題の減少

機械学習、IoTセンサー、ストリーミング分析を利用することで、企業は機器を遠隔モニターでき、機械的な故障を予測し、製造の中断を避けるために先行的にメンテナンス運用を実行することができます。また、ロジスティクス企業は出荷をモニターでき、出荷が遅れた場合にはタイムリーに顧客に通知することができます。

5. 広告キャンペーンのパフォーマンス向上

リアルタイム分析は、広告およびマーケティング・キャンペーンを大きく変えます。たとえば、ディストリビューターのサイトとソーシャルメディア・アカウントにつながり、Webトラフィックをモニターできるリアルタイム分析プラットフォームは、最も効果的に機能する広告プラットフォームを理解し、それに応じて支出を振り向けることができます。例を挙げると、Tetris.co(現NeoDash)という企業は、複数のメディア・ソースからのデータを統合することで、現場のアナリストがトレンドをより迅速に把握し、投資を高パフォーマンスのチャネルに振り向け、パフォーマンスの低いプラットフォームから切り離すことができます。

6. カスタマー・エクスペリエンスの向上

リアルタイム分析を利用し、それらのリアルタイムインサイトに自動応答することで、企業は優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供することができます。テクノロジー業界では、リアルタイム分析はサイバー攻撃を特定し、それを阻止するためのステップを自動化するために使用されています。これはあらゆる人にメリットをもたらします。

主要なITサービスプロバイダーはリアルタイム分析を利用して、問題への対応にとどまらず、常にパフォーマンスを分析することで、顧客がその存在に気づく前に脅威を回避する予防的メンテナンスで顧客をサポートしています。金融サービスでは、リアルタイム分析は銀行が不正取引の可能性を検出することを支援できますが、これにより銀行カード顧客に自動通知を送信し、正当な理由があれば口座を凍結することさえ可能です。

7. 市場ボラティリティへの適応のしやすさ

リアルタイム分析の利点の一つは、システムを自動化し、動きの速いイベントに対応できるようにする機能です。ここ数年のグローバル・サプライチェーンの混乱に見られるように、ボトルネックに迅速に対応できるビジネスでは、供給を確保し、ビジネスの流れを維持することができます。ストリーミング・データ分析プラットフォームは、業界サイト、公共データ、衛星、企業独自のERPシステムを連携させることができ、市場のボラティリティを可視化するとともに、より効果的に適応するよう支援することが可能です。

8. ワークフロー問題のより迅速な検出

製造ラインから小売業者まで、タイトなスケジュールで作業する企業は、従業員や顧客が影響を受け始める前にワークフローの問題を検出するために、データ・ストリームとイベント処理システムを統合しています。たとえば、顧客のサイトで複雑なシステムをモニタリングしているセンサーから故障の可能性を示すデータが送信された場合、システムはエージェントに通知することができます。一部の製造および発電システムでは、このようなアラートにとどまらず、部品の発注やメンテナンス・チームの派遣まで行いますが、これらはすべて、機械のセンサー出力における異常のリアルタイム・センシングに基づいています。このようなシステムには、IoTデータ、データ管理プラットフォーム、高速で移動するデータ・ストリームの微細な変化を検出し、長期的な運用データを分析して長期的なプロセス改善を提案する機械学習アルゴリズムが必要となる可能性があります。

9. コスト効率の向上

リアルタイム・データ分析により、サプライヤーをリアルタイムでモニターし、特定の調達意思決定を自動化することで、調達コストの抑制を支援します。また、ストリーミング・データと人工知能を組み合わせることで、財務取引におけるインテリジェントなドキュメント・フローや、人を介さずに取引の多くのステップを処理できる保険金請求など、通常のビジネス・プロセスを自動化することも可能です。

10. テスト機能の強化

ソフトウェア・テストとIT管理は、すでに実績のあるリアルタイム・データと自動応答のユースケースを提供します。優れたソフトウェア・テスト・システムは、リアルタイム分析を使用して、データのエラーを検出およびレポートし、APIの断線を特定し、ユーザー・インターフェースの問題までも特定します。またリアルタイム分析は、長くて面倒なテスト・スクリプトのメンテナンス、および 手動でのスプレッドシートベースの検証の代わりに検証作業の自動化も支援します。

11. より優れた顧客プロファイルの開発

企業は顧客プロファイルを構築し、購入者の心に響くオファーやコンテンツ・オプションの提供を支援します。分析は、マーケティング担当者が現在オンラインにいる潜在顧客と、その顧客が興味を持つ可能性のある製品を知ることができるよう支援します。ただ、人は絶えず変化しますが、一方プロファイルは変化しません。もっとも、検索と購入だけでなく、生活の変化、ひいては意見の変化さえも記録できるソーシャルメディアやWebアクティビティなどのフィードとの連携に基づいてプロファイルを更新する、リアルタイムの分析システムに接続されている場合は別です。データの入力が多いほど、より適切な製品提案が可能になり、売上げの向上につながります。

12. 競合他社の追跡

機械学習により、ソーシャルメディア・フィードなどのビッグデータ・ソースを使用してリアルタイム分析を構築できます。これで、企業による業界の監視を支援できます。たとえば、競合他社がセールやプロモーションを実行したり、サービスの失敗や販促上の失策で顧客の好感度を下げていることをソーシャル投稿で明らかにすることができます。これにより、企業はマーケットプレイスでの対応策を講じることができます。

Oracle HeatWave MySQLでリアルタイム分析のあらゆるメリットを1か所で実現

開発者はオープン・ソースのMySQLデータベースを愛用しています。しかしこれまでは、MySQLに保存されたデータを分析しようとすると、データベースまたは分析ソフトウェアを追加購入し、トランザクション・データをすべて分析環境に移行(ETL:抽抽出、変換、読み込み)する必要がありました。これにより、もはやリアルタイム・データではなくなっていました。

現在、開発者はOracle HeatWave MySQLを使用することができるため、トランザクションとリアルタイム分析を1つのMySQLデータベース・サービスにシンプルにまとめることができ、分析クエリは常に最新のデータにアクセスすることができます。HeatWave MySQLは、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure上で使用できます。

HeatWave MySQLを使用することで、HeatWaveの他の組み込み機能にもアクセスできます。HeatWave AutoMLHeatWave GenAIを使用することで、クラウド・サービス全体にわたりETLを行うことなく、統合および自動化された機械学習と生成AIのメリットを享受することができます。HeatWave Lakehouseでは、アプリケーションを構築して、オブジェクト・ストアにある最大1/2ペタバイトのデータを、CSV、Parquet、Avro、JSON、他のデータベースからのエクスポートなど、さまざまなファイル形式でクエリし、オプションでMySQLのデータと組み合わせることができます。

ビジネスでのリアルタイム分析を検討しているお客様は、HeatWave MySQLを使用することで、かつて足かせとなっていたETLプロセスおよび複数のデータベース環境のコスト、複雑さ、レイテンシ、セキュリティ・リスクから脱却することができます。

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